ブログ台頭直前のウェブ界隈が好きだった話
趣味なので思い出話とか個人的な好き嫌いとかを話す。公平に見てどっちの方が効果が高いとかそういう冷静な判断はできていない。
ブログ台頭直前のウェブ界隈
時代的には2003~2006年ぐらいなイメージだろうか。端的にいうとブログでない HTML 文書をカキカキしていた頃、もしくはブログメインでもコンテンツによっては固定の HTML 文書が置いてあったようなサイトが多かった時代。
ブログはその性質上、どうしても「古い記事が見えづらくなる」という欠点がある。人気の記事をまとめている記事があっても、ブログレイアウトのサイトだとなんか違うな~と思ってしまったり。うまくまとめているサイトは印象が良いんだけど。この辺は「古き良き」な感覚が抜けないというか、新しいものに付いていけてないだけだとは思っている。
HTML 文書・マークアップに対してシビアな考え方が多かった
この頃は、最近のデザイン重視なサイトよりも、もっと「HTML 文書であること」というか、マークアップ全般に対してのシビアな考え方があった気がする。
- HTML4.01 Strict で書こうぜ、みたいな
- インデントとかちゃんとしようぜ、みたいな
- 「タグ」じゃなくて「要素」みたいな
- img 要素における alt 属性の書き方について議論になったり
- レイアウトのための無駄な div 要素は止めようとか
- 空の span 要素なんてもってのほか
- 固定幅レイアウトに対する是非とか
- h1 要素はサイト名にするべきか記事のタイトルにするべきかとか
- ユーザスタイルシートだとか
- ナビゲーションキーだとか
- デザイン用の画像は img 要素じゃなくて
background-image
だよね、とか
思い出せるだけでもこんなことが盛り上がってた印象。ぼくが当時見ていたサイトによって偏ってるのかもしれないけど。
今でもアクセシビリティだのなんだのとはいっているが、
- 各ブラウザの CSS のサポート状況が一定水準を超えた様子であること
- スマホでも比較的高速にウェブサイトが閲覧できること
などから、HTML の「文書」としての品質を脇に置いて、カッコイイレイアウト優先、何かアニメーションするパーツ優先、みたいな雰囲気があるように感じる。
そもそもブログが自動生成する HTML でしかコンテンツを書いていないせいか、インデントとかまともにされないし、自分が書いた文章がどういう要素でマークアップされているか、という意識が低くなってしまった気がする。
CSS は JS と絡めるのが当然な時代
構造 (HTML) と見栄え (CSS) と処理 (JavaScript) の分離、みたいなことをよくいっていたと思うが、最近はデザインも JS が絡んで制御しているのが多い。これも、
- jQuery がクロスブラウザを実現し、インタラクティブな処理を黒魔術的な手軽さで書けるようになったこと
- ブラウザの JavaScript のサポート状況が安定してきて、そもそも JavaScript が無効になるような環境がなくなってきたこと
などの理由があるのだろう。
時代の流れは分かるし、インタラクティブなコンテンツは確かに面白いのだが、
- コンテンツなら静的な HTML に記述があるべき
content
プロパティやらcreateElement
やらで内容を書くのってどうなん
みたいなことがどうしても気になっている。10年ぐらい前ってみんなそういう話してなかったっけ?
ブログはコンテンツが増殖する・静的な HTML 文書はコンテンツが成長する
ブログは一度書いたらそれっきりなのが多くて、更新が入るとしたら訂正ぐらいで、情報が新しくなった時は「コチラの新しい記事を参照」みたいになる。そのコンテンツが公開時から動かないことが多い。
一方静的な HTML 文書でコンテンツを作っているサイトは、URL はそのままに、コンテンツの内容に更新が入ることが多い。
これは一長一短で、「あの内容が消されちゃった」みたいなこともあるから、恒久的な URL に対し、同じ内容が恒久的に閲覧できること、という点ではブログの方が良いのかもしれない。でも、あの「コンテンツが育っていく感じ」というか、やっていることは「新しいことを書く」って同じなんだけど、なんか良かったんだよなぁ…。
88x31、200x40 px のバナーがないサイトの多さよ!!
