開いているウィンドウ・タブは常にできるだけ減らしておく
仕事術として、開いているアプリやウィンドウ、タブの数は極力減らしましょう、というお話。
よく複数の Excel ファイルを開きっぱなしにしていて、実際閲覧・編集しているのは1・2ファイル、というようなパソコンの使い方をしている人がいる。それも共有サーバにある Excel ファイルを開きっぱなしにしていたりして、「○○さん、コッチで編集したいので、使っていなかったらそのファイル閉じてください」とイチイチ言いにいかないといけない。何百回も色んな人から言われているのに迷惑だとは思わないらしく、一向に改善しない。前職の職場にいたコイツに関しては「他人が開きたがっていると通知を投げるマクロ」を仕込んだりして仕組みで対処していた。
こういう人は大抵、Excel だけでなくその他のアプリも大量に開きっぱなしにしていて、自分が開いたウィンドウ群の中から目的の情報を見つける時間を毎回浪費している。
彼らは自分の仕事の仕方、パソコンの使い方が非効率で無駄が多く、何ら自分のためになっていないことに気付いていないのだ。
アプリが何も立ち上がっていない状態で、目的の情報を開こうと思ったら、アプリを開いて「ファイルを開く」を選択するか、エクスプローラから目的のファイルを開くか、のどちらかになる。情報にたどり着くまでの動線がシンプルなのである。
一方、既にウィンドウが沢山開いていると、「さっきあのファイル開いてたはず…あれ、どこ行ったんだろ…んん、あのファイル閉じちゃったんだっけ?見当たらないな、エクスプローラから開き直すか」などと考えて探す時間が発生する。自分が開いていたウィンドウを逐一把握しておかないとこういうまどろっこしい事態が頻繁に発生する。
そもそも、「自分がどのファイルを開いていたか」を大量に暗記しておかないといけないような事態は、最初から避けないといけない。人間はマルチタスクはできないのだ。できている気になっている人は、「お手玉」が上手なのを喜んでいるだけ (というか本当に「上手」なのかも怪しい)。「ボールを素早く正確に真上に投げる技術」を追求しようと思ったら、ボールは複数持たずに一つだけにした方が精度は上がるだろう。
パソコンは何でも「記録」できる。それをわざわざ人間が「記憶」しておく必要はなく、作業者が頭を使うべきポイントが間違っている。
自分が何をやっているのか、これから何をしようとしているのかがハッキリしていれば、ウィンドウ数はそこまで必要にならない。それなのに使わないウィンドウまで開きっぱなしにしているのは、自分が何をしているのか自分で分かっていないから混乱しているのだ。机が汚いヤツは頭の中もこんがらがっているのだ。
僕のやり方
マルチタスクが出来る気になっているのか、自分が何をしているのか分かっていないのか、何なのか知らんが、とにかく開いているウィンドウ数が多いこと、それ自体が悪だ。今すぐ止めなければならない。
そこで、僕がどのように普段ウィンドウ数を増やさないようにしているか、いくつかのノウハウを書いておく。どれも至極当たり前のことしか書かないが、それすらも出来ない人間は参考にして欲しい。
- 使わなくなったファイル、ウィンドウはすぐ閉じる
- まずはこの意識付けから。
- 例えば、あるファイルから別のファイルへ、テキストをコピペする場合。僕の場合は、「コピー」をしたらその時点で元のファイルのウィンドウを閉じる。コピーしたテキストはクリップボードに残っているので、そのまま対象のファイルにペーストできる。
- ある程度作業が終わった時、「後でまた見るかもしれない」というファイルもイチイチ閉じる。
- エディタやブラウザなどで、開いているタブがなくなったら、空のウィンドウは残さずプロセスごと落とす。最小化ではなく、ウィンドウを閉じるのだ。コレで、Windows の場合はタスクバーが占領されなくなるし、Mac の場合は Dock に表示されるアプリ数が減らせる。目に見えている情報量を減らそうとすることが、頭を整理するための方法。
- エディタで同時に開くファイルのタブは4タブ程度まで。
- 左にフォルダツリー、エディタ画面は2ペイン表示ぐらいまではするだろうが、開いておくファイルのタブ数は全部で4つ程度までに留める。編集し終わったらタブを閉じる。2分後に同じファイルをまた開くことになったとしても、閉じておく。
- タブはバンバン開きがちだが、すぐに何をやっていたのか分からなくなるから、「今はこの作業だけやる、それに必要なのはコレだけ」という考え方でタブ数を減らす。
- ブラウザで同時に開くタブの数も4・5タブ程度まで。
- ブラウザも同じ。5タブ以上開いている状態だと、どこに何があったか覚えていられない。
- 調べ物をしていて、検索結果を10件分一気に別タブで開いておいたりすることはあるが、読み終わったらすぐ閉じる。
- 「後で読むかも」とか「ちょっと気になった」という情報があったページは、お気に入りに登録してタブは閉じる。
- 僕の場合、頻繁に開くページは「お気に入りメニュー」ではなく、メニューツールバーの中に Favicon だけの形で配置している。また、お気に入りメニュー内はフォルダ分けをしているので、前述のような「後で読む」的な一時的なお気に入りページは、お気に入りメニューのトップ階層に雑多に溜まっていくことになる。本当にお気に入りのページはフォルダ分けしてあるから混じらない、というワケだ。
- お気に入りに突っ込んだページも定期的に精査する。別途メモにまとめたりして「一時的なお気に入り」はどんどん消化していく。
- 開きっぱなしにしたいアプリやタブは見た目を小さくする
