バースト・レスポール資料館
バースト・レスポールのオリジナル、およびリイシューやレプリカに関する日本語資料をかき集めたい。
はじめに
バースト・レスポールというモノに興味を持ち始めたものの、インターネットを見ると、「海外のサイト」「既に消えてしまった日本語サイト」が多いことに気付いた。そこでココでは、「海外サイトの情報を日本語解説」し、「消えてしまったサイトに載っていた情報を復刻する」ことで、バースト・レスポールに関する日本語資料を増やしたいと思う。
私のスタンス・取り扱いコンテンツ
管理人 Neo は相当なニワカです。オリジナルを弾いたこともなければ、リイシューも1本しか持っていません。アリエクで手に入る粗悪なレプリカを持っていたこともあり、邪道な人間だと思います。そんな私の偏った興味に基づき、このページで重点的に取り扱っていくであろう内容を書いておきます。
- オリジナル : 概要、仕様紹介、ゆくゆくは全固体の網羅 (Burst Serial が行っているようなモノ)
- コンバージョン : 概要、事例紹介
- リイシュー : 概要、製造年別紹介
- レプリカ : 概要、著名なルシアー紹介、日本製コピー紹介、粗悪コピー紹介
オリジナル
ギタリスト「レス・ポール」氏のシグネチャモデルとして、Gibson 社が1952年に発売を開始した「Les Paul Model」。その中でも1958年から1960年にかけて製造された、サンバーストカラーのレスポール・スタンダードのことを「バースト・レスポール」と呼称しています。
この、1958~1960年の3年間で製造された「オリジナル」のバースト・レスポールは、見た目の美しさとパワフルなサウンドが後年になってから注目され出したものの、製造本数としては約1,500本程度に留まっており希少性が高いです。
コンバージョン
オリジナルのバースト・レスポールが全体で1,500本程度しか製造されていないことから、「ホンモノ」を手に入れることは難しい、しかし Gibson 製のバースト・レスポールが欲しい…。ということで、主に1952~1957年製の、旧仕様のレスポールをバースト・レスポール仕様に改造することがあります。そうした個体を「コンバージョン」品と呼称しています。
コンバージョンでどこまで手を入れるかは、元の個体の仕様と追い求めるスペックによりけりですが、おおよそ以下のような改造が施されることが多いようです。
- ゴールド・トップ塗装からサンバースト塗装へ塗り直す : トップのメイプル材を貼り直す (リトップする) こともある
- P-90 ピックアップを P.A.F. ピックアップに換装する : サウンド面での追求で最初に行われるであろう改造
- ブリッジを Tune-O-Matic に変更する
- ネックのジョイント角度を変更する
オリジナルと製造年が近い1952~1957年製のゴールド・トップ・レスポールが利用される場合が多いですが、1969年に発売された、ミニハムバッカー搭載の「レスポール・デラックス」を P.A.F. に換装するようなコンバージョンも見られます。
リイシュー
リイシューとは「再発売」の意味ですが、ココでは Gibson 社が1960年以降に販売した「レスポール・スタンダード」モデルを総称するものとします。つまり、現在流通しているほとんどのレスポールは「リイシュー品」ということになりますね。
1970年代は、前述の「レスポール・デラックス」など、オリジナルとは大きく異なる仕様の製品が多かったですが、徐々にオリジナル・スペックへの需要が高まっていき、1980年頃からオリジナルに近付けたシリーズが出始めます。1990年代に入るとカスタムショップ部門が登場し、現在の「ヒストリック・コレクション (ヒスコレ)」に続くリイシュー・シリーズの生産が始まります。
オリジナルのバースト・レスポール愛好家においては、Custom Shop 製の Historic Collection をベースにして、そのうえでオリジナルとの細かな仕様違いやサウンド面でのヴィンテージ感を追求しているようです。
- 管理人 Neo は、2024年製の「Gibson Custom Shop - Japan Limited Run 1960 Les Paul Standard Reissue Murphy Lab Ultra Light Aged (Faded Cherry Ice Tea)」を所有しています
