Windows マシンの「スリープ」「休止状態」の使い分け方
Windows には、電源を完全に切る「シャットダウン」の他に、「スリープ」と「休止状態」というモードがある。これらのモードについて、消費電力の違いから使い分け方を考える。
目次
- シャットダウン = 完全終了
- スリープ = 作業をメモリに保持
- 休止状態 = 作業をディスクに保存
- 3つのモードの特徴を表で比較
- マイクロソフトの計測データ
- スリープで待機している時の消費電力は?
- 休止状態の復帰にかかる消費電力はシャットダウン並
- 個人的な結論
シャットダウン = 完全終了
その前にシャットダウンとは何なのか、の確認から。
シャットダウンは作業を完全に終了して電源を切る。「作業中のデータ」を残しておかないので、コンセントを抜いたりしてもデータはちゃんと保持される。シャットダウンした後の消費電力もほぼゼロだが、起動と終了の時に電力を使う他、頻繁に起動と終了を繰り返すのは HDD に負荷がかかると云われている。
スリープ = 作業をメモリに保持
次にスリープは、作業中のデータをメモリに保持しておくモードだ。メモリ上にデータを保存しておくので、復帰までのスピードは一番速いが、メモリがデータを保持し続けるために電力を使う。また、デスクトップ端末で電源が抜かれた場合など、電源供給がされなくなると作業中のデータが消失する危険性がある。
休止状態 = 作業をディスクに保存
最後に休止状態。コチラはスリープと違って、作業中のデータをメモリではなく HDD に保存するモードだ。スリープよりも復帰までのスピードはかかることになるが、電源供給がなくなってもデータが消失する危険性は低め。また、シャットダウンと違って待機のために若干電力を消費する。
元々はノートパソコンで作業を中断する時のために生まれたモードのようだ。当時のメモリの性能や安定性から、スリープよりも安全性の高い中断モードが必要だったのであろう。
3つのモードの特徴を表で比較
以上、3つのモードを紹介したが、改めて表形式で比較してみる。その項目において一番効果の高いモードに「○」、次に効果のあるモードに「△」、一番効果のないモードに「×」を書いている。
特徴 | スリープ | 休止状態 | シャットダウン |
---|---|---|---|
待機中の消費電力の低さ | × | △ | ○ |
復帰時の消費電力の低さ | ○ | △ | × |
復帰までのスピードの速さ | ○ | △ | × |
作業中データの安全さ | × | △ | ○ |
待機中の消費電力だけ見ると「シャットダウン」で良いような気もするが、復帰時にかかる消費電力も踏まえると、一概にシャットダウンが節約になっているとはいえなさそうだ。
なお、消費電力 = 電気代を無視して復帰速度だけを求めるならスリープ一択ではある。あまり特徴のない「休止状態」を使うタイミングが分からない感もある。
マイクロソフトの計測データ
では、どういうタイミングで3つのモードを使い分けると、消費電力を節約できるだろうか。
実はマイクロソフトが調査したデータがあるので、それを見てみる。
このページによると、Windows7 までのデータではあるが、
中断時間がおよそ 90 分以内であれば、スリープの方が消費電力量が低い
とのことであった。
また、休止状態とスリープではどうかというと、
待機電力は休止の方がスリープより少なくなりますが、起動時と終了時に必要な電力は休止の方が大きくなります。このため、90 分以内であれば、やはりスリープが最も節電になるのです。
とのことで、中断時間が1時間半以内ならスリープ一択であるようだ。
スリープで待機している時の消費電力は?
ところで、スリープで待機している時の消費電力はいかほどなのか。実際に計測した方がいるのでそのデータを見てみる。
こちらのページによると、Windows Vista 端末の計測データではあるが、1ヶ月間スリープにし続けた場合の消費電力は 144W、一般的な電気代に換算すると2.88円とのことだ。同時掲載されている Microsoft 公式の数値でも、1ヶ月スリープにすると 720W、電気代にして14.4円という数値であった。
…果たして、1ヶ月で2・3円、多くても14円程度の金額で、「節約」とか気にする必要があるのか…。
なお、こうした消費電力は Windows OS がバージョンアップしていくに従って小さくなっているので、Windows 10 ではもう少し節約できているかもしれない。そうなると余計に「何を気にしているんだ感」は強まる。
休止状態の復帰にかかる消費電力はシャットダウン並
また、休止状態からの復帰にかかる電気代はシャットダウン時に近いという話もあったので、「休止状態を積極的に選択することで節約できるシチュエーション」もほとんどなさそうだ。
Windows 95・98 時代のマシンでもないし、イマドキメモリの品質でデータが消失だとか HDD が消耗するだとか、そういう安全面に関しても微々たる差であろう。
個人的な結論
色々と検証したが、個人的な結論は以下のとおり。
- 中断時間が90分未満なら「スリープ」を使う。
- 90分以上中断する場合は、消費電力の少なさと復帰の速度から「休止状態」を利用する。
- 1日以上中断するような場合は、大して消費電力に差がないので Windows Update とかを適用しつつ「シャットダウン」する。
- スリープや休止状態で待機している時の消費電力は1ヶ月で2・3〜14円程度と微々たるモノなので、スリープしたまま1日経った場合も特に気にせず放っておく。
結局、電気代のことは大して気にならないレベルだった。中断時間に応じて「スリープ → 休止状態 → シャットダウン」の順で使用を検討すると使い分けができるが、最近の PC で、ましてや SSD なら復帰にかかる速度差なんてロクに変わらないので、どうでもいいっちゃどうでもいいかも…。
最後に、「どのモードだろうと作業中のデータは保存しとけ!」