Netflix ドキュメンタリー「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」を観た

2020年の Netflix オリジナルドキュメンタリー。原題は「The Social Dilemma」。

Twitter、Facebook、Instagram、YouTube などの元開発者の証言を交え、また、ある家族のドラマパートを交え、SNS 中毒がもたらす悪影響を取り上げている。

これら SNS が無料でサービスを提供できているのは、ユーザの投稿の間に挟まる広告からの収入があるからだ。ユーザができるだけ長くその SNS を眺めてくれれば、より多くの広告収入が得られる。だから SNS はユーザが気に入る投稿を多くレコメンドしまくる。全てはユーザの滞在時間を長くし、広告収入を得るためだ。

人間には「誰かと繋がりたい」という根源的な欲求があり、SNS はそれを満たせるために、元々依存しやすい要素がある。その上で、AI が個人に最適化されたコンテンツをレコメンドすることで、ユーザはさらに快感を覚え、SNS の利用時間が増えて SNS 中毒と化していく。ユーザは広告をより見せられるよう、誘導されているのだ。

顧客を「ユーザ」と呼ぶのは、違法薬物とソフトウェアの業界だけである

個人に最適化されたコンテンツが見えていることの異常性は、Wikipedia を例に挙げて説明されていた。Wikipedia は百科辞典サイトなので、誰が見ても同じ内容が表示される。しかし、Wikipedia の運営がこう考えたとする。

「Wikipedia で広告収入を多く得るために、各ユーザの好みを判断して、表示するコンテンツをちょっとずつ変えてみてはどうか」

Twitter なんかがやっているのは、まさにこういうことである。

自分が気持ち良いと感じる投稿ばかり寄せられるので、エコーチェンバー効果により、ユーザの倫理観すらも左右されてしまう。

元はより多くの広告収入を得るために行っていたコンテンツ操作だったが、これを利用すればユーザの思想をも操作できることを、SNS の運営側が発見してしまった。トランプが当選した大統領選挙や、イギリスの EU 離脱 (ブレグジット) 運動などは、SNS による操作があったとされている。この点は「グレート・ハック」という別の Netflix ドキュメンタリーでも取り上げられていた。

食事や寝る前に、スマホを別室に置いて過ごしてみよう。大の大人が、いい歳こいて、SNS を開きたくてしょうがなくなっている。気が付いていなかっただけで、自分も立派な SNS 中毒者、スマホ中毒者なのだ。

何で SNS はそんなに面白いのか。自分の承認欲求が満たせるツールであり、自分が心地よいコンテンツが最適化されて表示されるからだ。しかしそれは企業が広告をより多く見せるために仕組んでいることで、知らず知らずの内にあなたの思想をも操作されているのだ。

楽しいことは止められない。麻薬と同じだろう。

でも、だからこそ、頑張ってスマホと距離を置いて、もう少し自分の力で物事を読み取らないといけない。

子供の顔よりも液晶の板を眺めていていいのか。子供にはスマホ中毒になってほしくないと思うだろうに、自分が依存している状態は変えられないというのか。子供に示しのつく大人でいよう。

自分の子供とは、スマホを使うルールを相談して決めるのが良いと紹介されていた。その上で、SNS は高校生まで禁止するのが良いそうだ。未成年にはリスクが大きすぎるため、SNS 業界で働く親は自分たちの子供たちに SNS を使わせていないらしい。

…そんなに危ないモノを俺たちは使ってんの?マジで止めよう。そろそろ止め時だ。