映画「Up In The Air マイレージ・マイライフ」を観た

2009年の映画。ジョージ・クルーニーが旅する映画かな?くらいの意識で見てたけど、結構じんわり。

ジョージ・クルーニーは雇用主に変わって解雇を宣告するコンサル会社員。あちこちの会社に出向いて解雇を言い渡すので、国内線のマイルが貯まりまくってる。出張中に出会ったヴェラ・ファーミガともすぐ「気軽な関係」になってしまう。

そこに、新人のアナ・ケンドリックが入社。彼女は、いちいち社員が出張しなくても解雇を言い渡せるビデオチャットシステムを提案、全社的な導入が始まろうとしていた。コレに対しジョージ・クルーニーは「今までの俺のやり方は現地で対面、コレに尽きるぜ、若造に何が分かる」とご立腹。アナ・ケンドリックを自身の出張に同行させ、OJT を兼ねて彼女のやり方がダメなことを証明しようとする。

案の定、アナ・ケンドリックはジョージ・クルーニーほど上手に解雇を宣告できず、「クビになるなら自殺してやる」と言われて超動揺したりする。

一方、ジョージ・クルーニーは、人間関係を減らして負担の少ない生き方をアナ・ケンドリックに指摘されるが、「俺はこれで満足している」と言い切る。しかし、ヴェラ・ファーミガとの関係を真剣に考え始めたり、妹の結婚式に参加したりしている内に、「人生の大切な瞬間には、そばに誰かが居てくれた方が良いものだ」と思い直す。


以降ネタバレ。

自分のこれまでの生き方を色々思い直したジョージ・クルーニーはふと思いたち、ヴェラ・ファーミガの家に駆けつける。しかし彼女は既婚者だった。「あなたはただの息抜きとしての存在」と言い捨てられてしまう。その帰りの飛行機で、ジョージ・クルーニーは1000万マイルを達成し、機長との会話という長年の夢を叶えるが、どうもしっくり来ていない様子。

会社に帰ってみると、アナ・ケンドリックは会社を辞めていた。自殺をほのめかしていた雇用者が本当に自殺してしまったそうだ。ショックのあまり、アナ・ケンドリックはメールで辞職を連絡し、去ってしまう。

チャットシステムによる解雇宣告の導入は白紙に戻された。

アナ・ケンドリックは再就職の面接を受けている。そこにはジョージ・クルーニーからの推薦状が届いており、アナ・ケンドリックは無事再就職できた。

そして出張の日々に戻ったジョージ・クルーニーは、またこれまでのように、空港の案内板の前に立っている。


という感じ。

劇中に映るインタビュー映像は、実際にどこかの会社を解雇された人たちを撮影したものらしい。解雇されてどんな気分だったかとか、今振り返ってみて解雇を言い渡された時にどんな反応をしてみたいか、とかを聞かれて、その映像が使われたそうな。どうりでリアルなワケだ。

ジョージ・クルーニーはアナ・ケンドリックの意見に感化されて、ヴェラ・ファーミガと真剣に付き合おうとしたけど、失敗。なかなか救いがない終わり方だったけど、良いことも悪いこともひっくるめて人生、というか。

映画の全体的なタッチはコメディ調というか、明るい感じで表現されているのだが、ラストまで見終わったあとの複雑な気分はなかなかのもの。仕事、人生、哲学。人それぞれの考え方があって、時に真剣であろうと上手くいかなかったりする、という現実をまざまざと見せつけられた感じ。若い人にとっては、これから自分はどう生きていきたいか考えるきっかけになるだろうし、ある程度年齢を重ねた人にとっては、「自分が選ばなかった方の選択肢を後から選び直すのは相当に困難だ」という現実を噛みしめることになるかも。

クビになる人役で J・K・シモンズが出てる。アナ・ケンドリックはこの前「End of Watch エンド・オブ・ウォッチ」でも見かけたが、この作品で色んな賞にノミネートされてたみたい。

ヴェラ・ファーミガの色っぽさは何なんだ…。