30歳限界説
プログラマに対する35歳定年説なんて言葉があって、最近までは「な〜にが、そんなの馬鹿げてるぜ、俺は一生プログラマだわ」って思ってたけど、最近の僕の中では30歳限界説すら感じ始めてる。
プログラミングが嫌いになったワケではないが、以前ほどの興味が持てず、関心が薄れてしまった感じがする。
6年以上 SE 業をやってきて、要件定義から設計、コーディング、テストからリリースまで、全ての工程を一人でも出来るようになり、大抵の問題は解決できるようになった。設計や実装といったスキル面でいえば、知らない言語、分野はあれど、仕事としてやることになったらちゃんと勉強してやれるだろうな、というポテンシャルの自負がある。技術は日々進歩していって、色々なものが抽象化されていくが、結局根幹は変わらないので、今持っているスキルをベースに応用してやっていけるだろうなと思ってる。
僕の「人」の扱いには課題があるが、僕はそもそも人に興味がないので、営業とかコミュニケーション的な視点はわざと持たないでいる。最初から上手くやろうとかいう思いがない。他人と話しているとイライラして仕方ないので、仕事に絡めたくない。顧客折衝は誰か得意な奴がやっといてくれ、と思うのだが、やらされたらとりあえずやっている。上手くはないが、経験がないワケではない。
自分の向いていない分野がハッキリして、自分が自信を持てる分野はひとしきり何でもやれるようになってしまって (厳密には「なんでも知った気になっているだけ」なんだろうけどあえてこう表現する)、これ以上特定の分野を掘り下げたり、新しい分野に手を出したりしたいと思えなくなってきた。
僕は一度ある程度の領域にまで到達できると急激に興味を失う性格だ。幼い頃はポケモンカードの収集に始まり、ゲームのやりこみ、ギターやエフェクターいじり。その時々で色々なモノに興味は湧くのだが、ある時急に「もうココまでやったら、もういっか。」となる瞬間が来る。
それでもパソコンに関しては興味を失わないで20年以上やってきたが、ココに来てついに興味がなくなってきたかもしれない。
自宅に帰ってある程度時間があっても、何かを作ったりしたいと思わなくなった。その気になれば大体のモノは作れるし、今必要なツールなんかはもう揃った感があり、不自由ではない。解決したい課題も、表現したい事柄も殆どないので、プログラミングする動機も目的もない。
世間ではクラウドとか IoT とか、仮想通貨ブームが落ち着いて次は FaaS だ何だと次から次に色々な波が押し寄せているが、どれにも興味が持てない。俺たちはそんなに細かいこと気にしないといけないモノを作ってるのか?そんな仕事そもそもなくても困りゃしねぇじゃねぇか。なんかやるにしても、みんな Rails で実装して Heroku に載せて終わりで十分じゃないのか?結局のところ実現したいことってそれでいいはずじゃん。新しい設計技法も革新的な抽象化されたプラットフォームも要らねぇよややこしい。基礎がちゃんとできてれば何の問題もないのにな。
技術面でもウンザリしてきているのに、他人が絡むと急に「バカ向けの説明資料作り」が必要になる。ソイツらは読みもしないくせに設計書や手順書を作らされ、相手の都合で Markdown への移行もしきれずに結局 Excel の操作ばかり。こんなの昔っから同じようなもんばっかり作っとるわ。他の会社の全然知らないシステムの設計書を放り込んどいても分かりゃしねぇだろ誰も読みもしないしメンテもしないんだから。
仮想技術によって高度に抽象化された層がいくつも重なっていて、結局やりたいことは変わらないはずなのに毎回新しいことを覚えさせられて、本質を見失いかけている技術面。一方、人間側の追従が遅れているせいで未だに20年前と同じドキュメントを作らされる資料面。どっちにも飽きた。自分だけ多少できるようになっても、世の中は何も変わりゃしない。
表面的な技術は日々新しいモノが出てくるけど、結局は同じモノをこねくりまわしているだけ。進歩を感じないし職業的にも諦観が凄い。僕個人の体力低下も相まって、プライベートな趣味としても興味が薄れつつある。
完全に飽きてしまった時に、それでも仕事と割り切ってこれからも同じようなことをし続けるのか。それとも、三十路を過ぎてから別の業界にでも飛び込むのか。以前なら「仕事と割り切って続けよう」なんて考えていたが、最近は割り切れないくらいに興味が持てなくて苦痛だ。
多分、良い意味でも悪い意味でも、世界はあんまり変わっていなくて、自分が世界をどう感じるようになったか、という変化だけだと思ってはいるのだが、自分が認知する世界がこのままどんどん詰まらなくなっていくのは嫌だなぁ、本当はもうちょっと楽しいはずなんだろうに、って思ってる。