濃厚ホモ映画「A Single Man シングルマン」を観た

2009年の映画。コリン・ファースの濃厚ホモ映画。

舞台は1962年のロス。イギリスから来た大学教授のコリン・ファースは、長年連れ添った同性の恋人を交通事故で亡くし、失意から自殺しようと考える。律儀な性格なので、事前に色々と準備をしていて、とうとう自殺を決行しようとした「最後の1日」の彼の様子が描かれている。

死んだ元恋人役は、「セルフ・レス」のオルブライト役だったマシュー・グッド。雰囲気違って本作ではイカニモなゲイっぽい雰囲気。

コリン・ファースは女性とも付き合いがあって、今では良い友達になっている元彼女役はジュリアン・ムーア。2017年には「キングスマン:ゴールデン・サークル」でコリン・ファースと再共演している。良い「廃れ具合」を演じていた。

コリン・ファースがナンパしかけるスペイン人の良い男はジョン・コルタジャレナというモデルさん。また、コリン・ファースに言い寄ってくる大学の男子生徒はニコラス・ホルトが演じる。2011年以降の X-Men シリーズに出ているらしいが、自分が観ていないのでよく知らない。


男性の登場人物は、ホモホモしさがふんだんに描かれている。監督のトム・フォードは元々ファッション・デザイナーで、本作が監督デビュー作。トム・フォード自身がゲイらしく、その描き方はヘテロな人間でも「なるほど、そういうところに色気を感じるものなのか」と納得してしまうほどだ。

映像美が素晴らしい。コリン・ファースの気持ちが死んでいる時は映像の彩度が落とされているのだが、良い男に出会ったり、過去を思い出したりすると、パッと彩度が上がって世界が色付く。彩度の上げ下げというベタな映像表現だが、ファッション・デザイナーなだけあってか、大変効果的に使われていると思った。


生徒のニコラス・ホルトに誘われて海に飛び込んでみたりする内に、コリン・ファースは失意から回復していく。自殺は止めて、やっぱりもうちょっと頑張ってみるかな、と思い直したその瞬間、以前も起こしたことがある心臓発作に見舞われ、病死してしまう。

せっかく生きる意欲を持ち直したところだったのに、結局は自殺しようとしたその日に死んでしまう、という、物悲しいラスト。

直接的に「ブツ」が映ることはないものの、濃厚なホモシーンが散見されるので、電車内でスマホ視聴するには厳しかったが、大変映像美が際立った映画で、哀愁・憂いの表現が秀逸だった。