Netflix ドキュメンタリー「Darren Brown Sacrifice」を観た

2018年。先日紹介した「The Push」同様、メンタリストのダレン・ブラウンが仕掛ける大掛かりなドッキリ番組。

ターゲットは、母国愛のために移民を嫌う、アメリカ人の男性。そんな彼に「勇気を持って行動する」ための心理学的な施策を施したら、彼は「殺されそうになっているメキシコ人を命がけで守り、自分が代わりに銃で撃たれることを選択するのか」というとんでもない実験。

今回も大掛かりな実験を仕掛けている。前半は、勇気を奮い立たせる条件付けのために、別の実験をでっち上げる。架空のアプリを使い、特定の音が鳴ると勇気が出てくる、といった暗示を繰り返しかけていく。

その際、彼の遺伝子検査を行い、彼の遺伝子学的なルーツが北欧やメキシコ、中東など、アメリカ以外のところにルーツがあることを知らされる (この検査結果自体は本物)。その検査結果を聞き、彼の中で嫌悪していた、メキシコ人などの移民に対する気持ちに変化が生じる。

架空の実験は一段落し、しばらく時間をおいたところで、本命の実験が始まる。友人に誘われてラスベガス旅行に向かう途中、保守的なバイカーと仲間になる。彼らは以前の自分のように移民を嫌っていて、バーを訪れたメキシコ人たちと喧嘩を始める。

喧嘩がエスカレートし、バイカーがメキシコ人に拳銃を向け始めたところで、カーラジオから「あの音」が流れる。そう、聞いた瞬間に勇気が湧き出てくる、あの条件付けを強化されたトリガー・サウンドだ。

その音を聞いた瞬間、彼はメキシコ人の前に立ち、バイカーに向かって「こんなことは止めるんだ!」と注意する。毅然とした態度でバイカーに警告を伝え、銃を降ろすよう懇願する。

しかしバイカーは銃を発砲。すると彼の腹部から血が流れてくる…。

…するとそこにダレン・ブラウンが登場。腹部の血は予め用意された血のりで、もちろん銃は空砲。そしてこれまでの出来事全てが実験であったことを知らされ、男性はほっと一安心する。

他人への共感、自分の行動を選択する勇気、といったものが、心理学的にどのように操作でき、どのように自分を変えていくのか、といったことが示唆される、とても面白いドキュメンタリーだった。