映画「Boyz N The Hood」を観た

1991年の映画。

黒人少年トレは、優秀だったが友達との喧嘩が絶えなかった。自分の手に負えないと判断した母親は、別れていた父親のローレンス・フィッシュバーンに育児を託す。フィッシュバーンは男手一つで息子を育てた。

高校生になったトレ (演・キューバ・グッディング・ジュニア) は、近所に住むアイスキューブらと仲良く育ったが、彼らのようにギャンググループには入らず、好青年として育った。アイスキューブの弟リッキー (モリス・チェストナット) は、アメフトの特待生として大学からオファーがあり、同学年であるトレとも気心の知れる仲だった。

そんな彼らの住む地域は、「黒人が黒人を殺し、金品を奪う」という治安の悪い地域で、フィッシュバーンは「黒人同士の潰し合いが発生しているのは、白人が仕組んだことだ」「俺たち『兄弟』は白人の策略に飲まれて自滅してはならない」と警鐘を鳴らす。

しかしその矢先、事件が起きてしまった。アイスキューブの弟リッキーがよその黒人ギャンググループと小競り合いになり、その結果射殺されてしまったのだった。怒りに震えるアイスキューブ一行とトレは、ギャンググループに復讐するためクルマに乗り込む。しかし、父フィッシュバーンの教えを思い出したトレは、クルマを降りる。

アイスキューブ一行はギャンググループを見つける。仲間たちが引き止めるが、アイスキューブは弟の復讐とばかりに、ギャングの3人を射殺する。

翌朝。トレの家に、アイスキューブがやってくる。「お前はクルマを降りてよかった」「弟の敵討ちとはいえ、殺しは良い気持ちはしない」「次は俺が殺される番かもしれない」「どうしてテレビでは海外の戦争ばかり報道してるんだ?俺達の暮らしは報道されない…」。そう語り、立ち去るアイスキューブ。

彼は2週間後に殺されてしまった。トレは地元を離れ、大学に進学したという。


黒人の生活を描いた作品。ロス暴動事件の前年という時勢でもあり、黒人たちの怒りがピークに達していた頃といえる。

よくあるのは「俺達黒人は白人に虐げられてきた」という話だが、この映画は「俺達は黒人同士なのにお互いを潰し合ってる (その元凶は白人にあるが)」というところにフォーカスを当てている。単なる黒人 vs. 白人の構図ではなく、黒人同士の関係を見直そうよ、ということだ。白人が仕向けていることに乗っかるな、俺達はもっと賢いはずだ、というのが、劇中でローレンス・フィッシュバーンが語る内容。

若かりしアイスキューブの演技もなかなか。見ごたえのある映画だった。