キーボードショートカットを覚えるための考え方・アドバイス
キーボードショートカットが覚えられない、という声を周りでよく聞く (なんつう職場だ…)。自分はあまり「覚えられない」と思ったことがないので、自分が覚えておくためにやっていることや考え方を書いてみる。Windows 環境中心に話します。
まずは全般的な知識を身につけておく
Windows でよく使う全般的なショートカットキーは、意味を押さえながら覚えておく。
ファンクションキーは Windows アプリなら大体同じ動きをする
F1でヘルプ。F2で名称変更 (エクスプローラ)。Excel ならセルの編集モード切り替え。何となく文字を編集するモード。F3で検索。F4でウィンドウ操作 (アドレスバーの選択、画面サイズ変更)。Alt と組み合わせてウィンドウを閉じる、とか。F5で更新。F7で全角カタカナ。F8で半角カタカナ。F9で全角英数字。F10で半角英数字。Shift との組み合わせでコンテキストメニューを開く。F11で全画面表示。F12で名前を付けて保存 (Word・Excel など)。
この辺は Windows 環境ならどのアプリでも大体そういう風に使えるもんだと覚えておくとよろし。
Ctrl・Alt・Shift の意味を考える
- Ctrl (コントロール) は別のキーと同時に押下する組み合わせ押しが基本。
- 元々は制御文字を入力するためのキーだった。だから「コントロール (制御)」。
- Alt (オルターネイト) はメニューバーへのアクセスが基本。Alt を押下した後、メニューバーに記載のキーを順に押していく使い方がメイン。
- 「アルト」って読む人は英語ができないし普段使う言葉の意味を考えたり調べたりしない無神経な人なんだなって思って見下してる。
- Shift (シフト) は Ctrl や Alt との組み合わせで使うことが多い。Ctrl 単体では別のショートカットと競合するとかいうときに Shift を同時押しさせる感じ。
- 元々はタイプライターの文字をズラす (シフトする) ためのキーだった。
- Shift だけで組み合わせるのは
Shift + F10(コンテキストメニューの表示) ぐらいしか思いつかない。
Ctrl と別のキーの同時押しが基本。メニューバーの操作は Alt で始める。Shift は Ctrl や Alt と組み合わせて使う。これが基本。
Windows 全般の操作は Windows キーとの組み合わせ
Ctrl + Esc でスタートメニューが開くの、Wikipedia で知りました… (Windowsキー - Wikipedia)。
Win + Eで Explorer (エクスプローラ)。Win + Lで Lock (ロック)。Win + Rで Run (ファイル名を指定して実行)。「実行」が「Run」。Win + Dで Desktop (デスクトップ表示)。
OS のバージョンによって多少違いがあるものもあるが (Win + ↑ は古い OS だと最大化にならなかった記憶)、基本的には同じ動作をする。
個別のショートカットキーを覚えていくときの考え方
マウスでできることは 99% キーボードショートカットでもできる
マウスでしかできない操作って、「Excel で複数行のセル結合がある箇所で1行のみを選択する」ぐらいしか思いつかない。
(Shift + Space で行全体の選択ができるのだが、セル結合があると結合されたセルの行数分を行選択してしまう。しかし、マウスで左端の行番号をクリックすれば、セル結合があっても1行のみを行選択できる、というヤツ。)
とにかく、マウスでできることは基本的にキーボードショートカットでもできるし、手をキーボードから離してマウスを掴んで操作して…とするより、キーボードだけで完結させた方が格段に速い。
「今やったマウス操作って、キーボードだけで操作できないかな」という視点を欠かさずに持つこと。気が付いたらその場でキーボードショートカットを探す。ググる。
同時に押すキーは大体英単語
Ctrl + Cで Copy (コピー)。Ctrl + Bで Bold (太字にする)。Alt → Fでメニューバーの「ファイル (F)」(File)。その先の「名前を付けて保存 (A)」は「Save As」の A。
といったように、ショートカットキーには大抵その動作を示す英単語の頭文字が使われている。
- 「Save As」なら「S」じゃないの?と思うかもしれないが、これは
Ctrl + S(上書き保存・Save) との区別のため。 Ctrl + Cの Copy は分かりやすいけど、Ctrl + Xは? → ハサミ・カット (Cut) するイメージで X、とかいって誤魔化しておく。Cの左隣で覚えやすいでしょ?wCtrl + Vの貼り付けは Paste なんだからPじゃないの? →Pは印刷 (Print) で使ってる。Cの右隣で使いやすいと思うし、Paste ペーストなんだけど「Vaste (ヴェースト)」って強引に覚えちゃうw
Ctrl + F (Find : 検索)、Ctrl + N (New : 新規作成)、Ctrl + O (Open : 開く)、Ctrl + R (Reload : 更新)、Ctrl + A (All : 全選択)。この辺はどのアプリでも大体同じ機能だし、これで覚えてしまう。
Excel 2007 以降のリボンは Alt キー押下後、タブの名前や項目の名称の頭文字を順に押下するので、英語が分かっていると迷わない。
- 文字色を変えたいなら :
Alt → HFC- (Home ホームタブ → Font Color 文字色)
- フィルタの設定・解除なら :
Alt → HSF- (Home ホームタブ → Sort 「並べ替えとフィルタ」グループ → Filter 「フィルタ (F)」)
