映画「Laundromat ランドロマット パナマ文書流出」を観た

2019年。2016年に発生した「パナマ文書」事件を描いたコメディ

そもそもパナマ文書騒動がどういうモノだったかというと、パナマの「モサック・フォンセカ」という法律事務所から機密文書が流出したというモノ。その文書群にはオフショアを利用していた政治家や富裕層の情報が記されており、脱税や資金洗浄を行っている者が炙り出されてしまった。

この作品は「モサック・フォンセカ」社の代表2人から見た、一連の事件に対する見方を面白おかしく描いている。ユルゲン・モサック氏をゲイリー・オールドマンが、ラモン・フォンセカをアントニオ・バンデラスが演じているのだが、実際の二人によく似ていた。ていうかゲイリー・オールドマン太った?ていうかアントニオ・バンデラス痩せたね?

モサック・フォンセカが関わった会社により、被害者となった人物の一人として、メリル・ストリープが演じる「エレン」という婦人が登場する。夫が船の事故で死亡し未亡人となったエレンは、保険会社からの保障を受けようとするが、その保険会社は実体がなく、保険金が下りないと分かる。そこで独自に調査を進めると、こうしたペーパー・カンパニーの裏側にモサック・フォンセカが絡んでいることを発見する。

一方、モサック・フォンセカで働くパナマ在住の市民たちは、自分たちが何の書類にサインをしているのか、イマイチハッキリ知らなかったりする。ただの電話番だったオバサンが突然昇進させられ、25,000社以上の「取締役」になったりしていた。

その他、ペーパーカンパニーを利用して私腹を肥やしていたノンソ・アノージーや、中国の大富豪にペーパーカンパニーの話を持ちかけて逆に毒殺されるマティアス・スーナールツのエピソードなどが出てくるが、これらの人物の裏にも、モサック・フォンセカが絡んでいるのだった。

結局、何者かによって流出させられた「パナマ文書」により、代表二人は捕まる。その二人を横目に、「突然出世したオバサン」が語り始める。オバサンは話しながら衣装やカツラを取り外していくと、みるみるうちにエレンが登場。さらに「エレン役」の衣装も脱ぎ捨て、素のメリル・ストリープが現れると怒りをあらわにし、「こんなのおかしいでしょ!?」と訴えて映画は終わる。


自分は大学で経済学専攻だったこともあり、タックスヘイブンのことや資金洗浄の手口なんかは知っていたし、世の多くの富裕層がこうした「節税」をやっているんだろうな、ということも分かってはいた。

この映画はコメディに属しており、モサック・フォンセカの二人は度々「第四の壁」を超えて話しかけてきたり、マネーロンダリングの手口を分かりやすく解説してくれたりする。「この映画の監督ですら、5社のペーパーカンパニーを作ってる」などと言ってのける。

「パナマ文書問題」が何だったのか分かっていなかった人には特にオススメな映画だ。