「SIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」レンズは Nikon D5600 と組み合わせると不具合があるかもしれない件

※今回の記事はパソコンやプログラミング関係ないです。ただ、ちょっと機械チックな話とか「ファームウェア」とかいう話が登場したりするのと、何か写真を撮ったり作品をレビューしたりしているワケではないので、El Mylar の方に書くのは違うかもなぁと思ってこちらに書いた次第です。


Nikon D5600 を購入したので、高倍率ズームレンズである「SIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」というレンズを買おうと思い、店頭で実機を試したところ、オートフォーカスが使えない不具合があったので、詳細を書いておく。

目次

Nikon D5600 について

これまで Nikon D3100 を使っていて、最近 D5600 を買った。オートフォーカスが爆速の AF-P レンズが2つ付いているダブルレンズキットを購入した。本体に関する詳細は以下の別ブログでの記事をドウゾ。

なぜ SIGMA の特定レンズだけ試していた?

実際は高倍率ズームレンズ全般をしばらくネットウォッチしていた。Nikon 純正の「AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR」が良いかな?と思っていたが、値段が少々高いので、タムロンやシグマといったサードパーティのレンズにも目を向けていた次第。

タムロンもシグマも、両者で値段は大差ない。カタログスペック上も、レンズによるが「タムロンでないと・シグマでないと搭載されていない」といった機能は特にない。

以下に代表的な部分について比較表を作ってみた。「解像感」についてはネット上の評判を総合して一言で雑にまとめたものなので、レンズや個人の感じ方によって違うものではあると思う。

- タムロン シグマ
解像感 甘め シャープめ
リングの回転方向 ニコンと同じ = キャノンと逆 ニコンと逆 = キャノンと同じ
手ブレ補正 VC (Vibration Compensation) OS (Optical Stabilizer)
超音波モーター PZD (PieZo Drive) HSM (Hyper Sonic Motor)

手ブレ補正も、超音波モーターも、それぞれの性能を比べづらいものではあるが、どちらにも存在している。搭載されているレンズには型番に「VC」だとか「HSM」だとか書いてあるので、用語だけ覚えれば後は分かると思う。

大きな違いはズームリングやピントリングの回転方向が異なることだ。タムロンはニコンと同じ、シグマはニコンと逆なのである。ただし「逆だから使えない」ということはなく、逆というのはつまり「キャノンのカメラとは同じ方向」であるので、慣れの問題。無論、「慣れ」で片付けられないようであれば、ニコンユーザーはシグマレンズの殆どを選べなくなる (シグマにもニコンと同じ方向のレンズは存在していたりする)。

で、結局、現行製品の以下あたりをチェックしていた。

が今回話題に挙げたレンズ。 は、この Sigma 18-250mm とほぼ同じスペックと言える、タムロン機の 18-270mm。

はその旧型なのだが、この両者はほとんどマイナーバージョンアップで差異は微々たるもの。

メーカーが公式に外観を変えて前玉を防汚コートにしただけとアナウンスしています。
型番も末尾の記号だけ追加、つまり7年前の光学設計そのままです。
現行の2400万画素機に見合う解像度のレンズが欲しいユーザーが多い筈ですが。

に関しては、これら高倍率ズームレンズ系の中で一番高倍率なもの。ワイド側が他の製品と違って 16mm からと広角。

以下は現行機 (公式サイト上に紹介ページがある製品) だが、対象外とした。

このあたり全体を「価格.com」で比較した URL を作ったので、よかったら以下をドウゾ。

それで Sigma 18-250mm を選んだが…

これらの中から、価格と倍率の手軽さを見て、Sigma の 18-250mm を選んだ次第。

が、シグマのレンズは Nikon D5300 にて顕著な不具合があったらしく、以下のようなプレス、サポートが打たれている。

【現象】
ニコン「D5300」と弊社ニコン用レンズの組み合わせにおいて、手ブレ補正OS機構やオートフォーカスが正常に作動しない。

【対象製品】
レンズ内にモーターを内蔵したニコン用交換レンズ
※モーター非搭載レンズは、対象外となります。

【対応について】
対象製品をご愛用のお客様は、以下の弊社カスタマーサポートにて2013年11月20日(水)より無償アップデートを承ります。生産を終了した製品に関しましては、弊社カスタマーサポートまでお問い合わせください。
尚、SIGMA USB DOCK(別売り)とUSB DOCK 対応製品をお持ちのお客様はSIGMA Optimization Proからアップデートすることが可能です。

