フエルサブルータ WA! の全編動画をアップしながらレポート

これもちょっと前の話になるのだが、2017年8月19日、フエルサブルータ WA! を観に行ってきた。ショーの始まりから終わりまで動画を回しっぱなしにしたので、その動画を紹介しつつ、フエルサブルータ WA! のレポートをしようかなと思う。

以下が動画。

先に動画についての詳細から。

動画の詳細

動画撮影に使用した機材は以下のとおり。

いずれも 1080p・60fps で撮影。10分程度でもう一方の機材に持ち替えて、両方で同時録画している瞬間を作ってから片方の録画を停止することで、ノーカットではないが映像が途切れないように2カメ撮影した。フエルサは70分ぐらいやるので、スマホやコンデジで動画を回し続けてしまうと1つの動画ファイルの容量がバカでかくなってしまう。万が一撮影を失敗していた時のリカバリーも難しくなるので、最初からニコイチで全編の動画を作ろうと思っていた。

TX300V の方が暗所に弱く、ピントが合いづらいことが多かった。iPhone7Plus 優秀…。ホントカメラ用としてもう1台欲しいぐらい。

動画の編集は Adobe Premiere Pro CC 2017 にて。自分の顔が映っちゃってるところとかはブラーをかけてピンボケ風にして誤魔化した。この作業が地味に大変だったw。ドスパラのガレリア XG で作業したので、1080p・60fps で70分程度の動画でもサクサク編集、エンコードしてくれた。

動画の撮影と編集に関してはこんな感じ。

フエルサブルータ WA! のレポート

フエルサブルータ WA! は品川ステラボールで開催している。当日は雨が降ってしまったが、ほとんど満員だった。

入場ゲートから鳥居になっていて、ステージがあるホールの前に物販コーナー兼コインロッカーのコーナーがある。以前の赤坂サカス前の特設ステージでやった時は、クロークが会場外にあったので、これだとホントに会場に入りに行くだけで荷物もしまえるので良かった。

今回は2階に VIP 席があるので、ドリンクの販売とかもやっていた。自分は物販だけにして、T シャツとパンフを買った。

さて、荷物を入れて会場へ。ショーの模様は動画を見ていただけばいいので、内容自体の説明は省いてしまおうかなと思う。感想メインということで。


会場に入った時に小部屋に詰め込まれる感じはランダム性があっていいなと思った。フエルサは「前がステージ」みたいな概念がないショーなので、前に行こうとして人がごった返すみたいなことはないはずなのだが、そういう事情を知らない初見さんが戸惑わないように、とりあえず人を分散させる意図もあったのかなと思う。

なんていいながら、幕が上がってみると自分がいたところがステージの最前列で、いきなり和太鼓ドコドコで驚いた。2階の VIP 席はステージの反対側、一番遠いところから全体が見える位置だった。

自分の技術ブログのタイトルにもしている Corredor、いわゆるランニングマンの演目だが、鎧兜の武者が走っていて、また走っているダンサーさんもイケメンだった。殺陣の血飛沫の演出とかは、VIP 席側だと布で影絵になっていて、自分が見たのと逆側から見るのも面白そうだなと思った。

会場の構造上の理由か、四角いハコの一辺は VIP 席があるので、VIP 席の真下となる辺を使った演出はできず、どうしても前方のステージを使う演目が多くなりがちだったなぁと思う。

着物の女性が逆さまになる演目は日本が初だろうか。このブログのタイトルにしている演目「El Mylar」はやはり神秘的だった。

ビーシャ・ビーシャの時にやっていて、海外のフエルサではやっているところもある、観客にハーネス付けて釣り上げちゃうヤツもやってくれてビックリした。釣り上げられる客は仕込みかな?とも思ったけどどうだろう。

