Shakkazombie - 空を取り戻した日 と、「よせあつめブルース」の思い出

カウボーイビバップをテレビ東京で見ていて、当時は OP の Tank! がカッコいいなぁ~ぐらいで、各話の話もロクに覚えていなかったけど、最終回の「よせあつめブルース」はどうしてか強烈な印象があって、ビデオも録ってなかったのにどんな内容だったか鮮明に覚えていた。

ビデオ化はされていない、テレビ放映のみのワケアリな話なんだけど、物凄いことを言ってるので見てみて欲しい。

永遠に続くものはない、あらゆるものに終わりは来る。それは自然の摂理というやつだ。
突然だが、今日で最終回だ。
そこで今回は、今までにあったことを思い出して、色々と考えてみたい。


第十三回

Session XX

よせあつめブルース


腹減ったなぁ…ん?お前もかよ


Part 1 「フード・フォー・ソート」

食いモンはとても大切だ。なにしろ人間の体はそいつが食ったモンで出来ているわけだ。
もし俺のクローン人間がいたとして、そいつがハンバーガー以外食ったことがないとしよう。
そいつと俺は遺伝子的には同じでも、全く違った人間になるはずだ。
ハンバーガースパイクは俺よりも怒りっぽいかもしれないし、日曜には教会に行くような男かもしれない。凶暴な賞金首かもしれないし、Y シャツにはアイロンを当ててから着るような男かもしれない。
いずれにしても、ハンバーガースパイクは俺とは別人だ。
要するに食い物を選ぶときは、よくよく考えて選ばないといけない、ってことだ。


こっちはロブスターの味噌煮、と

かしこまりました


Part 2「フールズ・ゴールド」

盆栽は奥が深い。ただカットすりゃいいってモンじゃない。
それぞれの盆栽にはひとつひとつ個性があり、そいつを生かしてやらないといけないのだ。
愚かな人間は、何でもかんでも同じように切り揃えようとする。
はみ出した部分をただ、カット、カット、カットするだけだ。
だがそのはみ出した部分こそが個性であり、オリジナリティなのだ。
そんなこともわからない人間は鋏を持つべきじゃない。全く、盆栽が気の毒だ。


闘いの基本を知ってる?


Part 3「ケ・セラ・セラ」

思想のない男は嫌い。でも、思想を押し付けてくる男はもっと嫌い。
歯槽膿漏の男も嫌い。息の臭い男とじゃキスもできないしね。
危険な男は好き。でも、危険過ぎるのもちょっと考えもの。
弱気な男は嫌い。自分の弱さを分っている男は好き。
楽観的な男が好き。人生をあらかじめ予想して悲観的に生きるなんて気が知れないわ。
人生は多分、どう転んだってなるようになるのよ。


うん、だって、エドがエドだも~ん


Part 4「無情の世界」

エドです。宇宙は広いです。エドは宇宙の真理を探して旅をしています。
裸足で歩くと、ビリビリします。
ネットの海は広~くて、色んなお魚もいてクリクリします。
頭にモノを載せるとワクワクします。
真理はあると思って探すとないですが、ないと思って探すとやっぱりないです。
欲しいものは手に入らないですが、要るものが手に入りました。


目に頼り過ぎなんだよ。カメレオンじゃねんだ!そうあちこち見えねえのさ!


Part 5 「キー・オブ・ライフ」

人間は心臓の鼓動によって生きている。
鼓動とは規則的な繰り返し、すなわちリズムのことだ。
そう、何をするにしても大切なのはリズムだ。
歩く時も、ケンカする時も、飯を食う時も、愛し合う時も、台詞を言う時も、リズムが重要なんだ。


ワン、ワン、ワン!ワン!ワン!ワン、ワン、ワン!


Part 6 「ドギードッグ・ワールド」

ねえアイン?ねぇねぇアイン?どうしてそんなに毛深いの?
はーい、それは、寒がりだから!
ねえアイン?そもそもアイン?どうしてゲラゲラ笑わないの?
おー、それは、ニヒルだから!
ねえアイン?やっぱりアイン?どうしてそんなに幸せなの?
そうです、それはエドが幸せだからでしょう。


チャーリーは言った。
「手は手でなければ洗えない。得ようと思ったら、まず与えよ」ってな。
ってことはどういうことだ?チャーリーはやれって言ってるんじゃねえのか?ええ、そうだろう?

