映画「Godfather ゴッドファーザー Part 1・Part 2・Part 3」を見た

以前見たことはあるのだが、最近「Godfather 3」の再編集版が出たとかなんとかで思い出したので、また3作を連続で見た次第。

目次

ゴッドファーザー Part 1

1972年の映画。

あらすじ

舞台は1945年のニューヨーク。シチリア移民のヴィト・コルレオーネ (マーロン・ブランド) 率いるイタリア系マフィアの話。

ある日、タッタリア・ファミリーの子分であるソロッツォという麻薬密売人が麻薬商売を持ちかけてくるが、ヴィトはコレを拒否。するとソロッツォはヴィトを襲撃、ヴィトは重傷を負うも一命は取り留める。コレを機にタッタリアとコルレオーネの抗争が勃発する。

ヴィトの三男マイケル (アル・パチーノ) は軍隊に所属しており、父ヴィトの家業には加わらなかったが、父の命を狙う連中の存在を見かねて組織に加わることを決意。ソロッツォと、彼と癒着していた警部を暗殺すると、マイケルは妻ケイにも黙ったまま、シチリアに高跳びした。

長男ソニーは血の気が多い性格で、妹コニーが旦那カルロに暴力を振るわれていると知ると、単身家を飛び出す。しかしそこには敵が待ち伏せており、ソニーは射殺されてしまう。

シチリアのドン・トマシーノに匿ってもらっていたマイケルは、そこでアポロニアという女性と出会い結婚する。しかしここにも敵の手がのびており、アポロニアは暗殺されてしまう。

回復したヴィトは、長男ソニーの死にショックを受け、タッタリアと休戦協定を結ぶ。バルジーニ・ファミリーが仲介役となって会合が行われるが、ヴィトはそこで「真の黒幕はバルジーニだ」と気付く。

そしてヴィトはシチリアから戻ったマイケルを、ファミリーの跡継ぎにする。マイケルはケイと結婚し子供をもうける。そしてコルレオーネ・ファミリーを合法的な組織に変えていくと宣言する。これまで頼りにしていた義兄トム・ヘイゲンを、身の安全を考えて遠ざけ、代わりにマフィア家業に興味を負っていた、妹コニーの旦那カルロを仲間に付け重用する。

ヴィトはマイケルに対し、「黒幕バルジーニとの会談を持ちかけてくるヤツが裏切り者だ」と伝える。ヴィトは孫と遊んでいる間に心臓発作で亡くなる。

ヴィトの葬式で、コルレオーネ・ファミリーの古参であるテシオが、バルジーニとの会談をセッティングしたいとマイケルに申し出る。テシオはヴィト亡き後のファミリーを悲観し、バルジーニの誘いに乗ったのだが、マイケルはヴィトの遺言に従い、テシオが「裏切り者」だと知る。

妹コニーの息子の洗礼式当日。マイケルは代父として洗礼式に参加する。マイケルは信頼できる部下たちに命令を出し、バルジーニを始めとする五大ファミリーのドン全員と、次男フレドを雇うモー・グリーンを暗殺する。さらに、バルジーニと繋がっていたカルロとテシオも粛清する。

数日後、ケイは事件を知り、マイケルに「洗礼式の日にその父親であるカルロを暗殺したのか」と問い正す。マイケルはそれを否定し、ケイは一瞬安堵したものの、マイケルが新たなドンとして君臨する様子を眺め、一抹の不安を抱くのであった。

感想

約3時間の映画。長すぎィ!冒頭のアル・パチーノはダスティン・ホフマンみたいな感じの、ちょっと腑抜け顔なんだけど、ラストに近付くにつれてマフィアの顔つきになっていく。

マーロン・ブランドは顔つきこそ怖いものの、ファミリーを大事に考え、穏便に済ませようとするので、そんなコワイコワイ人でもない。

シチリアに逃亡したマイケルが、目の下にアザを作っていてハンカチでぬぐうシーンが多いのだが、どうやらコレは、悪徳警部にぶん殴られた時の怪我が思いの外重傷だったという演出らしい。ちょと分かりづらかったね。

ゴッドファーザー Part 2

1974年の映画。ヴィトの生い立ちと、ドンとなったマイケルとを交互に描く作品。

あらすじ

1901年。シチリアのコルレオーネ村に住む9歳のヴィト・アンドリーニ。家族を地元マフィアのドン・チッチオに殺され、ヴィトは一人でアメリカ・ニューヨークに逃亡する。入国管理官が名前と住所を勘違いし、「ヴィト・コルレオーネ」として登録されてしまう。

1917年。ヴィトは結婚し、隣人の泥棒クレメンザやテシオとともに窃盗業を始める。その暗躍を聞きつけたニューヨークギャングのファヌッチは、みかじめ料を請求しだす。ヴィトは「俺に任せろ」といってファヌッチを暗殺する。

地元住人達からも嫌われていたファヌッチを暗殺したことで、ヴィトは尊敬されるようになり、街の相談役として名声を高めていく。

1925年。ヴィトはコルレオーネ村に帰省する。貿易事業を支援してくれていたドン・トマシーノと協力し、ヴィトはドン・チッチオと面会する。ヴィトはドン・チッチオを刺殺して復讐を果たし、再びアメリカに戻った。


