映画「Mr. Holmes Mr. ホームズ 名探偵最後の事件」を観た

2005年の映画。

X-メンシリーズなどでよく見かけるイアン・マッケランが、93歳のシャーロック・ホームズを演じる。体力は衰え、痴呆の症状も出てきた中、30年前に自身が引退に至った「最後の事件」を思い出す。

あらすじ

30年前のホームズは、トーマス・ケルモットという男性から、妻のアンの様子を見て欲しいと依頼を受ける。妻のアンは2度の流産を経験し、不審な行動を取るようになっていた。ホームズは彼女の外出先を追跡し、彼女が自殺しようとしていることを突き止める。孤独を感じていたアンに対し、ホームズは「愛する夫の元に帰りなさい」と諭す。彼女はその言葉に従ったかに見えたが、翌日、列車に飛び込んで自殺してしまった。

真実を突き止めても、孤独を感じている人を救うことはできないと感じたホームズは、この出来事をきっかけに探偵を引退してしまった。


痴呆の症状が見えかかっていた93歳のホームズは、記憶力の向上に「山椒 (サンショウ)」が効くと知った。そこで、ホームズの大ファンで、日本に住む真田広之に協力してもらい、サンショウを入手する。その帰り、真田広之は「父はあなたの助言に従い、母と私を日本に置き去りにしてイギリスから戻らなかった」と責めるが、ホームズは真田広之の父のことを思い出せなかった。

隠居していたホームズは、家政婦の息子ロジャーとともに、ミツバチの巣を世話していた。しかしある日、ロジャーは大量のハチに刺されて倒れてしまう。家政婦は「ミツバチが悪い、ホームズが悪い」と取り乱すが、ホームズはロジャーを刺したのはミツバチではなくスズメバチだと気付き、説明する。

失い孤独を感じていたのに救うことができなかったアンのことや、「最近母が亡くなった」と手紙を寄こしてきた真田広之のことを思い、ホームズは家政婦に「これからも一緒にいてほしい」と伝える。ロジャーは無事回復した。帰らぬ父、そして母を亡くした真田広之に対し、ホームズは「父は立派な人だった」と手紙を書く。既に亡くなっていたワトスンや兄マイクロフト、アンや真田広之の両親を想い、ホームズは祈る。

感想

パイプや帽子など、これまでの「ホームズ像」を明確に否定していて、ホームズ作品としてはちょっと異色な感じだった。でも「93歳のホームズ」という設定に対してはそれが見事にマッチしていた。

ホームズには痴呆の症状が見えるものの、それを重苦しく、極端に悲観的には描写していなかった。そういう状況下でも服の袖にメモするなど「知恵」で上手く切り抜けたり、人を見る洞察力は衰えていなかったりと、往年のホームズファンもすんなり楽しめると思う。

アンが企てていた計画を見事暴いた、ホームズには真相がハッキリ分かった、でもアンは死んでしまった、というところの、ホームズが感じるショックの大きさ。じっくり考えると理解はできるが、劇中ではわりかしサラッと展開していくので、「そんなことが原因で引退したの?」となりかけた。

少年ロジャー役のマイロ・パーカーは演技上手いねぇ〜。

アクション映画ではないので、良い意味で、ゆっくり安心して見られた。