映画「Irishman アイリッシュマン」を観た

2019年。Netflix 独占配信。マーティン・スコセッシ監督。ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシ主演。3時間半近い長編。

という実在の人物を描いている。


トラック運転手のデニーロは、マフィアのボスであるジョー・ペシに気に入られ、マフィアの世界に入っていく。ジョー・ペシは全米トラック運転手組合のリーダー、アル・パチーノを紹介し、デニーロは彼のボディガードとして家族ぐるみで付き合うようになる。

しかし、ロバート・ケネディが司法長官になると、パチーノはマフィアとの癒着を追及され始める。パチーノとマフィアとの関係は悪化するが、パチーノは自分のやり方を変えようとしない。ジョー・ペシはデニーロを通じてパチーノをなだめようとするが、状況は悪化する一方だった。

そして1975年。これ以上パチーノを野放しにできないと判断したジョー・ペシの命令で、デニーロはパチーノを暗殺する。

デニーロ、ジョー・ペシらは後に別件で逮捕される。ジョー・ペシは後に病死する。デニーロは出所し、老人ホームに入る。事件の関係者が全員死んでもなお FBI には真相を話さなかったが、「あなたは誰をかばっているんです?」と聞かれる。

そんな父デニーロを憎んでいた娘とは会ってもらえず、老人ホームに一人佇むデニーロであった。


メチャクチャ長い映画だった。事実を基にしていて、派手なアクションは少ないが引き込まれた。

2019年時点で3人とも75歳超えだが、若かりし頃のシーンも CG 処理で若返らせ、本人たちが演技している。CG は ILM が担当しているらしく、Netflix 上で見られる「監督・出演陣が語るアイリッシュマン」の中で一部メイキングが見られる。

ただ、さすがに乱闘騒ぎになるシーンなんかの演技は年齢を感じさせてしまい、「40代くらいの設定なのに随分身体が重そうだな…」と思うシーンもあったりする。CG 処理は「不気味の谷」を超えたか超えていないか怪しいところだが、これは恐らく「本当のデニーロはこんなに若くない」ということを知ってしまっているからそう感じるのかもしれない。「メチャクチャリアルだけど、CG でしかこんなことありえない」と思ってしまうと、どうしても作りモノっぽく見てしまうみたいだ。

この映画の原作は、デニーロが演じたフランク・シーランの告白に基づくノンフィクション小説だそうだ。しかしこの映画は「どれだけ真実を正確に描くか」という点ではなく、フランク・シーランが巻き込まれた世界の不思議さを、彼の目線で表現している感じだ。だからこそ3時間半近い作品になっているし、老いたフランク・シーランの回想という体裁を取っていることの意味と効果が表れていると思う。