映画「Concussion コンカッション」を観た
2015年の映画。
ナイジェリアからアメリカに上京してきた解剖医のウィル・スミスは、優秀ながらマイペースなところがあり、アメリカ的な「空気」は読めない様子。解剖作業を始める前に遺体に話しかけたりしていて、周囲からちょっとキモがられている。
ある日ウィルは、アメフト選手の解剖を行うことになる。彼は生前、アルツハイマーやうつ病のような症状が出ていたが、解剖してもそうした兆候は見られなかった。代わりに、脳の中で見たことのない症状を発見する。
相次いでアメフト選手が自殺し、ウィルが検死を続けると、彼らの脳に同じ症状が見えることを突き止めた。よくボクシングなどでいわれる「パンチドランカー症候群」と同じ原理で、外傷により脳のタンパク質が変化、正常な脳を圧迫し、アルツハイマーなどに似た症状を引き起こしているというのだ。
脳科学の権威である医者の協力の基、ウィルの研究が医学雑誌に掲載されると、アメフト業界やファンからは過激な反発が起きた。アメフトは街や国の経済活動に大きく関わっており、「プレイによる脳の外傷」などという評価がなされては興行に悪影響だ、というワケだ。
かつて NFL の顧問を務めていた医師のアレック・ボールドウィンは、NFL の隠蔽体質を把握しており、ウィルに協力して NFL との会議をセッティングするが、NFL はその会議すらも上手く握り潰してしまった。
ウィルはあの手この手で攻撃され、ついには FBI にまでマークされてしまう。「正しい忠告をしただけなのに…」と困惑するウィルだが、妻にまで危険が及んでしまうため、引っ越して隠居することにした。
…それから数年後。かつてウィルの研究を批判していた元アメフト選手が、遺言を残して自殺した。彼は銃で心臓を撃って自殺しており、「私の脳を調べてほしい」と遺書に残していたのだった。彼を調べると、やはりこれまでの遺体と同様に、外傷による脳の損傷が見られたのだった。
ようやくウィルの研究が世間に認知され、NFL は事態を把握していたことを認めたのだった。
実話に基づく話らしいが、21世紀に入っても「アメフトによる脳へのダメージはない」なんて論がまかり通っていたのか…と逆に驚いた。w