映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきた
2018年の大ヒット作、Queen の伝記映画「Bohemian Rhapsody ボヘミアン・ラプソディ」を IMAX シアターで観てきた。
事実に即した映画だし、フレディの生涯の概要について知らない人はいないと思うので、「ネタバレ」の区分もなく雑多に感想を書こうと思う。
目次
あらすじ
伝説のバンド「Queen」の誕生と、そのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生涯を描いた作品。
バンド結成から「キラー・クイーン」のヒット、数々の名曲のレコーディングを経て、フレディとバンドメンバーの間に生じた亀裂、フレディの病、そして7万人以上の観客を収容したチャリティ・コンサート「バンド・エイド」での伝説のライブが描かれる。
雑多に感想
自分の Queen に関する知識は人並みで、数曲は歌える程度に知っているけど細かなエピソードは知らない、という状態で映画を観に行った。
とにかく、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックが特徴をよく捉えていたし、
- 冷静沈着なギターのブライアン・メイ、
- 劇中ではフレディと対立しがちにデフォルメして描かれていたドラムのロジャー・テイラー、
- バンド内で最年少ということもあり静かに仲を見守るベースのジョン・ディーコン
など、バンドメンバは勿論、音楽業界の関係者やフレディの友人たちもかなり似せてあって、没入感がすごかった。
名曲の誕生秘話や、フレディの周りで起こる人間関係のトラブルなどは、全てが史実どおりというワケではなかったのだが、映画「アマデウス」のオーディオコメンタリーで言われていたように、「事実の核心に忠実」に描かれていたと感じる。
特に、フレディが自身の病気を打ち明けるタイミングは実際とかなり異なるのだが、本映画の製作にはブライアン・メイとロジャー・テイラー本人が関わっていることもあり、「容認された脚色」とも取れるし、もしかしたら「僕らとしてはフレディにこのタイミングで打ち明けてほしかった」という希望を描いたのかも、とすら思えた。
僕が一番ウルッと来たのは、映画開始直後にフレディが一人でステージに向かうカットがあったのだが、クライマックス直前で、このカットのアングルが変わり、ステージに向かうフレディの後ろにメンバ3人が付いていたことが分かるシーン。仲違いもしたけど確かに彼らが「ファミリー」だったことが実感できる素晴らしい演出だと思った。
1985年に開催された「ライブ・エイド」の完コピシーンも素晴らしい。実際の映像と比較しても、実際の映像の別アングルを見ているかと思うくらい、再現度が高い。単なる「動きのモノマネ」というレベルではなく、バンドメンバは勿論、小道具やカメラマンの動きに至るまで、全てがまるごと忠実に再現されていた。このシーンは IMAX シアターで観て正解だった。とにかく凄い迫力だった。
ライブ・エイドの演奏は実際は20分キッカリだったのだが、映画では一部の曲の演奏がカットされている。この編集は、「ライブシーンの完全再現」という観点からは残念に思うかもしれないが、それまで描かれてきた各楽曲の制作秘話のシーンから通して見た時に、冗長に感じさせないようになっていて、良い編集だったと感じる。
エンディングで実際の「Don't Stop Me Now」の PV が流れるのは反則だ…。涙せずにはいられなかった。
正直に生きるフレディの生き様に感動した
全編通して、フレディがとにかく正直に生きてきたことを感じた。野心が強く自信家だったデビュー前から、注目を集める中で感じる孤独感、そしてそれを紛らわせるかのような「乱痴気騒ぎ」。全てその時その時の自分の感性に対して正直な反応を見せていたんだと思う。
仲間だと思っていた人物の裏切りに気付いた時も、素直に、しかし必要以上に攻撃することはなく、立派に決別してみせたし、自分が悪いと思ったことは素直に謝っていた。何か気取ろうとか、自分を大きく見せようとか思っていなかったとしても、ココまで正直に生きるのは難しいことだろう。
それもこれも、なかなか関係が上手く行っていなかった父からの教えである、「善い考え、善い言葉、善い行い」という教訓が、実は身に沁みていて、きちんと実践してこれていたのかな、と感じた。
等身大で、無理や見栄は張らず、自分が出来る範囲で少しでも善いことをする。それを当たり前のようにやれるフレディに、みんな魅力を感じたからこそ、この映画は大ヒットしているのだと思う。