映画「TENET テネット」を観た

2020年。クリストファー・ノーラン監督。ネタバレ全開で行くのでヨロシクゥ!

目次

設定と用語の整理 (ネタバレなし)

TENET には独特な用語が出てきたり、特殊な設定が多いので、代表的なところをおさらいしておく。コレだけ理解しておくと、初見で大体の話が理解できるはず。ネタバレはなし。

登場人物

用語

一言あらすじ (ネタバレあり)

ココからはネタバレありで書きます。

世界を破滅させる「アルゴリズム」の起動を阻止するため、CIA エージェントの「主人公」が時間を逆行して奔走する。

アルゴリズムの起動は無事阻止した。時間を逆行する組織を作ったのは未来の自分だと気付いた「主人公」は、主導者としての自覚を持ち活動を開始する。

…っていう映画なんですねー。あらすじの詳細を書きつつ、ストーリーの全貌を整理していこう。

あらすじ

映画を順に見ていて、その場で分かることは地で書く。後になって整理すると分かってくる情報を、箇条書きで間に挟んで書く。

オペラハウス

「主人公」(ジョン・デイヴィット・ワシントン) は CIA エージェント。ロシアのオペラハウスがテロリストグループに占領され、ロシア現地の特殊部隊が踏み込むことを事前に知っていた。主人公はその現場に紛れ込み、真の目的を果たすために派遣されている。そのため、主人公は「KOPA」という特殊部隊のバッジを貼り付けて現場に紛れ込む。

主人公は、混乱に乗じて VIP 席にいた男を保護する。そしてクロークのジャケットに隠していた「プルトニウム241」なる爆弾を回収する。

爆弾にしては見慣れない形をしているな、と話す CIA メンバだが、主人公はそれよりも特殊部隊がオペラハウス会場に爆弾を仕掛けていたことが気になり、無関係の観客たちを死なせるわけにはいかないと、爆弾を回収しに回る。

主人公が爆弾を回収しようとしていると、特殊部隊の一人に正体がバレかけるが、逆行する銃弾を放つ謎の特殊隊員に命を救われる。その特殊部隊のリュックには五円玉のようなアクセサリーが付いていた。

主人公はなんとか爆弾を回収し、観客への被害を最小限に食い止めた。無事オペラハウスから脱出できたのも束の間、自分と仲間はテロリストの一味に捕まってしまう。主人公は拷問に耐え、テロリストのスキをついて自殺用のカプセルを服用する。

TENET・時間逆行を知る

しかし、主人公は船の上で目を覚ます。拷問で抜かれた歯は元通りになり、謎の男から「君はテストに合格した」と伝えられる。

未来では時間を逆行する装置が開発され、それによって第三次世界大戦、世界の破滅がもたらされるとのこと。主人公はそれを阻止するための計画、「TENET」という組織に参加することになる。

主人公は海上の風力発電機の作業員に成りすまして待機し、作業員のフリをして港に戻る。そしてとある研究所に行き、銃弾が逆行する拳銃などを手にする。

女研究者は、逆行銃の部品がインド製であることを突き詰める。それを聞いた主人公はインドの武器商人、サンジャイ・シンに会って話を聞こうとする。

ムンバイに降り立った主人公の元に、ニールと名乗る男が現れる。彼は主人公がコーラを好むことを知っており、サンジャイ・シンには正攻法では会えないと助言する。

そこで二人は夜な夜な、シンのマンションに忍び込み話を聞こうとする。しかしそこで正体を表したのが、妻のプリヤ。このオバサンが武器商人の本当のボスで、セイターというロシアの武器商人に武器を流していたことが分かる。しかしその武器は逆行するような特殊なモノではないという。

プリヤは、セイターが現在潜伏しているイギリスに詳しい「マイケル・クロスビー」というオッサンを紹介する。マイケル・クロスビーと会った主人公は、ロシアの秘密都市「スタルスク12」で、オペラハウスの騒動があった日と同日に爆発があったことを聞く。また、セイターに近付きたいなら嫁のキャットを攻めてみると良いとアドバイスを受け、ゴヤの贋作を譲り受ける。

