好きな映像作品 : 佐藤義尚 - PAPERS
佐藤義尚 (さとう よしなお) さんの「PAPERS」 という作品がある。自分が最初に知ったのは2009年頃、どこかの動画サイトで見たモノだったが、ご本人が YouTube に投稿されている。
- 2013-05-31 PAPERS - YouTube
- 8ミリオリジナル版
- 2009-02-08 PAPERS 制作 : Yoshinao Satoh - YouTube
- デジタルノンリニアでリストア再生したバージョン
制作の締め切りに追われた環境の中で目についたのが、自宅の大量の新聞。
ではここからどんな動画を創作できるのか?というきっかけでつくった作品です。
新聞紙をスキャンし、同じ文字や同じような構図をパラパラマンガのように並べている。それにより人物が回転しているような動きだったり、天気予報や囲碁の紙面がアニメーションして見えるという作品だ。技術的には「並べただけ」と言ってもいいくらい単純なモノではあるが、それがこんなにも衝撃的な映像になるとは。何に衝撃を受けているのか説明できないけど、物凄くドキドキと胸騒ぎのする映像作品になっている。コレもまさにアイデアの勝利といえるだろう。
いや、実際、アナログ時代に「新聞紙を並べただけの映像作品」なんて素人がそうそう作れるようなモノではないのは分かっているが。デジタルで作業できる現在なら特に、技術的には難しいことではないのだが、コレほど衝撃的な作品に昇華するのって無理だと思う。それを1991年の時点でやってのけたというところで、アイデアの勝利であり、実行してみせた行動力の勝利だと思うのだ。
この作品は1991年に「三宅裕司のえびぞり巨匠天国」(エビ天) というテレビ番組に投稿され、後に毎日新聞の CM に発展したそうだ。
- 三宅裕司のえびぞり巨匠天国 - Wikipedia
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佐藤義尚「PAPERS」 - この映像作品は、発表後に音楽をBLANKEY JET CITY演奏の「禿山の一夜」に変更して毎日新聞のテレビCMに起用されている。
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- 【なつかCM】毎日新聞 / PAPERS 佐藤義尚 エビ天 / ★★★★ - YouTube
- ↑ PAPERS そのまんまではなく、作り直されているみたい
- 1991 えび天 最終回 - YouTube (1991-09-21 放送)
- 1時間30分あたりから、「影響を受けた作品ベスト5」として、佐藤義尚さんの「PAPERS」、「POWER」の2作品が挙がっている
BGM は Steve Reich (スティーブ・ライヒ) の Different Trains という楽曲。この楽曲自体も得体の知れないパワーがある。
- ディファレント・トレインズ - Wikipedia
アメリカ生まれのユダヤ人作曲家、スティーヴ・ライヒが1988年に作曲した、弦楽四重奏とライブ・エレクトロニクスのための楽曲である。
作品はライヒの幼少時代と、同時期のヨーロッパで起こっていたホロコーストを、「汽車」というキーワードによって結びつけ、ミニマル・ミュージックの技法によって作曲したドキュメンタリー性の強い楽曲である。1989年のグラミー賞最優秀現代音楽作品賞を受賞した。
ライヒの両親は彼が1歳の時に離婚した。第二次世界大戦の頃、1939年から1942年にかけて、父親とともにニューヨークで暮らしていた幼少のライヒは、ロサンゼルスに移り住んだ母親に会うためにたびたび家庭教師の同行を得て汽車で旅行をしていた。後にライヒは、「もし、ユダヤ人である自分があの時代にヨーロッパにいたらどうなっていただろうか?おそらく、強制収容所行きの、全く違う汽車(Different Trains )に乗ることになっていたのではないか?」と考え、このことが作品を書くきっかけとなった。
佐藤義尚さんは前述のとおり、ご本人の YouTube アカウントがある他、以下に個人サイトが残っている (更新は2014年頃を最後に途絶えている模様だが)。