あと愚痴ブログのタイトルに使っている演目「Murga」は、大まかには前回と変わらないが、日本・和をテーマに取り入れているので、Murga の足を蹴り上げるダンスの間に盆踊りみたいな動きを突っ込んできたのが面白かった。本来の Murga の「怒りの発散」「お祭り騒ぎ」の中に、「日本のお祭り」「日本人の正確さ・統一感」みたいなのが入ってくるのが異質で良かった。一番前にいた女性のダンサーさん可愛かったなぁ。腹筋割れてたし。

最後のランニングマンはイケメンさんが白い衣装で登場。後ろでオバハンがたが「アタシあれ超好き」みたいなこと喋ってて分かるわーって思ってたw。腹筋割れてた女性ともう一人男性が混じって鳥居の階段をのぼる。ワイヤーを通すために鳥居の真ん中が割れているのが面白かった。


全体的に楽しめたし、つまらないことは全くなかったのだが、前回2014年のフエルサ日本公演と比べると、ちょっとパワーダウン?というか、日本ナイズドしすぎたのかな、と思う。

外人の演者さんもいたけど、日本の演者さんが多くて、アルゼンチン・ブエノスアイレス発のフエルサブルータ感が薄れたのが個人的に残念だった。元々のフエルサの各演目は、ストーリーや意味がないようでいて、実はその国・文化における抑圧と解放を表現している部分があったわけで。そこに和太鼓だ舞妓だ忍者だ武者だと、海外から見たステレオタイプな日本のイメージをただ無理矢理に混ぜ合わせたようで、「本来の意味」がなくなってしまったような気がする。

その代わりに、今の若い日本人が求めがちな、「分かりやすい意味」を押し出す面が強かったなぁと思う。Murga の前後で MC を入れてまでしゃがませてジャンプさせたのは興醒めした。フエルサでそういう普通の EDM ライブみたいなことするの何か違くない?というか。説明を求めがちな日本人に合わせて来ていて、「ハイココ騒いでいいタイミングですよ〜!」っていうトリガーを明言するのが、個人的にはフエルサっぽくなくて冷めた。

日本公演をするにあたって、海外からダンサー連れてくるのは大変だし、でも日本人ダンサーをただ入れたらフエルサのテーマ的に浮いちゃうから、ってことで、日本人メンバーが居ても不自然じゃない「和」を混ぜたんじゃないかなぁと、そういう現実的な理由が見え隠れする。あんまり「和」が絡んだことによるシナジーがなかったと思う。

その証拠というか、フエルサブルータ WA! は、Corredor のシナリオ・伏線が破綻しているのだ。元々の Runner は、ランニングマンが身の回りの社会に揉まれながら、落ちていく人々を避け、時に撃たれ、それでも仲間たちと走り続けていく、という流れがあって、だから前半と最後のランニングマンは同じ衣装で登場していたわけで。それが WA! の場合は、前半は鎧兜の武者だけど、最後はなぜか白いマントを羽織っている、(演者は同じだったけど) 別人になっている。本来の Corredor の意味もなくなったし、WA! ならではの意味というか、意図やテーマがあったのかというと、それもなさそう。少なくとも前回感じたテーマ性を今回は感じなかった。

自分が知らない言語・文化に触れた2014年の公演の方が、自分の分かる言語・文化を織り交ぜた2017年の公演よりも、逆に感じ取るものが多かった。期待が大きかったせいか、1回目の経験があるからなのか、いずれにしても、今回はちょっと残念だなーと思ってしまった。


とはいえ、日本人ダンサーのパフォーマンスがショボかったとかそういうことは全くなくて、フエルサ本来のエネルギーをちゃんと発信しきっていたから、日本人でもこういうことできるんだーっていうのはビックリした。元々のフエルサが好きな人だと、今回の日本ナイズドされた演出が合わないかも、というだけで、十分に楽しめるショー・イベントになっているので、一度は行ってみてほしいと思う。

フエルサ・ブルータ WA! は、9月30日まで。あと1週間。当日券もあるのでぜひドウゾ。