キャットとの出会い

セイターの妻キャサリン (通称キャット) は、トマス・アレポという画家が描いたゴヤの贋作を一緒に出品し、それを夫セイターに落札されていた。セイターは贋作と知っていたが、妻を支配下に置くためわざと落札していたのだった。

キャットはセイターの束縛・DV に悩むが、一人息子のマクシミリアン (マックス) がいるために、セイターの元で大人しく過ごしているのであった。

キャットと出会った主人公は、セイターが所持する贋作を盗み出してやろうと持ちかける。その絵は租税回避のために「オスロ空港」に隣接された、「ロータス社」の倉庫に保管されているという。

倉庫に忍び込む方法を考える主人公とニール。結局、ニールはボーイング747を地上でハイジャックし、倉庫にぶつける作戦を提案し、実行する。

ニールが得意な鍵開けの技術により、贋作を探しながら倉庫内を探索する主人公とニールであったが、絵画は見つからなかった。代わりに、2つの扉がある不思議な装置がある部屋に辿り着いた。無人の部屋に拳銃が転がり、窓には銃痕が残っている。「何が起きたのだろう?」と聞くニールに、「まだ起きていない」と答える主人公。

次の瞬間、2つの扉から防御スーツを着た2人の男が飛び出してくる。逆行した動きをする1人の男と格闘する主人公。

ニールはもう一人の男を追いかけるが、その男の顔を確認すると、追跡を止めてしまう。

逆行する男と格闘する主人公だったが、逆行する男はシャッターの外に吸い込まれるように消えていった。

セイターに近付く

オスロ空港での騒ぎの2日後、主人公はムンバイの船で、再びプリヤと話す。プリヤに空港で発見した時間逆行装置のことを話すと、それは未来の装置だと説明する。セイターはオペラハウスでプルトニウム241を奪還しようとしていたこと、彼を殺すと爆発が起こる可能性を示唆する。

贋作は見つからなかったが、逆にもう問題ないべ、と踏んだ主人公は、キャットに「セイターと会わせてくれ」と依頼する。セイターと顔を合わせた主人公は、翌日のセーリングの約束を取り付ける。

翌朝、セイターはキャットの前に贋作を置き、「嫌な予感がしたから避難しておいた」と言う。主人公に裏切られた怒りと、セイターの支配から逃れられない絶望感からヤケになったキャットは、セーリング中のセイターを海に突き落としてしまう。

プルトニウム241に関する情報をまだ聞けていない主人公はセイターを救助し、セイターに「プルトニウム241を盗み出し、売りたい」と持ちかける。

セイターはこの時、地元の「スタルスク12」という都市で核の除染作業をしている時に、「未来人からの使命を受け取った」と語っている。

主人公はセイターが投げ渡した金の延べ棒に、船の上の土を付着させて採取しており、これがロシアの土であることを突き止める。そして、スタルスク12の地下で、時間を逆行した素材をやり取りしていると推測する。

プルトニウム241を奪還する

セイターはキャットを連れてアジトに向かい、その場を離れる。

CIA が奪還したプルトニウム241は、エストニアで移送されていた。主人公とニールは仲間の協力を得て、ハイウェイを走る移送車からプルトニウム241を盗み出す。「プルトニウムらしくないな?」と話す主人公に、「それ以上に危険なモノだ」と話すニール。

その直後、主人公とニールの車の前に、逆行するクルマが現れる。バックの状態で並走するそのクルマに乗っていたのは、酸素マスクを付けたセイターと、頭に銃を突き付けられたキャットであった。

「3つ数える内にプルトニウム241をよこせ」とジェスチャーするセイター。そこに、横転した状態から復活し、バックで並走するクルマがさらに登場する。驚きつつも、主人公はプルトニウム241が入っていた箱を、セイターに投げ渡す。