お前ら!! ウェブリング (死語) に登録するには 88x31 px や 200x40 px のバナー (死語) がないとダメだぞ!! アクセスアップ (死語) のためには登録するサイト名の両脇を「╋━━ (サイト名) ━━╋」みたいな記号で囲んで目立たせないとだぞ!! (これはぼくが昔やってたこと…)
まだ慣れない最近の技術
SCSS・LESS など
これとっても便利だと思う。CSS に変数とか使いたい。お勉強したいとは思ってる。
BEM
ぼくは BEM の考え方は賛同しかねる。これって昔よく云ってた「デザイン上の指定を class 名で表現するな」ってヤツに真っ向から反対しているように見える。
「ここはこういう box で、ここは大きなボタン」みたいなことを class 名で表現していて、「それはマークアップから拾い上げて必要な時だけ class 使えよ!!」と思ってしまう。
再利用性だとかいって最近は id 属性セレクタでスタイルを書くことも少ないみたい。id はハッシュリンクと JS で操作する用、みたいな感じになってて、スタイル指定は使い回しが効くように継承とかせず基本単独の class 属性セレクタで書こうね、的な?んー個人的には従うメリット感じないしそういう HTML・CSS のコード書くのは気持ちが悪い。
この辺のサイトが好きだった
こんなことを最近考えていて、「当時見ていたサイトはどうなっているのかな」と思って色々調べてみた。
現存しているものが多い。現在も更新が続くサイトもあるし、サイトの大きな更新は止まっていても、Twitter でポツポツ話していたり GitHub に移行していたりして、生きているのが分かる人が多い。
何より、古いコンテンツがきちんと残っているというのがとても素晴らしい。これって、当時は今よりもまだもうちょっと面倒だった「独自ドメイン取得」やら「有料レンタルサーバー」あたりを使っている人だと、その辺の意識が高かったりするのかもしれない。
以下に自分がよく見ていたサイトを列挙してコメントを入れてみる。
- Appendix - lucky bag
- CSS ネタはこのサイトよく見ていた。ブログメイン気味なサイト。
- 特集 - Hail2u.net
- このサイトの旧デザインをよく真似ていた。リンクに下線がなく、ホバーすると下線が出る動きとか、リキッドレイアウトな2004年頃のヤツとか。今もよく更新されている。ブログメイン気味。
- 趣味のWebデザイン
- こちらもブログメイン気味。サイトの評価をしてくれるコーナーで自分も批評してもらったことがあり、この批評をきっかけに HTML・CSS を勉強し直そうと思って始めた記憶。
- The Web KANZAKI -- Japan, music and computer
- 「ごく簡単なHTMLの説明」で有名なサイト。このサイトで HTML を勉強し直した記憶。
- 言葉 言葉 言葉 - PC Tips
- 旧かな遣いで有名なサイト。毒の吐き方好きだった。現在も Twitter にいたりする様子。自分のサイトで strong 要素を赤太字にしていたのはこのサイトのスタイルを真似たのがきっかけだった。
- 旧 URL (リンク切れ) : http://members.jcom.home.ne.jp/w3c/ - http://members.jcom.home.ne.jp/pctips/www/
- HTML覺書とCSS2リファレンス
- スタイルの感じとかが「言葉 言葉 言葉」とよく似ているので同じ人が作ってるのかなって最初思ってた。闇黒日記のスタイルが配布されていたものと知る。
- 曉に死す
- 言葉に関する話とウェブ関連の話。
- Personnel (リンク切れ) : http://members.jcom.home.ne.jp/jintrick/Personal/
- ウェブデザインの話とか色々。ブログと静的な HTML のコンテンツが併存するタイプ。恒久的な URL を残すべき、みたいな思想はこのサイトの考え方が強いかも。
- 2017-04-08 : J:COM NET の終了に伴いサイトが消えている。管理人の Jintrick さんのサイトは以下。
- 参考 : Jintrick.net
- 好ましいHTML文書を書くための方法と考え方
- こういうコンテンツってどこ行ってもあった記憶。
- 娘娘飯店しるきぃうぇぶ
- スタイル系の話とか DOCTYPE スイッチとか。ねこめしにっきはブログなんだけどブログ感なくて好き。そういや昔は CSS の終わりのカッコ
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もインデントしてるサイトが多かった気がする。
- スタイル系の話とか DOCTYPE スイッチとか。ねこめしにっきはブログなんだけどブログ感なくて好き。そういや昔は CSS の終わりのカッコ
- HTML鳩丸倶楽部 ☆ 水無月ばけらのHTML蘊蓄サイト
- 頻繁ではなかったが時々見ていた。
- Academic HTML—HTML, XHTML and CSS Tutorials
- このサイト見て気付いたけど、多分昔のサイトってトップページだけはレイアウトが違って、コンテンツ一覧が分かりやすかったと思う。今はトップページ = 最新記事、で、どのページもデザインが一緒だから、なんかつまらない気がする。
- 初心者のためのホームページ作り/Web for beginner ホームページ作成支援
- リファレンス的なサイトとして時々見てた。
記憶に残っているのはこの辺。
あとひとつだけ、思い出せないサイトが2つある。もしかしたら同じ1つのサイトのことかも?
ひとつは、「Hail 2U」に似たサイト名で、「Rails 4 U」だったか、そんな感じのサイト。同じく Web 関連の話をしていたサイトだったと思うが…。
もうひとつは、ヘッダが画面いっぱい横長にあり、その下が2カラムレイアウト、左に固定幅のメニュー、右が可変幅のコンテンツ部。無駄な div 要素を一切使わずにリキッドレイアウトに挑戦するサイトで、ヘッダとカラムとの仕切りに、今でいう box-shadow
的なデザインを入れるために背景画像を使っていて、リキッドレイアウトだから body 要素とかうまいこと使ったりしてて、面白いサイトだった。ヘッダの背景画像に水色のマンボウのシルエットのイラストがあって、その上に少し暗めな赤文字でサイト名が載っていた記憶があるが、なんというサイト名か思い出せない。管理人のプロフィールには「本業は教師」みたいなことが書いてあったと思う。誰か覚えていませんかね…?
思い出しました。
以上、思い出話でした。
自分がウェブサイトを頑張って更新していた最後の時代が2006年頃だった。それ以降、YouTube や Twitter など SNS の台頭とともにゲームをしなくなったことで自分が更新するウェブサイトのコンテンツがなくなり、2013年から SE になったところ IE6 向けのハックを書かなきゃいけないテーブルレイアウトの Web アプリの改修とかやらされて、「あの時代は好きだったけどこういう戻り方はしなくていい」と頭に来て、最近は新しいことを勉強している。
それでも当時学んだことが今でも良いと思っていて、「どうしてああではなくなってしまったのだろう?」という疑問、今の時代に必死にしがみついていきながら、「これは個人的な趣味だし」と割り切って、自分が信じているものを貫き通すこともやめないぞ、と、ちょっとエーちゃんな気持ちになっている、そんな感じ。