Netflix で「ヤバい経済学」を観た
連日、通勤電車内で Netflix を使って映画やドキュメンタリーを観ている。今日は「ヤバい経済学」という2010年の映画を観た。
元は書籍が流行って、その映画版ということらしい。
いくつかの短編エピソードからなるドキュメンタリー映画で、トピックスを並べるとこんな感じ。
- 不動産業者が家を安く売りに出させる理由は?
- 売りたい顧客としては、1万ドルの差が出るかもしれないのであれば安く売りたくはない
- しかし担当する仲介業者としては、売値が1万ドル変わろうと、自分の懐に入るマージンは微々たる差しかなく、であれば早くこの顧客の子守を終えて次の案件に移りたい
- だから顧客には早く家を売らせようとするし、仲介業者自身が家を売るときは時間をかけて売りに出している
- 名前で人生が決まる?
- 黒人っぽい・白人っぽい名前、富裕層に多い・貧困層に多い名前、という統計はある
- 日本と名前の付け方の文化が違うが、興味深い内容だった
- 相撲の八百長、日本の「本音と建前」
- 相撲に八百長が存在するかどうかは、試合結果を統計学的に分析すれば明らかにできる
- 神事が絡む伝統事は、本音を隠しておかしな建前を持ち出してもツッコミを入れづらく、いつしかその建前がはびこることになる
- 八百長を告発した橋本成一郎と元大鳴戸親方は、同じ日に同じ病院で不審死を遂げている
- 警察も、治安が良い社会だと市民を安心させるよう、恣意的なデータを作り出している
- アメリカの治安が改善した理由
- 1990年代に入ってアメリカの治安が改善したのは、警察の努力などではなく、1970年代に妊娠中絶が合法化されたことが一番の大きな原因である
- 中絶の良し悪しを論じるワケではないが、データとして、望まない妊娠によって生まれた不幸な子供が減ったことが、犯罪発生率の低下に繋がっているという事実は認識しなければならない
- 高校生を買収したら成績は上がるか
- この映画のテーマは「人間の経済効果はインセンティブによって生じる」というモノ
- 著者の3歳になる娘にトイレを覚えさせるため、「トイレに行けたら好きなチョコレートをあげる」と持ちかけると、3日後には自分の便意をコントロールして出来るだけたくさんチョコレートをもらうよう工夫し始めたという
- インセンティブがあれば、悪ガキは勉強するようになるのか?を実験する
- 「成績が上がれば毎月50ドルあげる」という条件で高校生に勉強してもらうよう仕向けてみたが、結局「ちゃんとやれる奴はやる」「最初からやれない奴は多少のインセンティブでは動かない」と受け取れる結果に
…とまぁこんな感じ。
この映画が具体的な答えや進むべき道を示しているワケではなく、また受け手の感じ方もかなり様々になると思うが、読み取りづらい「人間の心理」を分析して、再現性のある手法を探り出すのが経済学だと思うので、こうしたことから経済を考えていくんだなぁ、と思った。