121。カード C の思い出

今から20年以上前、親父が会社から「C カード」という不思議なテレフォンカードを貸与された。当時このテレカに関する小ネタを教わっていたので、今日はその思い出話をする。

カード C とは?

当時は「C カード」と呼んでいたが、調べてみたら正しい名称は「NTT カード C」だった。「クレジット」の C っぽい。

父が持っていたのは灰色っぽい外観のテレフォンカードだった記憶がある。

コレが何なのかというと、タダで公衆電話から電話がかけ放題なテレカだったのだ!!

…という表現も正確ではなく、要は NTT と会社が契約していて、カード C を使った通話は後で会社に請求が行く仕組みになっているワケだ。いわゆる「クレジット通話サービス」というワケで、10円や100円を公衆電話に入れ続ける手間が省けるので、営業回りの会社員なんかが持たされていたようだ。

若い世代の人向けに念のためおさらいしておくが…

下手したら公衆電話を見たことない、かけ方を知らない世代も多そうなので、念のために公衆電話回りの文化・歴史を簡単におさらいしておく。

→ 「カード C」なら、請求は後で会社経由で行われるので、カード1枚で公衆電話がかけ放題で気楽!という売り文句だったワケである。

カード C がなくてもクレジット通話ができる裏技

カード C は、「121」から始まるカード固有の番号をダイヤルし、その後に続けてかけたい電話番号をダイヤルすることで利用できる仕組みだった。「カード C」自体に「オートダイヤル」機能が含まれているので、通常は公衆電話にカード C を挿入したら、かけたい電話番号をダイヤルするだけで利用できた。

当時、緑色の公衆電話は多くがアナログで、受話器を取っても小銭を投入するまでは「プー」という発信音が鳴っていない。

しかし、灰色の筐体で、液晶が付いている ISDN 回線のデジタル公衆電話は、受話器を取った時点で「プー」という発信音が聞こえていた。

この、グレーのデジタル公衆電話だと、カード C がなくてもクレジット通話ができる裏技があった。

小銭を投入しない状態で受話器を取り、「121」をダイヤルすると、「プーーー」という発信音が「プップップップッ」という発信音に変わる。その後でカード C の固有番号をダイヤルし、さらに続けてかけたい電話番号をかければ、カード C を挿入しなくてもクレジット通話ができた。

要するに、「カード C を挿入して使っていること」は別にチェックされていなくて、カード C の中に埋め込まれている「カード C 固有の番号」さえ分かっていれば、テレカを持ち歩かなくてもクレジット通話サービスが利用できたワケである。

Wikipedia を見るに、コレは裏技というよりはクレジット通話サービスの最初の利用方法だったようで、後から便利にする狙いで「カード C」というオートダイヤル機能付きテレカが出てきた、という順番だった。

今でも会員番号を覚えている

父が会社から貸与されていたカード C の固有の番号を、今でも覚えている。121 からダイヤルする「クレジット通話サービス」は、2011年に完全にサービス終了しているので、今もうこの記憶を外部に漏らしても、悪用されることはないだろう。

当時、こういう番号を打っていた。

*** 部分は、121 だったか 212 だったか微妙にうろ覚えだったので、念のため情報をボカす意味も含めてこんな書き方にしてみた。w

当初はコレを暗記しておいて、間違えずにダイヤルしないと使えないサービスだったのかと思うと、まぁ面倒臭いというか。暗記している電話番号なんかほとんどない2021年現在と比べると、本当に色々変わったなぁと思う。

公衆電話は「過去のモノ」ではない

自分は世代的に、今でいう「ガラケー」がそこそこ普及した頃に中高生を迎えていたので、ピッチもポケベルも自分のモノなんて持つことなくいつの間にか廃れていたし、公衆電話を多用することも、家電で長話することもなかった。しかし、学校の「連絡網」というとクラスメイト全員の電話番号が載ったプリントを貰っていた時代だったし、家に固定電話は当然あるし、「i モード」「L モード」の変遷も見てきたし、公衆電話を使うことも時々はあった。

今は家電がなく、「受話器」自体が理解できない世代も出てきていると聞く。確かに設置台数が少なくなり、街中で見る機会は減ってきているものの、公衆電話は緊急時に無料通話できるようになったりするので、教養として公衆電話にまつわることは覚えておいて損はないだろう。