MacBookPro のスペックは AWS EC2 でいうとどのくらい?

開発中、ふと疑問に思ったことを調べてみた。

目次

疑問

MacBookPro を開発で使っていて、AWS の Amazon EC2 サーバを立ててアレコレしていた時に気になったこと。

「MacBookPro のスペックって、EC2 でいうとどのくらいのスペックなんだろう…?」

前提として、EC2 インスタンスはどこぞのデータセンターで稼動しているサーバラックであり、ノートパソコンとは様々な条件が異なる。CPU モデルも同一のモノはないし、RAM だって仮想化されたモノがそのスペック分だけ割り当てられているのだろう。当然 OS も異なるモノが乗るワケだ。

厳密な比較はできないが、CPU コア数とメモリ容量の条件を合わせて比較すれば、だいたいこの MBP と同じかそれ以上、というレベル感が分かるだろう。コレが分かれば、「手元の MBP ではこのレベルの負荷で動いているのだから、この EC2 インスタンスならそれ以上の負荷に耐えられるだろう」といった、限界性能の見極めにも繋がると思っている。

MacBookPro の性能を再確認

同様の疑問に答えている Quora の記事を見つけた。

2017年モデルの 15-Inch MBP だと、

というスペックになる。

2020年現在では、MBP に限らず4コアの i7 で 16GB RAM ぐらいのスペックなら、開発マシンとして使っている人も多いだろう。

ちなみに2019年に発売された最後の15インチモデルと、その後発売された本稿執筆時点で最新の16インチモデルの性能は以下。最近は8コア CPU も増えてきたと思う。

というワケで、

くらいをターゲットにすることにした。

ちなみに、2017年モデルの15インチ MBP は、当時の定価で税別30万円程度。現在のモデルも30万弱〜40万強程度か。

EC2 で同等のスペックは?

前述の記事を基に、EC2 のインスタンススペックを調べてみた。

ココで少し EC2 の仕様をおさらい。

ということで CPU と RAM のスペックで比較していくと、以下のインスタンスタイプが近そうだ。

ターボ・ブースト的な機能である「バースト」が可能な T2 タイプでいくと、xlarge か 2xlarge あたりのスペックがかなり近い。EC2 の方が全体的に CPU キャッシュが多めなので、それだけ見ても MBP よりはもう少し高性能だと思われる。

このスペックの EC2 インスタンスを借りたらいくらになる?

それでは金額を見てみよう。

以下は USD、us-east-1 リージョンでの金額。太字の金額が、AWS 公式サイトに記載されていた金額で、それ以外は1ヶ月分や3年分に換算した金額を記載した。

スペック タイプ 1時間 1ヶ月 1年 3年
t2.xlarge オンデマンド 0.1856 133.632 1,625.856 4,877.568
t2.xlarge リザーブド 0.1070 77.040 940.000 2,820.000
t2.xlarge リザーブド 0.0700 50.400 613.200 1,834.000
t2.2xlarge オンデマンド 0.3712 267.264 3,251.712 9,755.136
t2.2xlarge リザーブド 0.2150 154.800 1,880.000 5,640.000
t2.2xlarge リザーブド 0.1400 100.800 1,266.400 3,668.000

US ドルだとイメージが付きにくいので、日本円に換算した表も用意した。以下は1ドル105.46円で計算した金額。

スペック タイプ 1時間 1ヶ月 1年 3年
t2.xlarge オンデマンド 19.57 14,092.83 171,462.77 514,388.32
t2.xlarge リザーブド 11.28 8,124.64 99,132.40 297,397.20
t2.xlarge リザーブド 7.38 5,315.18 64,668.07 193,413.64
t2.2xlarge オンデマンド 39.15 28,185.66 342,925.55 1,028,776.64
t2.2xlarge リザーブド 22.67 16,325.21 198,264.80 594,794.40
t2.2xlarge リザーブド 14.76 10,630.37 133,554.54 386,827.28

4コア・16GB の t2.xlarge なら、1時間20円程度で借りられ、8コア・32GB の t2.2xlarge は大体その2倍の金額になる。

t2.xlarge をオンデマンドで普通に借りると、1ヶ月1万4千円、1年で17万、3年で51万だ。一方、リザーブド・インスタンスの「スタンダード」タイプで3年間借りると、19万3千円となる。リザーブド・インスタンスは柔軟性が下がる代わりにやはり安くあがるな。この金額で MBP を買おうとすると、2017年モデルの15インチ版を中古で購入する感じになるだろうか。

t2.2xlarge をリザーブドで3年借りた場合の金額を見ると、38万6千円。2019年版の MBP で同スペックにすると税別318,800円、税込350,680円程度になる。

こうして金額を比較してみると、EC2 と MacBookPro のコスト・パフォーマンスは、大体同じくらいになっているといえるだろう。

以上

EC2 と MBP とで、近いスペックを探してみた。ちょっと高性能なノートパソコン相当のスペックで Web サーバなんかを立てようと思ったら、t2.xlarget2.2xlarge くらいが (2020年時点では) 近いスペックになりそうだ。

冒頭に述べたとおり、CPU のモデルから違うし、OS やストレージなども全く条件が合わせられない。実際のところ、果たしてどのくらいスペックが近いかはなんともいえないし、ネットワーク通信料金など、計算に入っていないコストもそれぞれあるだろう。

しかし、今回の検証をベースに妄想すると、t2.2xlarge のリザーブド・インスタンスを3年契約したのと、最新の MBP を購入するのとはどちらも同じくらいの金額になる。EC2 なら重い MBP を持ち運ぶことなく、どこからでもインターネット接続できるので、使いようによっては高いノート PC を買うよりも良い選択かもしれない。