するとセイターは別のクルマに飛び移って避難し、走行中のクルマにキャット一人を置き去りにする。キャットを救うべく、主人公はクルマを飛び移り、すんでのところでブレーキを踏んでクルマを停車させた。

その束の間、またもやセイターの手下に襲われ、キャットと主人公はセイターのアジトに拉致される。

時間逆行装置を巧みに使いこなすセイター

窓ガラスを隔てて、赤い部屋に連行された主人公。そこには時間逆行装置があり、向かいの青い部屋には、酸素マスクを付けたキャットと、酸素マスクを外したセイターが現れる。セイターは「プルトニウム241の本当の在り処を言え、さもなくばキャットを撃つ」と脅す。主人公が躊躇している間に、セイターはキャットの腹部を逆行銃で撃ってしまう。

主人公は「自分たちが乗っていた BMW に隠した」と白状する。するともう一人のセイターが自分の元に現れ、「本当なんだろうな」と詰め寄る。

そこにニールたちの仲間が踏み込んでくると、二人のセイターは時間逆行装置に飛び込んで消えてしまった。

映像は時間逆行装置に飛び込んだ「順行セイター」の目線になる。順行セイターは逆行状態になると、順行状態の主人公を見ながら、巧妙に話をする。

逆行セイターは主人公の応答に関係なくキャットの腹部を撃っていて、そのままアジトから姿を消していた。

逆行世界に飛び込む主人公

混乱する主人公に対し、ニールは「TENET」の組織のメンバであるウィーラーやアイブス、時間逆行装置の概念を紹介する。

腹部を逆行銃で撃たれたキャット。逆行銃はエントロピーが逆転している関係で傷が深いという。傷を治すには時間逆行装置に入り、時間を逆行すれば良いらしい。主人公とキャット、そしてニールと TENET のメンバ達は時間逆行装置に入り、セイターを追いかけつつ、キャットの治療を行うことにする。

逆行セイターは、順行するセイターの手下たちが主人公とキャットを拉致するハイウェイの現場に戻ってきた。そこで主人公とニールが乗っていた BMW を漁るが、プルトニウム241は見つからない。そこでこのまま時間を逆行したまま、順行状態の主人公たちの BMW と並走することにする。

逆行状態になった主人公は、セイターを追いかけてハイウェイに戻り、捨ててあった「プルトニウム241が入っていた箱」に追跡装置を仕込んで監視する。そこにセイターが現れたので、主人公も追いかける。セイターのクルマと並走状態になり、先程現れた「横転状態から復活したクルマ」が、まさに自分が運転するクルマだったと気付く。

「プルトニウム241が入っていた箱」を、逆行セイターが順行主人公に投げ渡そうとしていると、逆行主人公の車の後部座席で「プルトニウム241」がうごめく。実は順行主人公は、「プルトニウム241が入っていた箱」をセイターに投げ渡しながら、プルトニウム241本体は、逆行する主人公のクルマに投げ込んでいたのだ。

箱とプルトニウム241の両方が、順行主人公の手元へと吸い戻される。次の瞬間、逆行セイターは逆行主人公のクルマに体当りし、逆行主人公のクルマは横転してしまった。

横転したクルマの中でもがく主人公。そこに逆行セイターが現れ、クルマに火を付けて立ち去る。時間が逆行する世界では、火は周りを凍らせるので、爆発とともに主人公は凍結する。

アルゴリズムとセイターの狙い

逆行する爆発により低体温症になった主人公は、ニールに救われ、コンテナの中で目を覚ます。

怪我を治療中のキャットとともに休憩を取りながら、主人公とニールは時間を逆行し、オスロ空港にあった時間逆行装置を利用して順行状態に戻ろうとする。ココで主人公は、「プルトニウム241」が単なる核爆弾ではなく、「アルゴリズム」と呼ばれるパーツの一つであり、コレが完成すると世界中のエントロピーが逆転し、世界が破滅することを知る。しかし、セイターがそのアルゴリズムをいつ発動させようとしているかは掴めていなかった。