- 例えば、「業務中は通知を受けるためにブラウザでチャットページを開きっぱなしにしておきたい」といった時に、それが通常のタブと同じだけのスペースを占領すると、鬱陶しい。
- そんな時は、大抵のブラウザに付いている「タブのピン留め」機能を使って、タブを Favicon のみ表示するよう最小化しておく。こうすれば視界に入る情報量が減らせ、状況が整理しやすくなる。
- また、「ブラウザの使用頻度が高いが、ブラウザをイチイチ終了させると起動に時間がかかるのがストレス」といった時に、タスクバーの領域が占領されているのが鬱陶しい。
- これも、「RBTray」などのツールを使って、タスクトレイアイコンとして収納させることで、タスクバーの占領を防ぎ、見た目の情報量を減らせる。
- 常駐させたいモノはこうやって可能な限り小さくして置いておく。あまり多用すると何でもかんでもタスクトレイに入ることになり、あまり意味が無いので、使う範囲を決めておこう。
- エクスプローラから目的のファイルを探しやすくしておく
- 僕の場合、すぐウィンドウを閉じるので、エクスプローラや Finder を多用する。ココで重要になるのは、目的のファイルを開きやすくしておくことだ。
- まずはフォルダ・ファイル整理が肝心。「あのファイルはココにある」と迷わず開けるようにしておく。複雑な階層を暗記するのではなく、ルート直下のフォルダ名から機械的に判断できるように仕分けしておく。
- 頻繁に使用するフォルダは、Windows エクスプローラなら「クイックアクセス」に、Mac Finder ならサイドバーに追加しておく。こうしたやりくりは、ブラウザにおける「お気に入り」でも同じことが言える。
- 一時的な作業ファイルを置いておくフォルダを決めておく。読んだら捨てる、とか、ある程度内容が出来上がったら目的別のフォルダに仕分けるようなイメージ。同じ目的のファイルたちは1箇所に集約させるようにする。
- ファイル一覧の表示形式も統一しておこう。Windows エクスプローラなら「詳細」形式にしておき、オプションから「全てのフォルダに適用」することで記憶させられる。Finder も「リスト」形式で表示する。
- 一覧表示時の項目も、「ファイル名」「ファイルサイズ」「ファイル形式」「更新日時」くらいに絞っておく。無駄な情報を見せないでおく。
hosts
ファイルなど、個人で配置場所を自由に決められないシステムファイルについては、「よく使うシステムフォルダへのショートカット集」フォルダを作っておけば良い。どこにあったか探す時間を減らすための工夫が大事。
- コマンドラインでも目的のフォルダ・ファイルにアクセスしやすくしておく
- 僕は Bash でよく使うディレクトリに移動するエイリアスをいくつか用意している。例えば、
cdw
で作業用ディレクトリ (work
ディレクトリ) に移動する、とか。 - その際、ディレクトリ移動後に
ls
コマンドも実行させておくと、Tab 補完せずとも目的のディレクトリが探しやすい。 - というワケで、
.bashrc
でalias cdw='cd /Users/Neo/work/ && ls
のように定義しておく。 vi ~/.bashrc
(編集) とsource ~/.bashrc
(反映) もそれぞれエイリアスにしておくことで、クイックアクセスのための手間を省く。
- 僕は Bash でよく使うディレクトリに移動するエイリアスをいくつか用意している。例えば、
- 素早くファイルやアプリを開く・閉じるためにキーボードショートカットを覚える
- 「既に開かれているウィンドウを移動しまくって目的のタブを見つける」のではなく、「毎度エクスプローラなどからファイルを開き直す」ので、ファイルを開くための手間はほんの僅かでも減らしていく。
- Windows なら
Win + E
でエクスプローラが開ける。Win + X → A
で管理者権限のコマンドプロンプトが開ける。Ctrl + W
でタブを閉じられるし、Alt + F4
でアプリごと閉じられる。 - Mac は
Cmd + W
でウィンドウを閉じられるが、プロセスごと落とす (Dock のアプリ下にドットが付かない) にはCmd + Q
を使う。
- 別作業に移る時や、何をしているのか分からなくなってきたら、一旦全てのプロセスを落とす
- ある作業が一段落して、次の作業に移る、という時は、一旦全てのアプリを落とし、タスクバーをまっさらにする。
- 緊急作業が横入りしてきたりして、何しているのか混乱してきた時も、状況を整理するために一旦全てのアプリを落とす。
- その上で、今からやる作業に必要なモノだけを改めて開き直す。
- 結果的に閲覧しているものに変わりはなくても、バックグラウンドにゴチャゴチャとアプリがいるより、格段に頭の中が整理できているはず。「○○だから、○○のために、このファイルを開いたんだ」と目的意識を再確認できるためだ。
こんなところだろうか。
まとめ
- 人間はマルチタスクはできないことを意識する
- シングルタスクで集中するため、そのシングルタスクに必要なモノだけを開き、あとは閉じる癖を付ける
- 机の上 (= PC におけるデスクトップやタスクバー、タブなど) がゴチャゴチャしていると、頭の中もゴチャゴチャしてくる
- タブを閉じる、ファイルを改めて開く、という具体的な行動と、タブ数が少ないという視覚的な結果状況よって、はじめて頭の中を整理できる
だから、同時に開いているウィンドウ・タブ数が少ない = 自分の作業が整理できている、といえるのだ。