- 図形の挿入なら :
Alt → NSH- (iNsert 挿入タブ → SHape 図形)
- 「挿入タブ」って「Insert」で
Iじゃないの?と思うが、Iは Excel 2003 までのショートカットキーを生かすために使われているので、iNsert で N を使っている。 - 「データタブ」が
DではなくAなのも同様。Alt → DLで「データの入力規則」が開ける。Alt → AVV(dAta データタブ → Validate 入力規則) よりタイプ数が少ないので、あえて古いショートカットキーを覚えておくのもオススメ。
そういえば、Windows 7 からエクスプローラ上の「新規作成」のショートカットキーが W ではなく X になったのは何でだろう。今まで Alt → FWF (ファイルタブ → 新規作成 (W) → フォルダ (Folder)」でフォルダを作ってたのに、Windows 7 からは Alt → FXF (「新規作成 (X)」) になっている。未だに間違えてしまってつらい。
ショートカットキーを定着させるには
ショートカットキーに関してググると、ショートカットキーの一覧が大量に出てくる。Windows 全般、Office 系のショートカットキーは特に文献に困ることがない。
しかし、こうした一覧表を片手に暗記しようとするのではなく、自分がよく行う操作のショートカットキーのみを自分のメモに残す方が良い。
たとえば Ctrl + C なんていまさらメモしなくても忘れないだろうが、Excel における Ctrl + 0 (列の非表示) と Ctrl + 9 (行の非表示) は、時々使うのにどっちだったか忘れて必ず間違える、というのであれば、この2つは自分のメモを作った方が良い。
体裁は自由だが、自分は以下のような表を作ってメモしている。環境によって Excel だったり HTML だったり、メモ帳で Tab 区切りで書いてたり、メモの取り方も様々。でも肝心なのは「自分が使うもので、覚えておきたいもの」だけを書く、ということ。
| アプリ名 | キー | 操作 | メモ |
|---|---|---|---|
| Excel | Ctrl + 0 |
列の非表示 | 複数列選択した状態で押せば一括で非表示にできる。「ゼロは縦長 → 縦 → 列」で覚える。 |
| Excel | Ctrl + 9 |
行の非表示 | 列の非表示と同様。「『9』キーには『よ』の刻印がある → よこ → 横 → 行」で覚える。 |
| Eclipse | Ctrl + Shift + R |
リソースを開く | ワイルドカードが使える。 |
俗に言う「チートシート」ってヤツだ。巷のチートシートをそのまま使うのではなく、それらを参考に、自分が使うモノ・覚えたいモノに絞って、順次追加していくオリジナルチートシートを作るのが良いだろう。
「覚えられない」と言っている人たちが覚えられないワケ
多分以下に当てはまる人たちが「覚えられない」と言っているんだと思っている。
- 目の前にある言葉の意味を細かく考えない。
- メニューバーに「編集 (E)」と書いてあるのを見て、「(E) って何だろう…?」→「E キーでショートカットキーでアクセスできるのか!」みたいなことを考えてない。
- 英語ができない (という拒絶反応で思考停止している)。
- 「『編集 (E)』の
Eって何だ…?」→「編集 = Edit でEなんだな!」みたいな発想ができないから、英単語・アルファベットを意味のある文字と認識できない。記号として捉えているから知識が知恵にならない。
- 「『編集 (E)』の
- 今やった作業を次はより速く行うための工夫をしようとしない。
- 今日30分かかった作業は、明日は20分でできるようになるべきだ。一つひとつのマウス・キーボード操作もしかり。「今の操作ってもっと簡単にできないかな」「キーボードショートカットないのかな?」と考えるクセが見に付いていない。より効率的な方法を考えようとも、ググろうともしない。
- 「覚えるための手間・時間」を取ろうとしている。
- 「ググろうともしない」とはちょっと違って、ググったはいいものの、ネットでチートシートを拾ってきては頭から暗記しようとしてみたり、全部書き写してみたりするタイプ。
- そうじゃなくて、「今の自分に必要なもの」を「日々取り入れていく」という考え方にシフトしてほしい。上述のオリジナルチートシートは、毎日加筆修正していくべきものだ。最初に1回作って終わり、でもないし、読み返すうちに書き方を変えるものもあるだろう。それでいいのだ。
- 一度チートシートを見たら二度と見てはいけない、ワケではない。最初は繰り返しチートシートを開いて確認すればよい。繰り返し目に入れることで定着するのだし、極端な話「覚えてなくても見れば使える」ようにメモしておくのが良いチートシートだ。
大雑把、というか、言語に対して無関心、というか、学生時代の暗記至上主義が抜けてない、というか。そういう人たちはいつまで経っても覚えられないままだろうな。多分パソコンが向いてない。w
そもそも、皆さんのキーボードショートカットを覚えたいという原動力はどこから来ているんだろうか。ぼくは「より楽をしたい」「より速く作業を進めたい」が原動力だった。速く・楽にこなすために、キーボードショートカットを覚えた。目的は「速く・楽したい」なので、マクロやバッチを書いたりすることもあるし、その手段はキーボードショートカットには留まらない。
キーボードショートカットは何かの目的に対する手段でしかないと思うので、「覚えられない」と言う前に「何で覚えたいんだっけ?」「覚えたその先はどうなりたいんだっけ?」を自問自答すること。
以上~。何かの参考になれば。