オスロ空港の「謎の防御スーツの男」

1週間ほど時間を逆行した3人は、オスロ空港に辿り着く。キャットの容態はだいぶ回復していたが、主人公の右腕には謎の刺し傷が出来始めていた。

3人は逆行状態なので、キャットとニールは酸素ボンベを付け、主人公は防御スーツを着込んで、コンテナからオスロ空港に降り立った。

主人公が先に一人順行状態に戻り、逃走用のクルマを用意するということで、時間逆行装置がある部屋へと向かおうとした瞬間、建物に衝突させたボーイング747のエンジンが爆発する。その衝撃で主人公はシャッターの下を滑り込んでしまう。

そこにいたのは順行する主人公とニール。防御スーツを着た逆行する男とは、その後の自分自身だったのである。逆行状態にある防御スーツを着た主人公からすると、過去の主人公の方が逆転しているように見えている。逆行主人公は過去の自分と乱闘し、過去の自分を振りほどいて時間逆行装置に飛び込む。

そして順行状態に戻った主人公は、過去のニールに追われるが、ニールが主人公のマスクを外して顔を確認すると、ニールは見逃すのだった。そう、ニールはこの時点で、防御スーツの男が「何日か後の主人公」であることを悟っていたのだ。

順行状態に戻った主人公は再び空港の建物を飛び出し、クルマを調達する。

逆行状態で待機するニールとキャットは、その順行状態の主人公が逆転している様子を確認する。そして二人は時間逆行装置に入り、順行状態へと戻って、主人公と合流した。

主人公はニールに「お前はあの時すでに、防御スーツの男の正体に気付いていたのに、どうして教えてくれなかったんだ」と尋ねる。ニールは「時間逆行にまつわることは、知りすぎていない方が良いのだ」と答える。

アルゴリズムが起動する日

オスロ空港で順行状態に戻った3人。キャットの怪我はだいぶ良くなった。主人公はプリヤを呼び出し、プルトニウム241の正体を尋ねる。

プリヤは、未来の科学者が時間を逆行する「アルゴリズム」という装置を発明したことを話す。その装置は世界のエントロピーを反転させる危険性から、9つに分解され、9つの核保有国にある核貯蔵施設に保管されていたという。セイターは未来人からのメッセージを受け取り、8つのアルゴリズムを集めたという。そして最後の9つ目が「プルトニウム241」だったのだ。

プリヤがある程度未来を把握しており、自分が利用されていたと気付く主人公。主人公は、自分がセイターの暴走を食い止め世界を救うと宣言し、時間逆行のことを知っているからといってキャットを殺すな、と忠告する。

主人公・ニール・キャットの3人は、TENET が所有する船に乗り、その船にある時間逆行装置を使って、さらに時間を逆行する。

ニールは、セイターは自分が死ぬのと同時にアルゴリズムを起動させるように設定しているだろうと話す。ということは、セイターがいつ死ぬのかを特定し、それを阻止する必要がある。

キャットは、セイターが最後に幸せだと感じた、休暇中のある日を最後の日にするのではないかと話す。その日セイターは船から突如として姿を消し、浮気相手と思われる女が船から海へと飛び込む姿を見たのだと、キャットは言う。ニールによると、その日とは、10日前の「オペラハウス」でのテロ騒動があった日と同日であるという。

スタルスク12の地下でアルゴリズムが9つ揃ったことを確認したら、セイターは自殺し、それによりアルゴリズムを起動させるつもりだろう、と主人公は語る。

そこで、主人公はキャットに、セイターが自殺しないよう見張ってもらうため、休暇中の船に戻ってもらうよう依頼する。


船の上で逆行する主人公らは、アイブスに情報を共有する。

マイケル・クロスビーによると、オペラハウスでのテロ騒動があった同日に、スタルスク12で爆発が起きたらしい。この爆発とは、完成したアルゴリズムを地下に埋めるためのモノだと推測する。

十分に時間を逆行した主人公らと TENET のメンバは、いよいよ順行に戻る。その別れ際、主人公はキャットに携帯電話を手渡し、「身に危険を感じたら電話してくれ」と伝える。