というわけで、ニコンの最新機種である D5600 が対応しているのか不安になったので、店頭で実機を試してみた次第。

ただ、ココで重大なお知らせ。店頭で試したレンズが「D5300 Compatible (対応) 版」だったかどうか、確認を忘れたもしかしたら D5300 対応版だったら、D5600 でも不具合は起こらないかもしれないので、よくよく確認してほしい。ココでは店頭にあるレンズをそのまま購入したときに、どういうことが起こりうるのか、というレポートとして読んでいただきたい。

1店舗目 … レンズ1本目・D5600 1台目

今回、2つの店舗で店頭の実機を試した。

1店舗目では、「SIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」の店頭展示品と、同じく店頭展示品の Nikon D5600 とを組み合わせて試してみた。

すると、オートフォーカスでシャッターを半押しにし、ピントを合わせようとしたところで、AF モードと MF モードが瞬間的に切り替わり続け、正しくオートフォーカスが使用できなかった。人力で再現しようとするなら、レンズに付いている「AF・MF」切り替えのスイッチを高橋名人が如く、高速で切り替えているような挙動をしていたのである。完全にマニュアルモードにすればマニュアルとしては使えたが、オートフォーカスはダメだった。

2店舗目 … レンズ2本目・D5600 2台目 + 自分の D5600

2店舗目では、店員に話を聞きながら、「SIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」の別の個体を試した。

店頭の D5600 と組み合わせると同じ事象。そしてさらに自分が持参していた D5600 と組み合わせても同じ事象だった。

本レンズを店頭展示品の D7100 に装着すると問題なくオートフォーカスが使用できたため、レンズが全てのカメラに対し同じ不具合を起こすわけではない様子。

また、自身の D5600 に対し、「Tamron - 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO (Model B016)」と「Tamron - 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD (Model B008)」を付けさせてもらったが、こちらは問題なくオートフォーカスも使用できた。タムロン製ならリングの回転方向もニコンと同じだし、動作も問題なし、ということか。

レンズ2本が3台の本体でダメだった

ということで、実物を試した限りでは、「Nikon D5600」に対し「SIGMA 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM」を装着しても、オートフォーカスが正しく動作しないことが分かった。

ただし、これが前述の「D5300 に対して発生する不具合の解消版 (ファームウェア・アップデート)」で一緒に解消してくれるものなのか、それとも「D5600 は D5300 より新しいために起こっている問題」なのかの区別は付けられなかった。ただ、D5600 は、同時期に発売された D3400 とともに、AF-P レンズに標準対応しているという大きな違いがあるので、もしかしたらもしかしてだけど、D5300 対応版でも解消しない問題かもしれない。

ただしシグマさんは優秀

ただ、シグマさんはサポートが手厚く、前述の D5300 対応もそうだが、ファームウェア・アップデートなどにより不具合修正を結構やってくれている。今現在は特定の本体で問題が起こるレンズであっても、しばらくすればサポート対応してくれる可能性もある。D5600 との対応状況に関するプレスは今のところ出ていないが、もしかしたら正式な発表があるかもしれない。

ひとまずレンズ選びは中断

一番気になっていた Sigma 18-250mm がこういう有様だったので、次に店頭でも試した Tamron 18-270mm を見てみたが、AF-P レンズに慣れてしまった身からするとオートフォーカスの速度が結構遅く、少々悩み気味。ニコン純正の 18-300m (f/3.5-6.3G) の方がもう少し AF スピードが速かった気がする。何より「タムロンの画質は甘く、シグマはそれよりシャープに写る」という口コミで多く見かける評判が気になっていて、イマイチタムロンに踏み出せない。

安定性を考えたらやはり純正だろうか…しかしそれなりに高いし…。AF-P レンズで高倍率出ないかしら…。