チーム運用を考え続け、運用ルールを変えていくこと

チームでの運用ルールは一度決めたら FIX するものではない。というか、FIX できるようなものではない。

何も変えないでいようとしても、時間経過が様々な環境要因を変えていくので、ルールが現状にそぐわなくなるのだ。だから、常に同じ状態を保つためには、実は絶えず変化を続けていなくてはならない。

レガシーな現場ほど、形骸化したルールが多いことだろう。そしてそれらは「自動化すれば人力で守る必要なんかないのに」というようなものだったり、「どうやら以前はこれに対応する規則があったから存在するルールだけど、今はもうその規則がないからルールが合っていない」というようなものも多いだろう。

しかし、レガシーな現場をレガシーなまま放置する人たちのマインドは、「とにかく何も変えないこと」が正義とされてしまっている。「変えた方が良いのかもしれないけど、とにかく変えるのは怖いので変えない」という思考回路になっている。

ただ、彼らは大抵、個人の思惑でそうしているのではなく、組織構造が変化を許さないものになっていることが多い。

変更を入れるには上長承認が要るとか、変更を申し出た人間が主導して変更を周知したりしないといけなくなる (共有したり分担したりしようとする人がいない) といったしがらみがあるせいで、「変えるべきだと思うけど、変えようとしたら面倒だから変えない」というところが惰性で習慣化することで、個人的にも変化を嫌う体質になってしまうのだ。

だから、チーム全体で運用ルールを改善したいと本気で思うのであれば、まず組織構造、チーム体制から見直さないとうまくいかない。

チームメンバ全員が、変化に対して柔軟で、かつ効果的に役割分担と協力が得られるような組織体制にしなくてはならない。

「上司の指示がないと何も変更できない」ような仕組み、風潮があると、部下は主体的に動こうとはしない。上司が持つ「しがらみ」は部下全員を硬直させるので、上司がトップダウンで枷を外してやらないといけない。

ボトムアップで提案してほしいからといって、「キミ達も自由な発想で主体性を持って…」なんて言ったところで、そんなもん逆効果になるくらいだ。メンバがボトムアップで主体的に動けるようになるには、トップダウンで自由な範囲を与えてからこそ実現する。

そうしてメンバからルール変更の提案があったとき、「これまではそうやってきたから変えたくない」といった理由を返すような上司がいるなら、そのチームは一生良くならないだろう。その上司は「変えることによるメリット」よりも「変えることによる対応コスト」の方が大きいと見なしたのだ。もしくは「現象の不便を続けるコスト」の方が楽だと見なしたのだ。結局その上司は何も変えたくない、変えるつもりがないということだ。これからも同じ不便を続け、時間経過によってさらにコストがかかろうとも、「自分は何も変えていない」という安心感だけにすがって不必要な苦労を続けることを決意しているのだ。

ルールは、それを守ることによって得られる「全体への便益」のために存在しているはずだが、「ルールを守ること自体」が「特定の人物の便益」になっているのであれば、そのルールが適用される組織は腐っていく。

こちらとしては「悪いものはさっさと変えて、全体効率を高めようや」と思うのだが、ルールをあえて変えず、不便な中で低質な仕事をするのが生存戦略になっている人間も、案外いるものなのである。こういう人はエンジニアとしてのスキルがないまま過ごしてしまったが故に、自動化とか効率化とかをされると自分の存在意義がなくなってしまうし変化にはついていけないので、「何やらグチャグチャなところをその人の長年の経験と勘でなんとかやれる」ようなアナログな状態でないと困るのである。

正直こういう厄介者が1人でもいると、その組織はどうにもならないので、既に改善されたルールで動いている場所に移るか、なんとかしてそういう無能な人間を外すかしかないのである。