映画「Pad Man パッドマン 5億人の女性を救った男」を観た

2018年のインド映画。

アルナーチャラム・ムルガナンダムという人が、低価格の生理用ナプキンを自作した実話がベース。アクシャイ・クマールというガタイの良い中年の俳優が演じている。

インドでは文化的な背景もあって、女性の生理は「穢れ」とされており、話題にすることすらタブーな状態。そのためか、衛生管理もまともになされておらず、同じ布切れを使い回して処理したりしていて、大変不衛生だった。

医者からは「不衛生すぎて死に至ることもあるから、ちゃんとしたナプキン買いなね」と言われるが、市販のナプキンは高額で、主人公 (アクシャイ・クマール) の嫁さんは「高いモン買わなくていい」「別にこの布切れでええわい」「つか男が穢れに触れすぎやもう話するの止めて!」と拒絶状態。

それでも嫁さんの身を案じる主人公は、高いナプキンがダメならと、低コストで作れるナプキンの開発に取り掛かる。しかしその試行錯誤の行為が「行き過ぎて」しまい、ついには村から追放されてしまう。

正式な離婚には至っておらず、別居状態となったが、ナプキン開発を止められない主人公は、ひょんなことから市販ナプキンの材料がセルロースであることを突き止める。その後も試行錯誤を重ね、ついに、電気を使わず低コストで作れるナプキンの開発に成功する。

しかし、男である主人公は実際に使用感を試すことができないでいた。そこに偶然、ナプキンを探す女性バリーと出くわし、自作のナプキンを差し出す。後日感想を聞くが、「別に、普通のナプキンじゃん?」と言われる。「普通」と言ってもらえた喜びを噛みしめる主人公を見て、バリーは経緯を訊ねる。

主人公が単独でナプキンを開発したと知ったバリーは、彼を投資コンペに誘い、見事グランプリを獲得する。その後もバリーが女性としてフロントに立つことで、世の女性達の抵抗感を減らし、「ナプキン製造機」が徐々に普及していく。

やがて主人公は、国際連合に招待され、ニューヨークでスピーチを行う。二人の活動によって、インドを始めとする後進国での生理処理事情が改善されつつあったのだ。

二人で普及活動を続ける中で、バリーは主人公に好意を寄せつつあったが、主人公は未だに嫁さんのことを想い続けていると知り、身を引く。

インドに戻った主人公は勲章を授与され、追い出された村に戻れることに。歓迎ムードの中、別居していた嫁さんも帰ってきてヨリを戻す。バリーにお礼を伝えようと、主人公夫婦はバリーの家を訪れるが、バリーはイギリスに渡っていた。バリーはイギリスで、主人公が表紙を飾る雑誌を見て、微笑んだ。


実話をベースにしたそうだが、普及活動を手伝ってくれる「バリー」という女性は非実在。本人によれば、それ以外の「85%」が事実どおりに描かれているという。

役名は女神の名前から取っていたりして、そこら辺知ってたら物語の深みをもっと味わえたのかもなぁと思った。

インド映画では、「三角関係になりかけるが、女性が身を引いて夫婦が元サヤに戻る」みたいな展開はよくあるらしくて、本作のフィクション部分もそのセオリーに則ったモノだったようだ。

実際の出来事は2001年から2005年頃にかけての話だったようだが、2018年の公開時でも、インドやパキスタンなどでは「タブーに触れている」ということで大きな衝撃だったみたいだ。パキスタンでは上映禁止になるほど。

未だ「古くからの伝統」に縛られる文化情勢もあるが、それらを乗り越え、人々から「異常」だと思われることを「当たり前のこと」にしていく、主人公の姿勢が素晴らしかった。