一方、1958年。五大ファミリーを暗殺したマイケルは、ネバダに拠点を移していた。ニューヨークはファミリーの幹部であるフランクに任せていたが、ロサト兄弟と縄張り争いになっていた。ロサト兄弟のバックには、マイアミを牛耳るハイマン・ロスというボスがついていた。

マイケルはロスと会合すると、フランクが裏切り者だと告げられる。続いてマイケルはフランクと会い、本当の黒幕はロスであり、彼を油断させるためにロサト兄弟と会って欲しいと依頼する。フランクは依頼どおりロサト兄弟と会合するが、ロサト兄弟はフランクを襲撃する。運良く警察に発見されフランクは無事に済んだが、この出来事により「マイケルに裏切られた」と勘違いしてしまう。

マイケルはキューバに向かい、ロスの誕生日パーティに出席する。次男フレドもそこに合流すると、マイケルはフレドに対し、「ロスが自分を暗殺しようとしている・やられる前にこちらがロスを暗殺する」と告げる。

マイケルはロスに改めて話を持ちかけると、ロスは自分が面倒を見ていたモー・グリーンをマイケルに暗殺されたことで、恨みを持っていたことが判明する。

その夜、フレドはマイケルらを連れてナイトクラブに出掛ける。仲間の一人がフレドに「どこでこんな店を知ったんだ?」と聞くと、酔っていたフレドは「ロスの部下のジョニーに教わったんだ」と口を滑らせてしまう。フレドがロスと繋がっていたことに気付いたマイケルは激怒する。マイケルは予め仲間に命令しており、ロスの部下ジョニーの暗殺には成功するが、ロスの暗殺には失敗してしまう。マイケルはネバダに、フレドはニューヨークに、別々に逃亡する。帰国したマイケルは、ケイが流産したことを知りショックを受ける。

ロスの根回しにより、マイケルは特別委員会に告発される。裏切られたと勘違いしていたフランクが証言台に立つが、マイケルはフランクの兄を連れて傍聴席に座り、土壇場で証言を取り消させるなどして、なんとか巻き返していく。

その頃、マイケルとケイとの関係は悪化していた。裏社会で暗躍するマイケルについていけなくなった、流産は実は自分で選んだ中絶であったことをケイは告白する。激怒したマイケルはケイと離婚し、ケイを家から追い出した。

マイケルの母が亡くなり、疎遠になっていたフレドを呼び戻す。旦那をマイケルに暗殺された妹のコニーは、長年マイケルを恨んでいたが、時間が経ってマイケルの心情を察し、マイケルと和解する。そしてフレドとも仲直りして欲しいと言われ、マイケルは久々にフレドと面会する。「弟に先を越されてみじめだった、自分もいっぱしの男になりたくて過ちを犯してしまった」と謝罪するフレドを、マイケルは抱きしめる。「兄を許すよ」と言いながらフレドと抱擁するマイケルは、腹心のアル・ネリに冷たい視線を目配せしていた。

義兄トムはマイケルの依頼に従い、刑務所で保護されていたフランクと面会する。トムは、フランクの兄はシチリア島に帰ったこと、家族を守るにはどうすることが最善だろうか、と話をする。すなわち自殺が最善だと仄めかされたフランクは、浴室で自殺する。

続いて、亡命に失敗しアメリカに帰ってきたハイマン・ロスを部下の殺し屋ロッコに暗殺させる (ロッコもこの場で射殺される)。

最後に、釣りに出掛けたフレドは、アル・ネリに射殺される。その音を聞くマイケルは、かつて自分が軍に志願した際、長男ソニーが猛反発する中で、フレドだけが自分の意見を尊重してくれたことを思い返すのだった。

感想

ヴィトがどのようにしてドンになったのか、という物語と、家族を失いながらも2代目ドンとして君臨するマイケルが交互に描かれる。

マフィアに家族を殺されたことで、結局自分もマフィアになり、人殺しすらも行うようになったヴィト。根は優しく、仲間を大事にする様子が描かれている。

マイケルも、ファミリーを大事には思っているが、「一度裏切った者はいかなる理由であれ粛清する」ので、結果的にケイとは離婚してしまう、という葛藤がある。

若いヴィトを演じるのはロバート・デ・ニーロ。吹き替えで見ちゃうとその凄さが全然分からないので、Part 1・2 ともに字幕で見ると良いだろう。マーロン・ブランドにめっちゃ似せてる。アル・パチーノとは「共演」ではあるが、時代設定から異なり、同じカットで二人が映ることはないという不思議な共演だ。

ゴッドファーザー Part 3

1990年の映画。

あらすじ

舞台は前作 Part 2 から20年弱経過した1979年。マイケルは「ヴィト・コルレオーネ財団」を設立し、多額の寄付を行ってきたことで、バチカンのギルディ大司教と関係を持つ。ギルディ大司教の関係者が行った横領を補填するため、ギルディ大司教の協力のもと、同じくバチカンと関係が深い「インモビリアーレ社」の株式を取得する。マイケルはようやく、ファミリーを完全に合法組織化しようとしていたのだった。

