お前が言っているのは「社会」じゃなくて「会社」だ
時々「そんな考え方じゃ社会で通用しないよ」とか「社会では認められない」とかいう言い方をする人がいる。
「社会」とか「常識」とか、やたらと大きな主語を使いたがる人は、得てして大した事ない。
だいたいそいつが「社会」として認識している範囲ってのは、せいぜいそいつが学生時代に経験したバイトと、就職した1つ2つの会社の、それもその会社の全てではなく自分が配属した部署・チームの、自分の半径 5m ぐらいで起こったことが全てなはずだ。
「日本社会」を構成しているものって、単純に職種で分けても、土木・建築・金融・法務・広告・医療・報道、様々な職種があるわけで、それら全てを経験している人なんていない。
「異業種転職を繰り返しているから社会をよく知っている」という人もいるだろうが、それは勘違いだ。転職している分、一つひとつの仕事の経験年数が短いのだから、それぞれのレベルはその程度。何度も転職しているのはそいつ自身が会社を見極められなかった何よりの証だし、それこそ社会全体を見渡せていなかったからこそ失敗を繰り返したのだろう。
そいつが「社会」「常識」と捉えているものなんて、自分が勤めている「会社」での経験からしか得られないし、もっと言えば「会社」ですらなく、「職場」「自分の半径 5m 程度の現場」の問題を極端に一般化しているだけだ。
そのことに気付いていないのか、気付いていてあえて極端な一般化をしているのかは人によるが、そういう「大きな主語」を使って誰かに話をする人の心理は一つで、自分の言うことを聞かせたいからだ。
別に社会はそいつの味方なんかじゃないのに、「自分と社会全体 vs 相手」という構図を作り出すことで、話す相手を脅しているのだ。「自分が知っている今までの経験に合わないから否定したい」というだけのことを、「社会全体がお前を認めない」というような言い方をすることで相手を脅し、自分の意見を通そうとしているだけだ。
「この会社ではこういうルールだ」という話ならそう言えばいいのであって、それを「社会常識」とか「社会の厳しさ」みたいにあえて言うときは、そう言って脅しが通ればソイツが得するからそういう言い方をしているのだ。
時々、本気で「自分の周りの環境がこうなんだから、日本社会全体が同じだろう」と信じて疑わない人間もいたりする。それはそれで想像力と観察力が欠如した自己中心的な人間なので、無視していい。
主語を大きくするヤツには、そういう空想上の存在を利用するしか、他に味方がいないのだ。そんな奴の話を聞く必要はない。100% 間違っているし、完全に無視しても全く問題ない意見だ。言わせておけ。言葉は正しく使え。