Netflix オリジナルドキュメンタリー「Spy Who Fell To Earth あるスパイの転落死」を観た
Netflix オリジナル、2019年のドキュメンタリー。アシュラフ・マルワンという人物の正体、そして死に迫る。
アシュラフ・マルワンはエジプトのナセル元大統領の娘と結婚し、エジプト政府の重要なポストに就いていた。
そんな彼は一方で、イスラエルの諜報機関であるモサドに対し、エジプトの情報を流していたとされている。
アシュラフは、1973年の第4次中東戦争において、エジプトが奇襲攻撃を仕掛けてくることをイスラエルに伝えた。しかし実際には、間違った開始時刻を伝えており、イスラエル軍は苦戦したという。
この一件を、
- アシュラフはエジプト政府に潜入したイスラエルのスパイ
- 開始時刻を伝え間違えたのは、アシュラフが計画変更を知らされていなかったため (故意ではなく過失)
とイスラエル側に有利な視点でみなすか、
- アシュラフはイスラエルのスパイのフリをしていたが、エジプト政府の言うことを聞いていた、いわゆる二重スパイ
- 開始時刻を伝え間違えたのは、イスラエルの味方のフリをしながらもエジプトに有利になるようにするため (故意)
とエジプト側に有利な視点でみなすか、
というところで、両国で彼の見方が異なっている。
ただ、この戦争がきっかけで1979年にエジプト・イスラエル平和条約が締結され収束したので、彼は両国で英雄とされている。
その後、イスラエルの将軍エリ・ゼイラは、アシュラフ・マルワンが二重スパイだったとみなし、イスラエルのモサドに大きな失敗をもたらしたとして、自身の書籍で触れている。
このアシュラフ・マルワンという人物に興味を持ったのが、イスラエル育ちのアロン・ブレグマンという歴史家のオッサン。
彼はあちこちに取材を重ねた結果、ついにアシュラフ本人とコンタクトが取れるようになる。彼との会話の中で、二重スパイだと明言したことはなかったものの、受け答えから「アシュラフはやっぱり二重スパイだった!」と確信した、とアロン・ブレグマンは語る。
しかし、二重スパイの疑惑がメディアに掲載され、アシュラフは命の危険を感じるようになる。そして2007年6月27日。アロン・ブレグマンと会う約束をしていたその日に、アシュラフ・マルワンはロンドンのアパート5階から転落死してしまう。
彼が転落する瞬間を目撃していた人物がいて、「バルコニーに2人の人影が見えた」と証言しかけるが、なぜか有耶無耶になってしまう。
彼が自殺したのか、それとも謀殺されたのか、真相は未だ解明されていないが、「私が真実を追い求めたばかりに、彼を死に追いやってしまった」と、アロン・ブレグマンは後悔の念を述べる。
イスラエルのこともエジプトのこともよく知らないので、はえ~そうなんか、という感じで見るしかなかったが、アロン・ブレグマンがなんだかニヤニヤ・ニコニコしながらインタビューに答えてるのは、何だか気持ち悪かった。
アシュラフ・マルワンについては「コードネーム・エンジェル」という映画にもなっている。