スタルスク12での決戦

キャットは順行状態に戻ったあと、仲間の協力でセイターと過ごした船に舞い戻る。

主人公は逆行状態に戻ったあと、アイブス率いる「赤チーム」の一員となり、時間の挟み撃ち作戦 (タイム・スクイーズ) を決行する。

主人公らの赤チームは、目標時刻の10分前から順行状態でスタルスク12に侵攻する。

一方、ウィーラーがリーダを務め、ニールが所属する「青チーム」は、逆行状態。目標時刻の10分後から逆行状態でスタルスク12に侵攻する。

スタルスク12はセイターの組織が順行状態・逆行状態混在で待ち受けていると推測される。地下にある核試験施設 (ハイポ・センター) を目指して侵攻することになる。細い入口があり、爆発により核試験施設の真上に大きな穴ができることが、逆行チームの調査により判明している。

赤チーム全体には、そこで爆発を引き起こさせることが目標とされており、一部のメンバが「真の目標」を遂行する、とだけ説明される。主人公がアイブスに尋ねると、「我々二人が真の目標を達成するメンバだ」と話す。


赤チームがスタルスク12に降り立つと、そこには「ヘリに乗り込もうとする青チーム」の逆転した姿があった (10分後の未来から侵攻を始めた青チームが帰っていく様子)。一方、青チームがスタルスク12に降り立つと、そこには「負傷しながらもヘリに乗り込もうとする赤チーム」の逆転した姿があった (10分後の未来の時点にいる青チームは、全ての作戦が終了した赤チームの様子を見ていることになる)。

セイターの手下たちと銃撃戦を繰り広げながら、スタルスク12に侵攻していく。

一方、キャットは船に戻り、ヘリで船に戻ったセイターと合流する。

赤チームは、上陸してからちょうど5分後、スタルスク12の中心にあるビルめがけてロケット砲を放つ。一方の青チームも、上陸してから5分後、赤チームと同じタイミングで、同じビルにめがけてロケット砲を放つ。コレにより、「崩壊していたビルが巻き戻って正常に戻った次の瞬間、そのビルにロケット砲が当たって崩壊する」という現象が起こる。

主人公とアイブスは爆発の混乱に乗じて地下への入口に入るが、その入口に仕掛けてあった罠に気付かず、入口を爆発で塞いでしまう。出口がなくなってしまったが、二人はとにかく地下へ進む。

一方、逆行視点のニールは、その入口に罠を仕掛けている敵の手下を発見する。それを主人公とアイブスに知らせるため、ニールは敵のアジトにある時間逆行装置に忍び込み、順行状態に戻ると、クルマに乗って二人を追いかけ、クラクションを鳴らすが、気付いてもらえなかった。

主人公とアイブスが地下の最深部に到達すると、そこにはセイター一味による爆弾が仕掛けられており、扉には鍵がかかっていた。そして扉の先には一人の TENET 隊員が倒れており、この隊員が五円玉のようなアクセサリーを身に着けているのに気付く。

そこにセイターの手下が表れ、セイターとの電話を繋ぐ。キャットがそばにいる中、セイターは主人公に電話をかけ、最後の言葉を残そうとする。キャットは、ヨットで待機する仲間からの合図を待ちながら、セイターの様子を観察する。キャットは、過去のキャット自身と息子が乗った船が近付いてくるのを確認する。

セイターが手下に「奴を撃て」と命じ、手下が主人公に銃を向けると、それまで倒れていた隊員が逆転して立ち上がり、身代わりとなって銃弾を受けた。そして直後、扉の鍵を開けるのだった。主人公と手下は乱闘の末、手下を地下の穴に投げ落とすのだった。アルゴリズムが地下に埋められることは間一髪防げた。

一方、キャットはいよいよ過去の自分が船に戻ってくることを察知すると、仲間からの合図がないにも関わらず、こらえきれずセイターに銃を向ける。目の前のキャットが未来から逆行してきたキャットだと気付いたセイターは声を上げるが、キャットは銃爪を引いてしまう。キャットはセイターを海に投げ落とすと、過去の自分が帰ってくる前に、海へと飛び込むのだった。

