ギターのシールドってモノラルなの? … TRS ケーブルとかの話を今更まとめる

電気系、興味はあるのに滅茶苦茶疎い。

ギターシールドの接触が悪くなったので新しいのを買おうと楽器屋に行ったのだが、「ギター用シールド」の棚にある商品をよく見たら「モノラルケーブル」と書いてある。

…ギターのシールドってモノラル音声なの?あ、そっかぁ…。

なんて、今更そんなところに気付いたので、音響関連の用語を調べ直してみた。

目次

モノラル・ステレオ

スピーカーが2つあればステレオになるワケではない。単なるケーブルの本数でもない。

出力される音源が1つなら、何個のスピーカーから鳴らそうがモノラル。

2つの音源が同時に再生されるのがステレオ。2つのスピーカーから分けて出力すれば立体感を得られるが、スピーカーが1つでもステレオ再生はできる。

TS・TRS

ギターシールドとして使われる、直径 6.3mm (1/4インチ) のフォンプラグ。外見はよく似ているが、端子の先端に黒い線が1本あるか、2本あるかで内部構造が異なる。

黒い線が1本のモノは2極プラグ、TS ケーブルと呼ばれる。対して黒い線が2本あると、3極プラグ、TRS ケーブルなどと呼ばれる。

黒い線で別けられたそれぞれの金属部分が、別々の音声信号を送受信できる。黒い線が1本だと金属部分は2つに別れる = 2極となるので、2つの信号が伝達されるワケだ。

バランス・アンバランス

バランス接続アンバランス接続という言葉もある。TS ケーブルの場合は「アンバランス接続」しか実現できないが、TRS ケーブルの場合は信号の送り方によっては「バランス接続」もできる。

バランス接続 : TRS ケーブルの3極それぞれで、正相の信号 (T)、逆相の信号 (R)、グランド (S) を扱う。正相と逆相は音の波形が上下逆転するが、そこに乗るノイズだけは上下反転することなくそれぞれの波形に合わさる。つまり正相と逆相の波形を合成すると、ノイズの波形だけが取り出せてノイズがキャンセルできる。そのためバランス接続だとノイズが少ない。

アンバランス接続 : TS ケーブルの場合は2極しかないので、正相 (T) とグランド (S) の信号しか扱えない。また、TRS ケーブルでも1本でステレオ信号を流す場合は、左チャンネルの正相 (T)、右チャンネルの正相 (R)、グランド (S) を扱う。逆相と合成できないため、ノイズに弱くなる。

雑に表でまとめる

雑に表でまとめるとこんな感じ。

特徴 TS ケーブル TRS ケーブル
黒い線 1本 2本
極数 2極 3極
ケーブル1本で流せる信号 モノラルのみ モノラル・ステレオ両対応
扱う信号 モノラル信号 ステレオ信号
Tip Hot (正相) L ch
Ring Cold (逆相) R ch
Sleeve Ground (接地) Ground (Cold)
→ 接続 バランス接続 アンバランス接続

モノラル出力端子を2口使って、1つのステレオ信号を伝達する場合。2口にそれぞれ TRS ケーブルを計2本接続して伝達したら、それは「バランス接続」なの?「アンバランス接続」なの?といったことを整理する。

出力端子 出力口数 出力信号 使うケーブル 本数 接続方式
モノラル 1口 モノラル信号 TS ケーブル 1本 アンバランス
モノラル 1口 モノラル信号 TRS ケーブル 1本 バランス
モノラル 2口 ステレオ信号 TS ケーブル 2本 アンバランス
モノラル 2口 ステレオ信号 TRS ケーブル 2本 バランス
ステレオ 1口 ステレオ信号 TRS ケーブル 1本 アンバランス (のみ)

ギターの場合、ギタージャック1口から、TS ケーブル1本を使ってアンプへと向かうので、モノラル信号を、アンバランス接続で伝達している。表の1行目相当。

ステレオ音声だとしても、ジャックが1口だったら、TRS ケーブル1本で伝達しても「バランス接続」にはならず、「アンバランス接続」となる。TRS ケーブルを使ってステレオ音声を「バランス接続」したいと思ったら、左チャンネルの出力口・右チャンネルの出力口の2つに、2本の TRS ケーブルを挿さないといけないワケである。

よーし自分の中でまとめられた。もっと正確にいうと違うところもあるんだろうけど、概略として自分の中では整理できたのでよしとする。