映画「Detective Pikachu 名探偵ピカチュウ」を観た
2019年、ポケモン初のハリウッド実写化作品。英語音声、日本語字幕で視聴。
探偵だった父ハリーの訃報を聞いたティムは、父の自宅を訪れる。そこで出会ったのは、父の相棒の名探偵ピカチュウだった。名探偵ピカチュウは人の言葉を話せるが、それはティムにしか聞こえない。そして、事故の衝撃で記憶を失っていたが、ハリーはまだ生きている確信があった。ティムは名探偵ピカチュウとともに、父の影を追ってポケモン研究所で起きた事故を追跡していく…。
とまぁこんな感じ。以降ネタバレアリ。
予告編でも明らかなとおり、ミュウツーが登場し、テーマの一つは「ミュウツーの逆襲」に通じるモノ。SF ながら、バイオ技術の科学的な可能性と、生命を操作するという倫理的な問題にもかかってくる。ただ、この方面は 3DCG リメイク版の「ミュウツーの逆襲」の公開が控えているので、そこまで強くはない。
それよりもメインに据えているのは、親子・父性といったテーマ。ティムとハリーだけでなく、ロジャー・クリフォードとハワード・クリフォードについても、「父というある種の壁」「父を超える」ことが描かれている。青年の自立という点は、ポケモンの初代ゲームから続く共通点であろう。
今回のミュウツーは早々に「優しい人間もおるんやなぁ…」と気付いていて、ミュウツーがハリーを殺したように見えていたが実はハリーを守ろうとしていたことが発覚。さらにハリーは生きていて、相棒のピカチュウにハリーの意識を注入し、ハリーの身体はミュウツーが預かっていた。エゴで暴れたハワードの悪行を謎の技術でチャラに戻し、ハリーの身体に意識を戻してミュウツーは去っていく。
ラストは復活したハリーの姿が明らかになるが、パッパはライアン・レイノルズだった。レイノルズも父親役とかやれる年齢になってきたんか…。と感慨深くなって終了。
エンディングロールの演出が良かった。初代ゲームの説明書に載っていた雰囲気のイラストが立ち並び、初代のゲームテーマが流れる。あぁ、この映画は初代ポケモンが大好きな人達が作ったんだな… という愛をひしひしと感じてグッと来た。
悪役となるハワード・クリフォードの行動が微妙で、「何で事故後の研究所が完全に無人なんだろう」とか「メタモンが扮していたロジャー・クリフォード以外にも数人の手下を連れてクルマでやって来たのに、ティムたちには目もくれず置き去りにするの?」とか、映画として観るといくらか疑問が残るシナリオだ。しかしこの辺りは細かく正確に描いても面白くなりそうな部分じゃないし、一貫して主人公目線で物語が進む感じはゲームそのものなので、「まぁなんか悪党側の都合があったんだろうな」と雑に解釈しておいて問題なさそう。
多少のツメの甘さはあるものの、ゲームボーイのポケモンを初プレイしたときの感動を、映画で本機で再現しようとしている感じは物凄く伝わってきた。ライムシティのような世界があったらいいな、こんな未来にならないかな、という夢が抱ける、素敵な映画だった。
GBA のルビサファエメラルド以降ポケモンをやっていないオジサンとしては、知らないカンフーパンダみたいなポケモンが出てきたりしていて、時の経過を感じて少し物悲しくなったりもした。笑