オプチカル・プリンター … 古い映画のクロスフェードとかのカットだけ色合いが違うアレ

1950~60年代ぐらいの古いカラー映画なんかを見ていると、カットとカットがクロスフェードするときとか、段々暗くなるフェードアウトとかのカットのときだけ、画面の色合いが異なることがある。モノによっては「若干ボケて見える」「コントラストが上がる」というように表現できるかも。

フィルム特有のものなんだろうとは思っていだけど、どういうことなのか分かっていなかったので調べた。どうもこれは、「オプチカル・プリンター」というものを使って、平たく言えばフェードの加工をしたりするためにフィルムを焼き増ししているのだ。焼き増ししたフィルムは世代が1つ落ちるから、元々のフィルムと繋ぎ合わせた時に画質の劣化が分かりやすく、そのせいでフェードのときだけ色合いが違ってしまう、ということなのだ。

オプチカル・プリンターについては Wikipedia の説明が詳しい。

オプチカル・プリンター(Optical printer)とは、映画撮影機に接続された1台以上の小型映写機からなる装置。

概要

オプチカル・プリンターを使うことで、現像済みの映写フィルムを再度、別のフィルムに光学的に焼き付けることが可能となる。映画や古いフィルムのコピー、修正、特殊効果に用いられる。特殊効果には画面が徐々に暗くなるフェードイン・逆に段々明るくなるフェードアウト・画面が徐々に別の画面へと移り変わるディゾルブ(クロスフェードとも)・スローモーション・クイックモーション・マット合成などが含まれる。複雑な処理の場合、複数の特殊効果を1ショットに含めることも出来る。

経済的な理由から、使用する場合でも通常の映像作品では、「特殊効果を加えるカット」だけがオプチカル・プリンターにかけられた。特殊効果を加えるカットは「ネガ編集」の段階で「オプチカル出し」と呼ばれるカットとして切り出され、合成されて戻ってきたネガフィルムが、合成されていないネガフィルムとつなげられた。そのため、オプチカル合成を行ったカットと行っていないカットとは世代が異なり、明らかに見栄えが異なる。この落差は作品によって異なるものの、プロが見なければわからない程度の差のものから素人が見てもわかるくらいに大きな差があるものまで、様々ある。このあたりは、ネガ編集を行う職人やオプチカル・プリンターを扱う職人の技が冴える部分でもあった。

歴史

最も単純な構造のオプチカル・プリンターは1920年代初めに開発された。その後、1930年にリンウッド・ダンによる改良が加えられ、1980年代にはコンピュータ制御を備えたものが現れた。

しかし1980年代終わりにデジタル処理による特殊効果が使われはじめ、1990年代半ば以降は、完全にデジタル処理に主流が移り変わった。それ以降、オプチカル・プリンターは商業作品で使われることは稀で、フィルム撮影を行なう一部の映像作家に使われるのみとなった。

1992年公開の『永遠に美しく…』がILMがオプチカル・プリンターを使った最後の作品である。