映画「Next Three Days スリーデイズ」を見た

2021-09-18。2010年のアメリカ映画。ラッセル・クロウ主演。

あらすじ

大学教授のラッセル・クロウは、妻のエリザベス・バンクスと息子の3人で幸せに暮らしていた。しかしある日、妻が殺人容疑で逮捕されてしまう。妻の無実を証明するため奔走するラッセルだったが、その甲斐虚しく殺人罪が確定してしまう。刑務所内で自殺未遂を起こした妻を見て、ラッセルは妻を脱獄させることを決意する。

ラッセルは脱獄経験者のリーアム・ニーソンからアドバイスをもらい、偽造パスポートを得ようとしてチンピラにボコられたりしながらも準備を進めていく。しかし、刑が確定した妻が3日後に刑務所を移送されることが判明する。逃走資金が足りず窮地に立たされたラッセルは銀行強盗を考えるが、無関係な老婆や母子に危害を加えることができず断念。代わりに麻薬密売人を襲い、金を手に入れる。

ラッセルは妻の健康診断の結果を偽造し、妻を大学病院に誘導。そこで警備と警察の目をかいくぐって逃走を始める。リーアム・ニーソンからは「必ず足が付いてしまうから使うな」と言われていた列車をも駆使し、用意周到に逃走していく。

しかし、唯一の誤算が発生する。それは、息子との合流地点が想定外の場所になっていたこと。息子と合流していたら逃走が間に合わないと判断したラッセルは、一旦息子を置いて空港に向かおうとするが、妻は反対。止むなくタイムリミットを超過することを覚悟のうえで、息子を迎えに行く。

その頃、警察はラッセルが捨てたゴミ袋を発見し、逃走計画を割り出していた。警察はハイチ行きの飛行機を捜索するも、3人の姿はない。「ハイチに行く」かのような計画資料はラッセルの偽装であり、実際はベネズエラに逃走する計画だったのだ。息子を迎えに行ったためにタイムリミットを20分も超過していたが、奇跡的に追跡を振り切り、3人は飛行機に乗り込みベネズエラに到着した。約3年ぶりに息子を抱きしめて眠る妻を、ラッセルは写真に収めるのであった。

感想

途中まで見ていて、過去に1度見ていることを思い出した。多分深夜番組で見たんだと思う。全然ストーリーを覚えていなかった。

前半のラッセル・クロウの絶望感がいたたまれない。家庭を取り戻すべく夜の世界に繰り出したりするが、素人なので騙されてリンチされたり、「お前は必死過ぎるからきっと捕まる」などと忠告を受けたり。リーアム・ニーソンは「脱獄のためには警備員を射殺したり、無実の人を突き飛ばしたりしても構わないという覚悟が必要だ」とアドバイスを受けていたが、どうしてもそんなことは出来ずに苦悩する優しいラッセル・クロウで、見ていて辛くなる。

母親が逮捕されたということで学校でイジメられている息子に対しては、「やり返したか?」と強気な父親ぶりを見せるが、自分はチンピラ相手でもやり返せない始末。顔の傷を心配する息子に「やり返したの?」と聞かれ、素直に「いや、やり返していない」と答えると、「それでいいよ。」と返す息子。このシーンがマジで泣けた。

どうしても妻を救いたい一心から、「常識人」と「狂人」のスレスレに立たされ、そして吹っ切れるラッセル・クロウの演技が光る。妻は無実の罪で20年以上も投獄されることを悲観し自暴自棄になるが、そんな妻さえも「黙って聞け、君の生活は俺が必ず取り戻す」とカッコよくキメる。惚れてまうやろー。

麻薬密売人なら情け容赦なく殺せるのかと思いきや、どうしても人情が捨てきれず、瀕死のギャングを病院に連れて行こうとしちゃったりする。ギャングは途中で息絶えてしまい、やむなくバス停に遺体を放置するのだが、この辺が狂人にもなりきれないラッセルを上手く表現している。

いざ逃走となっても派手なドンパチシーンがなくて、そこが逆にハラハラさせるリアリティがあって良かった。どうもこの映画は、2008年の「すべて彼女のために」というフランス映画のリメイクらしく、オリジナル作品からの影響でこんな演出になっているっぽい。

警察の捜査網からすると、空港には逃亡から35分以内に向かう必要があるのだが、予定どおり息子を迎えに行けなくなり、ラッセルは二人だけで空港に向かおうと決断する。息子と合流できないことを悲観した妻がクルマから飛び降りようとしてクルマがスピン。妻と考え直して息子を動物園に迎えに行き、空港に着いたのが予定より20分遅れの54分後

…見ている最中はハラハラさせられて、ムズムズもどかしく感じていてあんまり意識していなかったが、クルマがスピンして、妻と話し合って、動物園に戻ってすったもんだしても20分オーバーで済んでいたのなら、最初から余裕で動物園に迎えに行けたのでは…?と思ってしまう。ちょっとこの辺、非現実的な誤魔化しが入ってて、後付けっぽいなーと感じた。妻の絶望感も分かるんだけど、それでもクルマのドアを開けて飛び降りようとするような、脚本都合で設定されたヒステリー女の幼稚な行動が大嫌いなんだわ。こういうバカキャラが出てこない映画が見たい。

その後の空港もご都合展開が続き、蛇足感が強い。しまいには、妻が本当に無実であった証拠が見つかりかけるが、やっぱり見失われてしまう、っていう展開も余計かなー。「ワンチャン奥さんが冤罪じゃなかった」説を払拭してハッピーエンドにしたかったのだろうけど、だったら真犯人の物取りが逮捕されるような展開でも良かったと思う。

ブライアン・デネヒー演じる、ラッセル・クロウのお父さんの演技はメッチャ良かった。普段息子のラッセルとはほとんど口を利かないが、ラッセルの不審な動きには母親以上に敏感に気が付く。ラッセルの所持品から航空チケットを見付け、家族の中で唯一逃亡計画を事前に察知していた人物となるが、あえて何も言わず息子を送り出す。警察の取り調べでも「息子 (ラッセル) とは喋らなかったから何も知らないな」と受け答えし、その後になって初めて「ベネズエラ」の場所を地図で調べており、家族や友人ら、陰の協力者によって脱獄が達成できたことが表現されているのが温かい。

ハリウッドリメイクされるだけあって、全体通して面白い映画なのは間違いない。見ている最中は何とかテンポが持ったが、全体的な展開はアッサリしつつも蛇足が多くて、こりゃまたシナリオ忘れるなーとは思った。当時の古いデザインの YouTube が映るので歴史的資料になっていくかもしれない (?)。