映画「I.T. サイバー・リベンジャー」を観た
2016年。ピアース・ブロスナン主演。
プライベートジェット機を Uber よろしく貸し出せる画期的なサービスをリリースしようとしている、民間航空会社社長のピアース・ブロスナン。最近自宅の Wi-Fi の調子が良くなかったので、派遣の IT 技術者の若造に修理を依頼する。
派遣の若造はちょっと根暗っぽいが、技術力は確かだった。Wi-Fi も調整してくれたので、ブロスナンはバーベキューをおごり、酒を飲み交わしながら「自社のリリース・それ以降も君に仕事を任せていきたい、頼りにしているよ」と伝える。
この言葉を勘違いした IT オタクは、ブロスナンの娘と Facebook で友達になり、家に押しかけたりするようになる。さすがに従業員とそこまで親密になるつもりはないと、ブロスナンは彼を追い返す。
「友達だと言ったはずなのに…」と落胆する IT オタクは、復讐を開始する。ブロスナンの家の IT 家電をハックしたり、奥さんの乳がん検診が陽性だったとデマのメールを送り付けたりする。コレにブチギレたブロスナンは IT オタクをド突き、「これ以上家族に近付いたら殺すぞ」と文句を言う。
その言葉にさらに逆ギレした IT オタクは、ブロスナンの娘がオナニーしている動画を盗撮して学校中にバラ巻いたり、ブロスナンのクルマのブレーキをハックして事故を起こしたり、上場の準備をしていた会社で不正があったかのようなデータを流したりして上場にストップをかけさせたりと、やることが過激になっていく。
そこでブロスナンは、知り合いの紹介を通じて、闇の IT 技術者と知り合う。彼は「掃除屋」と呼ばれており、ネット上からブロスナン一家の痕跡を削除し、さらに IT オタクの経歴や家の情報まで突き止める。彼の経歴には嘘が多く、精神病を患っていたようだ。
さらに、「IT オタクはクラウドを使わず、自宅のマシンや、USB メモリなどを活用する。彼もそうだろうから、彼の家にある USB メモリを盗み出そう」と、掃除屋。よっしゃ分かった、ということでブロスナンが IT オタクの家に忍び込み、USB メモリを盗み出す。
…が、警察には「盗品を証拠として持ち込まれてもねぇ…」と取り合ってもらえず、IT オタクは釈放される。ついに IT オタクはブロスナンの家に銃を持って乗り込み、娘と奥さんを縛り上げる。帰宅したブロスナンにも銃を突きつけるが、MI6 仕込みの捨て身タックルで IT オタクを倒す。
それから時は過ぎ、会社は無事上場できたのか何かのパーティが開かれ、娘や奥さんも元気に暮らしていましたとさ。おしまい。
…つーわけで、IT 技術者への偏見を助長するような IT ヘイトな作品だった。
劇中で IT サイコ野郎が仕組むクラッキングの内容は、まぁ原理的には可能かな、と思わせる描写になっていた。ブロスナンのクルマのブレーキまで操れたのも、冒頭でサイコ野郎がブロスナンのクルマに「軍の衛生を使ったカーナビのソフトウェア」とやらをインストールしていたので、バックドアが仕込めたのかなーと思える。クラウドを多用せず自前の USB メモリなんかを使ってる、というところも、まぁまぁリアル。
IT に疎いままでいると、IT を悪用する人間にこういうことされるよー、という意味で恐怖を煽っていたが、こちとらプログラマなので、そういうリテラシーの低い人間の代表として描かれるブロスナンが、最終的に超アナログな腕力で勝って終わる、というストーリーがどうにも。この時代に IT 否定してもダメっしょ…という。w