悪いモノは消えて良いモノは残っていく

タイトルは角松敏生ホストのラジオ番組「Vogue’s Bar」に山下達郎が出た時に、山下達郎が言っていた言葉なんだけど、本当にそう思う。

ようつべで音源を聞いたのだけど、何やら消えているようで。

以下のサイトに文字おこしがあったので引用させていただく。ラジオ放送は1991年7月頃の様子。

角松「90年代になって、ヒットしている音楽がいろいろありますけど、あれは達郎さんの「RIDE ON TIME」の時代のヒットとは、違いますよね?」

山下「今はコンセプトの時代ですからね。ボクは1976年にソロになって、そのとき「Circus Town」という1枚目のアルバムが、2万ちょっと売れたんですね。その頃は、ロック・フォーク・ニューミュージックなんて言葉が出たての頃で、その当時はこのジャンルでアルバム2万売れたら大ヒットだったんですよ。今は100万枚が当たり前の世界でしょ。これは、問題の建て方が全然違うんですよ。そうするとやっぱり、レコード会社は、ボクがソロになった時代には、ボクのアルバムなんか事業計画に組み込んでいないんです。要するに、出したいだけ出せ、と。一種の企業イメージですよね、CIに近いもので、それで商売をしようと誰も思っていないし期待もしていない。ディレクターもそれを望まないし。でも今の時代は、たとえば大きな会社ならロック・フォークで今年の事業計画の何パーセントを達成するというような歯車となって来るわけです。そうすると、それでコンセプトを組み、ビッグタイアップで何十億というお金が動いてね、そうすると、音楽をどうやって作るかということが自ずと変わって来る。それは大変でしょうね。すごく大変だと思う」

角松「たまたまこないだ、ジョーサンプルと話をする機会があって、話しているとボクと同じような考え方を持っていて、悩んでいることは、音楽がすごくマニファクチャーになっていることに徹しているんだ、と。要するに、クリエーションじゃなくてマニファクチャーということを言ってて、たとえばいい素材を見つけてきて育てて光らせて、ということよりも、とりあえず最もコンセプトに載せやすい素材を見つけてきて、それを作り上げて一気に投資して売る。売って売らなくちゃ困る。売って、売れる間は売る。その後のことはあまり考えてやっていない、というのが現状だと思うんです。それに今売れているアーティストがそれに気づいているか、ということがボクはすごく疑問なんです。だから、コイツらこんなにいきなりこんなに売れて、きっとお金も入ってきて、どういう気でいるんだろう、と思うんですよね」

山下「ただ、けっきょく好むと好まざるとにかかわらず、こういうのが商売になってきたことの結果なんですよね。結局そうすると枚数がね、昔は思いっきり努力して、クソ努力してやっと3万~5万だったのが、今はその十分の一の手間で、コンセプトだけで、音楽だけに限らず今はコンセプトの時代だから、昔はおいしいものがあると、それを一人でも多くの人に食べてもらいたいからプロジェクトを組んでコンセプトを組んで情宣をかける、と。今は、コンセプトさえあればまずいものもうまいと言って食わせられる、そういう発想だから、モノが全然違うんですね。だけど、結局音楽は音楽でしかないから、あなたの言っていることはよくわかる。結局は、音楽は所詮音楽でしかなくて、悪いモノは消えて良い物は残って行く、ということしか言いようがないから、それは確かに、大きなプロジェクトでお金は動くようになるけれども、それだからイージーゴーイングなものは結局消えて行くし、きっちり作ったものは残る、ということのボクは確信があるから、続けられるようなところがあってね、それがダメだったらこんなにつまんない商売はないもの」

角松「ボクも、そこは同感ですね」

自分が嫌いだー!!!!!!!!!と言わなくても、

これが最高だー!!!!!!!といちいち言わなくても、

悪いものは自然と消えていくし、良いものは自然と残るように、世界はできている。

好き嫌いを人に知らしめようとすることに時間を使う必要はなくて。

説得しないと分かってもらえないようなものは、別にその人に分かってもらう必要はなくて。

それが良いと思うなら静かに自分だけ好きでいれば、

それが本当に良いものだったらいつまでも残っているはずだし、

そうでもなかったら自然と自分の中からも世間からも消えていっているはず。

良いものは残る、悪いものは消えていく。

Vogue's Bar はヴォーグの CM が最高なので、過去の他の録音も探して聴くべし。

直径5.4ミリ。タバコは、これ以上細くなれない。

これも名言です。w