キャットがセイターを撃った知らせを聞いた主人公とアイブスは、急いでアルゴリズムを回収しようとする。すると頭上からロープが降りてきたので、爆弾と自らを括り付ける。そのロープは順行状態に戻ったニールが垂らしたもので、間一髪のところで主人公とアイブス、そしてアルゴリズムを無事に回収できたのだった。

キャットがわずかに早くセイターを射殺してしまったものの、すんでのところでアルゴリズムの発動を回避することができた。作戦は成功した。


引き上げられた主人公とアイブスの元に、ニールが表れる。アイブスはアルゴリズムを3つに分けて、3人で別々に保管しようとする。しかしニールは、受け取ったパーツを主人公に渡し、再び時間逆行装置へ向かう。

ニールは「自分だけが地下の扉の鍵を開けられる」と話す。

そのニールのリュックに、五円玉のようなアクセサリーが付いているのを主人公は発見する。オペラハウスで逆行銃を使って自分を救った特殊隊員も、地下で主人公の身代わりになった逆行隊員も、ニールだったのだ。

ニールは「未来のあなたが私をリクルートした」と明かし、「私にとってはこれが美しい友情の終わりさ」と言い残し、過去へと向かうのだった。

この作戦によってニールが死んでしまうことを分かっているが、作戦のために引き止められず、主人公は涙を流す。

エピローグ

その後、息子を学校に迎えに行ったキャットの元に、怪しいクルマが近付く。そのクルマにはプリヤと手下が乗っていたが、そこに主人公が現れる。

主人公はキャットからの電話を受け取って時間を逆行してきたようで、「TENET は俺が作った組織だ」「俺が主人公だ」と語り、キャットを始末しようとしていたプリヤを殺し、キャットと息子を見守るのだった。

考察まとめ

あらすじの中で盛り込めなかった、他のサイトでも取り上げられているような考察。

SATOR
AREPO
TENET
OPERA
ROTAS

こんなところかしら。

感想

初見でも、複雑ではあるが理解はできて、決して「難解」ではないのが良かったなと思った。アクションは素直に楽しめたし、時間逆行を巧妙に用いたシナリオはさすがだと思った。

主人公のジョン・デイヴィット・ワシントンは、お父さん (デンゼル・ワシントン) と声そっくりねw

人物の感情の描写が少ない、という批判が多く見られて、たしかに言われてみればそうかなーと思う。観客とほとんど同じ情報量で事件に飲み込まれていく黒人の主人公は「空っぽ」とも言えて、このご時世にしちゃ黒人をぞんざいな扱いしているか?とか。悪役が分かりやすくロシア人で、嫁に DV していて、その嫁は世界の明暗がかかっているにも関わらず、私怨を優先させて合図を待たずにセイターを撃っちゃう脳タリンなまんさんだとか。

でも、そういう批判は自分が見ている間は浮かばなかった。多分僕もノーランも、人間や感情というものをそんなに大事にしていないのだと思うw。面白い設定の映画を撮りたい、実写でアクションとかやりたい、っていうのが最優先で、細かな人間ドラマをやるつもりは最初からなかったのだと思う。

ポリコレ勢が難癖を付けてきそうなポイントはあるものの、結局テネットは面白くて、ポリコレへの配慮の有無なんか関係ねえんだなと思った。

また、「火が凍るほどエントロピーが逆転してるのに、呼吸は酸素ボンベだけでいいのか」といった科学的考証で難癖つけてる輩もいたけど、そもそも時間逆行自体が SF なのに何マジになっちゃってんの?という感じ。ノーランの狙いを推測して好意的解釈してた方が、映画って楽しく見られるよ。

…てなところで、自分は素直に楽しめた。インセプションを超えたかというと微妙だが、金ローでやってたら毎回見ちゃう感じかなと思う。w

参考文献