「NIH 症候群」は誰も得しない
「NIH 症候群」という言葉を最近知った。
NIH症候群(英: Not Invented Here syndrome)とは、ある組織や国が別の組織や国(あるいは文化圏)が発祥であることを理由にそのアイデアや製品を採用しない、あるいは採用したがらないこと。また、その結果として既存のものとほぼ同一のものを自前で再開発すること。独自技術症候群と訳されることもある。
“Not Invented Here"(ここで発明したものではない)という用語は、既存の製品や研究や知識を発祥が異なることを理由に利用・購入しない社会や企業や業界の風土・文化を指す用語である。一般に軽蔑的な意味をこめて使う。
NIHという用語は、技術または法律以外の理由で独自開発しようとすることを指す。これを「車輪の再発明」ともいう。当然ながらそれをする理由は正当と言えるものではなく、プライド、無知、既存の解決策への何らかの不満、作成したいがために作成するといった理由である。
自分がいた会社に対して抱いていた不満を言い表す用語だった。
大企業で動くお金は多額だ。作ったシステムにバグがあってはならない。だからどこの馬の骨とも分からないオープンソースを使って、それに起因するバグがあっては困る。だから自前で分かるものを作る。たとえ金がかかってもだ。
だが、そうした車輪の再発明は往々にして「四角い車輪の再発明」になる。
一概に言えることではないものの、有名なオープンソースソフトウェアはそれだけ世間から注目を浴び、世界中のエキスパートたちが寄ってたかって改善している。
一方、それらの知見の上辺だけを見て、大したことないスキルの少人数が、中途半端にリバースエンジニアリングしたらどうなるか。
この2017年にもなって実際に起っていた恐ろしいことは、「jQuery などというワケの分からない『Java フレームワーク』(JavaScript のライブラリなんだけど…) は採用できない」なんて話だ。それでいて「有償のライブラリは導入できる」といって導入した JavaScript のライブラリが実はほとんど jQuery プラグインで、客も上司も気付かないうちに jQuery も一緒にインストールしていたという有様だ。
何でも自前で用意する「NIH 症候群」は、リスク回避のつもりなんだろうが、結果として多くのしょうもないバグを生み、開発者も下手をすると自分たちが車輪を再発明していることに気付いていないことも多い。技術屋なんて謳っているが連中は大したことないのだ。
何のためにこんなことをやっているんだろうか。誰のためになるというのだろうか。
いい加減にしてほしい。