私個人は「master ブランチ」と言い続ける
BLM の煽りを受けて、GitHub も master
ブランチのことを main
ブランチと変更する機能が搭載された。ユーザはデフォルトブランチ名を自分で選択できるが、何も設定しないと、今後はデフォルトブランチとして main
ブランチが作成されるのだ。
サーバのレプリケーション構成を表現する際に、Master・Slave といったキーワードを使うこともある。これらは「奴隷」を意味する言葉なので、Primary・Standby などに言い換えよう、という流れもある。
僕個人としては、こうした動きは「乱暴な言葉狩り」だと感じている。だから GitHub の設定も、デフォルトブランチ名は master
ブランチのままにするよう設定している。ブログ記事でも、今後も master
ブランチと表現するつもりだし、「マスター・スレーブ」といった言葉も使い続けると思う。
僕が感じている違和感はこういうことだ。コレまで誰もが、当たり前のように「ブラックリスト」「ホワイトリスト」といった呼称を使ってきた。それまでだって「Allow List」「Deny List」といった表現も出来たはずなのに、人種に限らずそういった表現をしてこなかった。恐らく、誰かに「ブラックリスト」と言われて、自分が「ブラックリスト」と発言して、心に傷を負っていたエンジニアはまずいないと思う。
その言葉の起源を辿れば、差別的な意味合いから発生した言葉かもしれないが、その場においてはそうした差別的な意味合いを含んでいないことが明らかだから、「ブラックリスト」といった表現を使ってきたワケだ。「マスターブランチ」と呼ぶ時に、誰かをけなしたり、自分が優位に立ったかのような感覚は覚えたことがない。
それまで皆平気な顔をしてそういう言葉を使ってきたのに、プログラミングの世界とは無関係な、一国の前科者と警察官のいざこざがあっただけで、どうしてプログラミング界隈の言葉まで変えないといけなくなっているのか。僕は理解できない。誰に配慮してるんだ?そう言い換えると、誰が幸せになるんだ?
このあたりに疑問があるので、僕は安易に使う言葉を変えない。
一方、仕事上では、人一倍気にして言葉を選んでいる。GitHub の仕様変更のことすら知らない社内の人間がいて、それはそれで気にしなさすぎだろ…と思ったりもした。
仕事上で発信する自分の言葉は、僕個人の思想を反映したものであってはいけないと思っている。だから、僕の個人的心情とは無関係に「デフォルトブランチ」とか「メインブランチ」とか言い換えて話すし、ドキュメントに残す時は「GitHub でない某サービスでは未だ master
がデフォルト名称ですが、コレをそのままドキュメントに掲載してしまって良いですか?」とか、イチイチうるさいぐらいに確認している。
会社の評判というものはその程度の配慮の有無で決まると思っている。言い換えてもさして意味のない、この程度の言葉選びだけで、評判が変わり、売上に影響が出かねない。SNS のせいで、そういうクレーマーみたいな人間で溢れかえってる。だからこそ、要らぬ配慮も一応できるようにしている。
いち消費者として他の会社を見た時に、「何でそんなことに配慮しないといけないんだろ?無配慮に続けててもこっちは気にしないのに…」と思う事案があると、クレーマー対策なんだなーと思うようにしている。
世の中、お利口さんが多くて困りますね。