Netflix で「ミニマリズム 本当に大切なもの」を観た
2016年のドキュメンタリー映画。「ミニマリズム 本当に大切なもの」を観た。
物質的な豊かさばかり追い求め、「モノを沢山買うことが良いことだ」という風潮に流されて生活していたジョシュアとライアンは、ミニマリズムという考え方に出会い、そのメッセージを広めつつより良い暮らしを考えていくドキュメンタリー。
「Everything That Remains」という著書を発表し、そのプロモーションのためにアメリカ中を凱旋するジョシュアとライアンに密着しながら、他のミニマリストの体験談も紹介していくスタイルだ。
彼らのプロモーションはなかなか苦戦していて、講演を開いても観客が全然来なかったり、テレビに出演しても冷やかしみたいな反応しかもらえず。ラスベガスで開いたイベントでは、観客のおじさんに「そのミニマリストってのは、修道士みたいな生活になるってことかい?そんなことしても、逆に世の中に食いつぶされるだけじゃないのか?」と突っ込まれたりする。しかしジョシュアは「消費そのものは悪いことじゃない。極端な消費が良くないんだ」と答え、そのおじさんとハグをする。
彼らは自分たちのメッセージがなかなか今の世間に伝わりにくいことを理解している。かつては自分たち自身がそうであったように、「物質的な豊かさこそが幸せだ」という観念は、そう簡単に振り払えるものではない。それでも彼らはコツコツと自分たちのメッセージを伝え続けている。
ミニマリストたちの話の中で、いくつか面白い取り組みがみられた。
- 3ヶ月間を33アイテムの衣料品で生活する「プロジェクト 333」
- あえて小さな家に住む「タイニーハウス」
などだ。
「プロジェクト 333」は、特に女性のミニマリストたちの間で流行ったようで、「自分の33アイテム」をチョイスして、それだけを着て3ヶ月過ごしてみる、という取り組みだった。このルールにより、衣料品を減らしながらも、ゲーム感覚でコーディネートを楽しめるのが良いようだ。
「タイニーハウス」と呼ばれる小さな家を選ぶことも同様だ。アメリカは日本以上に「広い持ち家」に憧れがあるようだが、小さな家に住み、その家の広さに合わせた所持品に留めることで、自分が本当に大切にしたいものを意識できるようになるそうだ。
真似するには少々難しい、極端なミニマリストも登場した。特定の家を持たず、大きめのカバンに入るだけの荷物で生活している、実質ホームレスなミニマリストだ。皆で彼を真似することで幸せになれるかというとそうでもないだろうけど、じゃあ「皆で物質的な豊かさを求めたら幸せになったか?」というと、そうでもない。
どんな生活スタイルにせよ、マスメディアの宣伝広告に乗って、無意識的に生活しては幸せになれない。ミニマリズムは、自分の持ち物を絶えず監視・制限していくことで、意識的な生活を手に入れるというアプローチといえるのだ。
それぞれの身の丈にあった生活スタイルがあっていいんだ。
この単純な事実を改めて気付かせてくれる、おもしろいドキュメンタリーだった。