Parsec で超低遅延なリモートデスクトップができた

今まで自分は Chrome リモートデスクトップを主に使ってきたのだが、コイツは画質があまり良くなく、遅延もそこそこある。他に Windows リモートデスクトップ接続、RealVNC、TeamViewer なども使っているが、いずれもそこまでレスポンスが良くはなかった。

そこで、かねてより気になっていた Parsec というリモートデスクトップサービスを使ってみた。

検証環境

検証に利用した機材や環境は次のとおり。

いずれも同一 LAN 内で検証。外出先などからの検証はしておらず。

各マシンにアプリをインストールする

上の公式ページより Parsec のアプリをインストールする。コレはホストマシン (外部から接続される側) になる場合は必須。クライアント (他のマシンに接続しに行く側) になる際も、ネイティブアプリの方が後述する Web 版よりパフォーマンスが格段に良いので、基本的にはインストール必須と考えて良いだろう。

Windows 版、MacOS 版の他に、Linux や Android などにも対応しているようだが、Linux 版は ARM ベースの CPU 搭載マシンである IdeaPad Duet にはインストールできなかった。というワケで他マシンから IdeaPad への接続は不可能で、IdeaPad から他マシンへの接続は Web 版からの検証とする。

Parsec を使う際はアカウント登録が必要になる。メールアドレスとパスワード、あと任意で二段階認証設定ができる。メールアドレスの認証を済ませて、ネイティブアプリを起動したらログインすれば、同じアカウントでログインしている他の端末が見えるようになる。

エンコーディング設定や帯域設定なども色々あるのだが、後述するように接続エラー等があったので、基本的にはデフォルト設定からイジらない方が良さそうだ。帯域幅だけはデフォルトの 10Mbps から 15Mbps に変えてみたが、どのくらい差が出るものなのだろうか。

ノート PC から母艦デスクトップへ接続してみる

想定する主な使い方は、ノート PC から母艦のデスクトップ PC へ接続して、デスクトップ PC を操作する使い方。双方のマシンでネイティブアプリを立ち上げて接続した。

結論からいうと、超低遅延で、超絶サクサクに動作する。デスクトップ PC 側で YouTube 動画なんかを再生しても、ほぼ遅延なく、映像・音声ともにクライアント側に届く。クリック操作などの遅延も体感できるような遅延が全くなく、特に同じ Windows OS である ZenBook → Galleria 間の接続時はキー配列や操作感なんかも全く同じなので、普通に実機を操作しているかのような感覚だった。

クライアント側はネイティブアプリなしでも接続できるが、パフォーマンスが極端に落ちて使えない

先程も少し触れたが、クライアント側のマシンにはネイティブアプリをインストールせずとも、以下の web.parsec.app にブラウザからログインすることで、クライアント側として操作できる。この辺は Chrome リモートデスクトップとか TeamViewer なんかも同様だ。今回はどのマシンでもクライアント側は Chrome ブラウザを使ってみた。

クライアント側のネイティブアプリを起動してある状態だと、Parsec Web で接続開始してもネイティブアプリが実際の通信を確立するので、前述のようにネイティブアプリ同士で接続するのと同じ状態になる。

しかし、クライアント側でネイティブアプリを起動していないと、ブラウザからホストマシンのネイティブアプリへと接続しに行くようになり、パフォーマンスが極端に落ちる。Chrome リモートデスクトップよりもガクガクで、ネットワーク影響をメチャクチャ受けるので、あまり常用には足らない。

特に ChromeBook はそもそものマシンスペックが低いせいもあって、全く画面が動かない感じだった。

デスクトップ PC からノート PC へ接続しにいく

以降は Parsec の真価を検証する目的で、色んな方向で接続して動作確認してみた。まずはデスクトップ PC から、各ノート PC へと接続してみた。前述のとおり ChromeBook にはネイティブアプリをインストール出来ないので、以降の検証に ChromeBook は登場せず。

Win10 の Galleria → Win11 の ZenBook の通信は、同じ Windows OS ということもあるのか、問題なくサクサクと動作してくれた。Galleria 側のディスプレイを 4K、ZenBook 側は FHD だったので、若干画質が悪く見えたものの、レスポンスはかなり良かった。

MacOS 版のネイティブアプリは、ホストマシンとしての機能が現状 Beta Preview 状態である。一応接続はできたのだが、設定が悪いと接続エラーになるし、動作があまり安定していない印象を受けた。

続いて、クライアント側となる Galleria のネイティブアプリを閉じ、ブラウザからノート PC へ接続してみた。

ブラウザ → MacOS の接続が上手く行かなかった。やはり Mac のホスト機能はベータ状態ということなのだろう。

ノート PC 同士で接続する

さらに、検証に使用しているノート PC 同士での接続も試してみる。コレまでは母艦の Galleria が有線 LAN 接続であったのに対し、ノート PC 達はいずれも無線 LAN 接続なので、その点がパフォーマンスにどう影響するか試してみたかった。NVIDIA GTX1080 を搭載しているデスクトップ機と違って、いずれも内蔵 GPU しか持たないノート PC なので、マシンスペックもどのように影響するのだろうか。

…ということで、無線 LAN 端末同士でもサクサク動いた。さすがにデスクトップ PC との接続時のような機敏さはそこまでなかったものの、Chrome リモートデスクトップよりはマシかな?という感じ。

続いて、クライアント側のネイティブアプリを閉じて、ブラウザから接続してみた。

Mac がホストとなる場合は、やはり上手く接続できず。また、Mac の Chrome ブラウザから Win11 マシンへと接続した時に、マウスカーソルが消えてしまい、操作ができなくなる問題が発生した。ホスト側で直接操作して「Kick All」(接続してきているクライアントを全て締め出す操作) をしてやらないと復旧できなかった。

まとめ

ということで、Chrome リモートデスクトップなんかと比べると、Parsec ネイティブアプリを使った接続時は動画再生なんかも低遅延で、画質低下もあまりなく接続ができた。一番やりたかった、母艦への接続はホントに低遅延で実現できて素晴らしかった。

こんな感じ。元々がゲームを低遅延でやりたい人向けのサービスなので、ホスト・クライアントともに Windows 版の対応が一番安定している。Windows マシン同士で接続するのを前提とした方が良さそうかな。

Mac 版の対応はまだまだだし、iOS 版も存在しないので、「とりあえず色んなマシン間で接続したい」場合は Chrome リモートデスクトップがやっぱり気楽なんだなぁ。上手く Win マシン同士を使える場合は、Parsec による恩恵を受けるのが良いだろう。