デンゼル・ワシントン監督・主演の「Fences フェンス」を観た

デンゼル・ワシントン好きこと Neo です。

今回 Netflix で観たのは、2016年の「Fences フェンス」。

1950年代のアメリカで暮らすトロイとその家族を巡る物語だが、映画の 90% は彼らの家の裏庭のシーンで構成されている。

黒人であったために、イマイチ野球選手として活躍できなかったトロイは、自分のような苦しみを味わわせたくないがために、息子に「フットボール選手なんか目指すな、大工にでもなって手に職をつけろ」ときかない。妻ローズ (ヴィオラ・デイヴィス) も息子の味方をして「あなたの時よりも人種差別は少なくなってきたのよ」などと説得するが、トロイは妻や息子の言い分を聞かず説教を続ける。

そんな亭主関白で頑固なトロイだったが、実は「厳格な父親・一家の主」を演じる辛さも感じており、近所のバーで働くアルベルタという女性と浮気してしまう。ついにはアルベルタを妊娠させてしまい、ローズに正直に打ち明けるが…。


デンゼルは2010年に本作の舞台をブロードウェイで演じていたようで、妻ローズ役のヴィオラ・デイヴィスとの掛け合いも完璧。本作では監督も努めている。

2012年にデンゼルが主演した「フライト」は、アメリカ国民としての反省・自省を描いていたが、本作は「黒人の自由に関して、自分たちで首を絞めていた部分もあるよね」といった反省・自省を描いている。

公民権運動以前の酷い経験を持つトロイのような「父」は、なかなか自由になろうとする子どもたちを見過ごせない。そのために、せっかく夢のあるスポーツ選手への道を諦めさせられてしまう息子。愛ゆえではあるものの、結局親が子供を抑圧してきたから、黒人はなかなか自由を取り戻せなかったのでは?(もしかすると今も?) というような問いかけに感じる。

日本に住んでいると、なかなか本作で描かれるような人種差別の深刻さを実感しづらいところがあるが、興味深い映画だった。

気分は晴れないので、元気な映画を見たい時は避けた方が良いかも。僕は笑顔のデンゼルが写るジャケット写真に騙されて見始めてスーンとしてしまった。w