…チャーリー・パーカーがゲーテの格言吐くかねぇ…


Part 7 「ウォーク・ジス・ウェイ」

作者が彼の読者に払いうる最大の敬意は、彼等が期待するようなものは一切書かないということである。
そう言ったのはゲーテだ。
ヤツはこうも言った。
人間の働きにせよ自然の働きにせよ、我々が特に注目しなければならないのは、本来その意図である。
まったくいいことを言うヤツだ。
俺が警官をやめて賞金稼ぎになるなんざ、誰が考えただろう。古い仲間は皆驚いてる。まったく期待を裏切ってくれるってな。だがそれでいい。
誰も思い付かないことをやりてえじゃねえか。見たことのないこと、聞いたことのない話。
仲間達はそれを結構楽しんでるのさ。


Part 8 「ナチュラル・ウーマン」

綺麗事は嫌い。綺麗好きも嫌い。少しくらい汚れている方が、部屋も世の中も住みやすいってもんよ。
色白は七難隠すなんて云うけど、隠し事も嫌いなの。
しみ、そばかす、いいじゃない。誰も彼も同じ肌、同じ顔じゃどれが自分か分かんなくなるわよ。
アタシはただでさえ自分がわからない。だから、手がかりを消しちゃいけないの。ぜんぶ自分の道標だからね。


女は見た目じゃ分からんからなぁ…うぉっ!


Part 9 「インスタント・カーマ!」

ラフィング・ブルが言った。
泳ぐ鳥よ、お前の体が何でできているか知っているか?
俺は言った。
知らねえよ、きっとどこにでも転がってる鳥のフンだろうさ。
ブルが言った。 泳ぐ鳥よ、お前の魂は何でできているか知っているか?
俺は言った。
知らねえよ、きっとどこにでも転がってる綿埃だろうさ。
ブルは言った。
その答えは間違っていて合っている。
お前の体は宇宙の全てと繋がっていながら、お前にしかなり得ない。
お前の魂は宇宙の全てを含んでいながら、お前でしか有り得ない。
それはこの私も、そして誰しも。
誰かが憎ければ、お前は自分を憎んでいる。誰かを愛していれば、お前は自分を愛している。
俺は言った。
…俺は誰にも何も感じないよ。
ブルは言った。
…それは、この地上で何より不幸なことだ。


Part 10 「シュガー・マウンテン」

赤ん坊に甘いものばかり食わせると、そればかり欲しがって、肝心の栄養のある食事を受け付けなくなるそうだ。
やはり、砂糖菓子のようなものこそが有毒だ。
別に食いモンだけの話をしているんじゃない。
世の中砂糖菓子でいっぱいだ。
そんなものばかり見てたら、脳が腐ってヨーグルトになっちまうぜ。


Part 11 「チェイン・オブ・フールズ」

いやあ料理っていうのは奥が深い。闇雲に味を付ければいいってもんじゃねえ。
愚かな人間はやたらに味を付けまくり、牛肉だか鶏肉だか判らんような料理にしちまう。
そういう人間は中華鍋を持つべきじゃない。

元の素材ならではの味、つまり牛肉なら牛肉のオリジナリティを生かしてやらねえと、牛肉も悲しむってもんだ。


働かざる者食うべからず。自分のエサは自分で確保しなさい。

私はいいの。女は生きているだけで偉いんだから。


Part 12 「ドゥ・イット・ユアセルフ」

自分のことは、人に頼らず自分でやる。
誰に教わったのか知んないけど、いつからかそんな風に思うようになったわ。
別に大層なことじゃないけど、人に頼られて、それに応えられないのも嫌だし、たとえ応えられたとしても、それがホントにその人のため?とか思っちゃうし。
結局、自分の運は、自分で掴まないとね。