マイケルの息子アンソニーは、慕っていたフレドを暗殺されたトラウマから家業には関与せず、歌手を目指していた。娘メアリーは、マイケルから合法組織の代表を任され、クリーンな部分でファミリーのサポートをしていた。

Part 1 で射殺された長男ソニーの息子、ヴィンセント (アンディ・ガルシア) は、コルレオーネ・ファミリーのアルトベッロの部下である、ジョーイ・ザザと対立する。ヴィンセントは「マイケルの元で働きたい・ザザは裏切り者だ」と言い寄る。マイケルはヴィンセントを預かるが、それによりザザとの関係は悪化し、カジノホテルのペントハウスで襲撃を受けてしまう。マイケルはヴィンセントの援護により無事逃走できたが、この襲撃により友好関係のあったファミリーの大部分が暗殺され、生き残ったファミリーらはザザに協力するよう鞍替えしてしまう。

この襲撃はザザが単独で行ったモノではなく、ボスのアルトベッロの友人である、ドン・ルケージの息がかかっていた。ルケージはマイケルが経営権を持とうとしている「インモビリアーレ」に妨害を行っていた。

その頃、マイケルは糖尿病が進行し、一時入院してしまう。マイケル不在の中、マイケルの妹コニーはヴィンセントを支援し、ヴィンセントはザザを暗殺する。ヴィンセントはこの頃、マイケルの娘メアリーと従兄妹ながら恋仲になっていた。マイケルはスパイとして、アルトベッロに近付くようヴィンセントに命じる。

ヴィンセントはアルトベッロに近付いて内部を探り、ルケージが黒幕であることを突き止めた。ルケージとアルトベッロは、二人の利益を妨害するマイケルの存在を消すため、フリーの殺し屋モスカを雇う。一方マイケルは、ギルディ大司教を落として「インモビリアーレ」の経営権を得るため、ランベルト枢機卿と手を組む。

マイケルとケイは、息子アンソニーのオペラデビューを観るためシチリア島に向かい、二人は関係を修復する。マイケルは自身の衰えを自覚し、娘メアリーから手を引くことを条件に、ドンの座をヴィンセントに譲る。

新法王ヨハネ・パウロ1世となったランベルトは改革を進め、ギルディ大司教、アルトベッロ、ルケージは失脚する。ヴィンセントはこの3人の暗殺を計画する。

アンソニーのオペラデビュー当日。ギルディ、アルトベッロ、ルケージはヴィンセントが放った刺客により暗殺されるが、同時にランベルトも暗殺されてしまう。オペラ会場に殺し屋モスカが忍び込み、マイケルを銃撃する。モスカが放った弾はメアリーに当たり、メアリーは死亡。モスカは駆けつけたヴィンセントによって射殺された。娘を失ったマイケルは泣き叫び、失意のまま亡くなった。

感想

Part 1 当時、マーロン・ブランドは48歳、アル・パチーノは32歳。

一方、18年経った Part 3 当時、アル・パチーノは50歳、アンディ・ガルシアは34歳。

初登場のアンディ・ガルシアが、チャラいチンピラだったのがドンになっていく様子は、Part 1 のアル・パチーノと良い勝負。マイケルが血の気の多いヴィンセントを咎めて言う「敵を憎むな。判断を誤るぞ」は名言。

Part 1・2 に出ていたトム・ヘイゲン (ロバート・デュヴァル演) は、本作では既に死んだことになっている。

「ヨハネ・パウロ1世」というのは、1978年に実際に在位33日という短さで亡くなっており、暗殺説が囁かれている。そうした実際の出来事に基づくストーリーになっているのも面白い。

ヴィンセントと恋仲になるメアリーを演じているのは、監督フランシス・コッポラの実の娘、ソフィア・コッポラ。ラジー賞を取っちゃったらしいけど、言うほどか?流してやれよ…という思い。というかマイケルの妹コニーを演じていたのは、フランシス・コッポラの妹、タリア・シャイアだった。身内多いな。

マフィアの抗争に終わりがない様子は、妻ケイの目線を通じて描くことで効果的に描かれている。Part 1・2 の映像を流用して、若き日のマイケルがアポロニアとダンスするシーンが、大きくなった娘メアリーとダンスするシーンにオーバーラップしたり、そしてそのような大切な人達を最後は失うことになって、という、マイケル・コルレオーネの悲哀の演出が素晴らしい。

3作見た感想

マイケル・コルレオーネの前後の世代交代の様子が、実際の年月を経て見事に描かれていて、素晴らしいなと思った。

マフィアの嫁が皆さんカタギな方ばかりで、なんでマフィアと結婚したんだろう、なんでそんな物分り悪いんだろうって思ったり。w

どの作品も3時間級で、各シーンをじっくり見せるので、最近のテンポが早い映画に慣れていると、なかなかダレてしまうだろう。

マフィアを題材にした映画ながら、家族愛を丁寧に描いたシリーズ作だ。