- 他にも2004年製の「Gibson Les Paul Standard 50's」を所有していたことがありました
レプリカ
「レプリカ」「コピー」「フェイク」様々な呼び方がありますが、ココでは一旦、「Gibson 社製ではないレスポール」を総称して「レプリカ」と呼ぶことにします。
著名なレプリカ
オリジナルの製造本数が元々少ないことから、レプリカ品は早くから製造・流通していたようです。中でも1980年代頃に、精巧なレプリカとして人気を博していたのは、以下のようなルシアー (ギター製作家) のモノです。彼らの作るレスポールのヘッドには (実際は Gibson 社製ではないにも関わらず)「Gibson」の刻印がされていたようです。
- Peter MAX Baranet
- Kris Derrig
- Elliot Mechanicland
他にも、精巧なレプリカを作成するルシアーはいくつかおり、(Gibson ロゴを詐称している点には問題はあれど) その肉薄具合を楽しめるかと思います。
- Gil Yaron … イスラエルのギター・ビルダーだそう
- Tom Bartlett
- Steve Hauge
- 参考 : photos of Fake 1959 Gibson Les Paul guitars Forgery Replicas … 比較的精巧なレプリカ品の写真
日本製コピー … ジャパン・ヴィンテージ
日本でも、1980年頃からトーカイ、グレコ、ヤマハあたりがコピー商品を生産し始め、そのクオリティの高さに注目が集まりました。さすがにヘッドに「Gibson」と刻印することはなかったものの、商標である「Les Paul Model」をそのまま記載している製品も一部ありました。今では「ジャパン・ヴィンテージ」と呼ばれるジャンルですね。
ギブソン直系コピー … オーヴィル・エピフォン
コピー商品の流通を危惧したギブソン社は、1990年頃から「Orville オーヴィル」や「Epiphone エピフォン」といったブランド名で日本のメーカーにライセンスを出し、ギブソン直系の正式なレスポールモデルが販売されるに至りました。
- 管理人 Neo は、2001年製の「Epiphone LPS-80」(日本のフジゲン製) を所有しています
なお、ココでは Blitz (AriaProII) や CoolZ、History など、近年のいわゆる「レスポールタイプ」と総称されるような、低~中価格帯の製品群については取り扱いません。
粗悪なフェイク品
Epiphone の韓国製、Burny (Fernandes) の中国製など、OEM の安価なコピーモデルがアジア各国で大量生産されるようになると、その製造ノウハウが流出したのか、いつからか粗悪なコピー商品が出回るようになりました。
2020年頃からは、特に AliExpress などの中華 EC サイトで、ヘッドに「Gibson」と書かれているコピー商品が、数万円の価格帯で手に入るようになっています。これらは通称「Chibson チブソン」などと呼ばれています。
ヘッドロゴは「Gibson」と立派に書かれていますが、全体的な作りはチープで、楽器としての調整もほとんどされていない状態のモノが多い印象です。遠目に見てそれっぽく見える、置き物・飾りになるかならないか、といったぐらいで、当然オリジナルやリイシュー品とは比較対象にもなりません。ココではこうした、近年の粗悪なコピー品 (「フェイク」と呼ばれるような作りのモノ) は取り扱いません。
用語
検索に使えそうな用語をまとめます。
- BaB (Build A Burst) … バースト・レスポールの製作キットがあるらしい
書籍
バースト・レスポールを特集する書籍を紹介します。
- The Beauty of The Burst … 日本語。1996年初版。2025年現在でも入手しやすい書籍
- Burst Gang … 日本語。1999年初版 (自主出版)。2019年に Version 1.1 として復刊
- Burst Believers … 英語。Vol.1 ~ 6 まで発行されている
リンク集
バースト・レスポールに関する情報が現存するサイトを紹介します。
- The Les Paul Forum … 海外フォーラム
- My Les Paul Forum … 海外フォーラム