女はすぐ裏切るが、男は義理に生きるもんだ。

義理ねぇ…

俺はそう信じたいね


Part 13 「イフ・シックス・ワズ・ナイン」

あらゆる物を疑ってかかること、それが重要だ。
情報なんて所詮は情報。テレビで言ってることが真実なんて思ったら大間違いだ。
自分の目を見開いて、耳をかっぽじって世界を見聞きすること。そして自分の脳を使って考えること。
全てを疑いつくした後にこそ、何かを本当に信じることが可能なんだ。
そう、信じるために全てを疑うんだ。


難しいどころの話じゃない。そんなの無理だ!バットも持たずに野球をやるようなもんだ。おーい、スパイク!

…そういうのが好きなんだよ。俺は。


Part 14 「アメイジング・グレイス」

賞金稼ぎの良いところは、ルールがないってところだ。賞金首を捕まえるのに、こうしなきゃいけないという決まりなんてどこにも存在しないんだ。
だが好き勝手なことをやると途端に文句を言われたり、それはルール違反だと怒られたりする。
ヤツらはこの世界のルールに従って生きているつもりなんだが、そんなルールなんて一体誰が決めたんだ?
俺達は誰かに従うために生まれてきたワケじゃねえ。
脅かされようとすかされようと魂は売らない。

残念ながら、自由業の魂は骨董品だ。
あ?その心は?高過ぎて金じゃ買えねえんだよ。


教訓教訓、知らない人に会ったらついていきましょーう。


Part 15 「マイ・フェイバリット・シングス」

エドは今まで苦労したことがありません。
ひょっとしたら、ホントはあるかもしれませんが、全然覚えていません。
どうしてかというと、おもしろそうなことしかしないし、おもしろくなさそうなことの中にも、ちびっとは面白そうなことを発見して、ビリビリするからです。
でも、それでもやっぱりつまんなそうな時は寝ます。寝たら夢の中でコロコロおもしろいです。おわり。


どこにも力なんか入れてない。お前の無駄な力を利用しただけだ。
力の流れをコントロールするんだよ。そのためには、どんな動きにも対応できるように全身の力を抜いて、そう、水みたいになるってことだ。


Part 16 「アンフィニッシュド・シンパシー」

ブルース・リーはこう言ったそうだ。
「心を空っぽにして、どんな形態も形も捨てて水のようになるんだ。水をコップに注げば水はコップとなるし、水をティーポットに注げば水はティーポットとなる。水は流れることもできるし、激しく打つこともできる。だから、友よ、水のようになるよう心掛けることだ。」
さすが俺の心の師は言うことが違う。
こんなことも言ってる。
「自分が教えているのは、護身術とか相手の倒し方とか、そういうことじゃなくて、むしろ、ある動きを通してどうやって自分を表現するか、ということなんだ。それが怒りであれ、決断であれ、何だろうとも。つまり格闘にのっとった人間の体を使った表現法だ」
ブルース・リーがただの映画スターや、ただの格闘家じゃないのが分かるだろ?


鎖が長いなぁ。「ウェイ・オブ・ザ・ドラゴン」モデルか。

あ、分かるぅ?


Part 17 「公的抑圧」

もしもこの世に神様がいるのなら、一つ願いたい。
全ての自由を阻害する者たちに、天罰の下らんことを。


Part 18 「胸いっぱいの愛を」

たまに思うわ、損な性格だって。時々思うの。これじゃあいい男が逃げちゃうわって。
まあ、でもこれがアタシなんだからしょうがないわよねえ。
別人のように振る舞って「あたしぃ、こう見えても結構家庭的なんですよぉ」なーんて言っちゃって、いっときうまくいったとしても、後で苦労、いや、もとい後悔するだけ。
このアタシ、そのままのアタシがいいっていう人じゃなきゃヤだしね。
まあ、アタシの相手をすんのも大変だと思うんだけど、宇宙のどっかにそんな運の悪い男もいるでしょ。


いやーブルースハープは良い、やっぱ良いわ。

あんたジャズファンじゃなかったっけ?

バーカ言ぇ、俺はおふくろのミルクを吸うにもワーブリング利かせてたモンさ

そらぁ気の利いたガキだなぁ


Part 19 「ワイルド・スタイル」

今から一世紀以上も前、チャーリー・パーカーっていうサックス吹きがいた。
ヤツは音楽を譜面どおりに演奏しなかった最初の男らしい。
つまり、型どおりに演奏するだけじゃ飽き足らず、アドリブをかまし自分自身のスタイルで吹いたってことだ。
ヤツが始めたその音楽は、やがてビバップと呼ばれたそうだ。
そう、それがこの船の名前の由来ってワケだ


Part 20 「デイドリーム・ビリーヴァー」

俺達は皆、眠りながら目覚め、目覚めながら眠っている。
過去は事実か?
記憶は真実か?
夢はどこからが夢なのか?
寝ながら見る夢、起きていて夢見る夢、どちらも同じだ。
夢を見ないというヤツは覚えていないだけ。
夢がないというヤツも、気付いていないだけ。
臆病なのさ。見たいくせに見ないようにしてるだけなんだ。


Part 21 「君の意志のままに」

そしてこれはただの幻影だ。
見えざる手に操られ、真実は分厚いベールに覆われたままだ。
でもそれはひっそりと、まるでタイタンの月のように人知れず存在し、砂嵐が過ぎ去った頃いつか姿を現すだろう。


Part 22 「怒りをこめて振り返れ」

だからもう、たかが娯楽に目くじら立てたりするのはよそうじゃないか。
これは冗談なんかじゃない。フィクションでもない。
それとも俺は悪い夢でも見てたのか?


Part 23 「ブルーにこんがらがって」

どっかのブルースマンが、ブルースの定義を訊かれてこう言ったそうだ。

「ブルースってのは、どうにもならない困り事を言うのさ」


Part 24 「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」

THIS IS NOT THE END.
YOU WILL SEE THE REAL "COWBOY BEBOP" SOMEDAY!

空を奪われ明日が割れ 心蝕む闇が生まれ
夢は枯れ 不安に慣れ
あぁ 空の行方を知るのは誰?
教えておくれ
行き場失う 鳥と雲と星とオレ

一日の境が消え 捨てた時計 転がる街はグレー
登る屋根のてっぺん
イマジネーションで飛行訓練
何も恐れず飛ぶオレに未練
体の中でコダマするサイレン
全て投げ出した人を見、明日は我が身
見失いそうな富 こみ上げる涙飲み
もう開きたくないこの瞳
瞼を閉じた時に見えた光
探しているオレは一人…ひとり…

薄れてゆく真実の輪郭
威嚇しあう不安と希望の戦いは互角
見ぬけない東京の錯覚 騙されりゃ失格
この古びた羽は昔みたく 言う事聞くか全く分からず屈託
でも宙を舞う夢は抱く
その生き方は二択

あぁ空が気になり眠れない 眠るフリもできない
これ以上真実の言葉
ひとまかせにはできない

3つ数え見上げたら 息が止まるような大空 元に戻れ… 1つ…2つ…3つ…

いつの日かあの時の空取り戻し
迷える者同士 輪になり夜通し
語り合い忘れられない
俯いた日々を笑い飛ばしたい

生まれて初めて見た鮮明な希望
それは強い心に秘められた野望
無限に拡がる青い世界へ逃亡
今本当の空へ飛ぼう

空を奪われ 明日が割れ 心蝕む闇が生まれ
夢は枯れ 不安に慣れ
あぁ 空の行方を知るのは誰…?

Cowboy Bebop のテレ東放送が本来の26話ではなく13話になった理由や、よせあつめブルースの背景は以下の記事が詳しい。

ぼくがどう思ったかってことも併せて書こうかなと思ったんだけど、「よせあつめブルース」を見るたびにそれを見る自分の考えは変わるのでやめた。

でも「よせあつめブルース」が伝えたかったことはいつも噛み締めてるし、俺が俺を貫こうと自然に思う原点になっているのって、やっぱり「よせあつめブルース」なんだよなぁ、と思う。