理解できないコミュニケーションプロトコルの病院

ココ1・2年でかかりつけになった病院がある。医師の診察自体には何ら不満はないんだけど、その病院の受付でのお作法に納得がいかない、という話。


初回の診察時、僕は電話で予約を取って病院に行った。受付では「○○時に予約した Neo です」と伝えて、普通に診察が終わった。

その病院は、通常の診察では予約を受け付けていない。初回や特別な理由がある時のみ、予約を取れるシステムになっていて、あとは「来院の目安日」を教えてもらえるだけで、予約を取っているわけではない、というシステムになっていた。まぁ予約制じゃない病院ということは理解した。


2回目の診察時、僕は「来院の目安」の当日に病院に行った。受付で「前回の診察で、今日を目安に来るようにとお伝えいただいた Neo です」と伝えた。

すると受付の人が「え?なんですか予約ですか?」と聞き返してきた。「いえ、予約を取ったワケではありません。前回の診察で、来院の目安として今日の日付を聞いていただけです。この病院って普段予約制じゃないんですよね?」と答えると、受付の人は「えぇ、そうですが…」と、腑に落ちない表情をしている。僕は何か予約制度に関して勘違いしているのだろうか?

「前回の診察で、来院の目安日を書いた紙をもらっています、この紙です。コレのとおりに、今日来たのです」と伝え直すと、ようやく「あぁ、通常の患者さんですか、ではおかけください」と話が進んだ。


…このようなやり取りを、2回目・3回目・4回目の診察の時も繰り返した。4回目の診察の時になって、どうも気になって、「あの…通常の来院の人って、どう伝えれば分かってもらえますか?」と受付の人に聞いてみた。

すると受付の人は、「通常の来院の方は、何も言わずに、受付に診察券を出してください。そうしたら予約の方との区別が付きますので」と答えたのだ。

…そんなのアリ?\(^o^)/

「何も言わないで」という選択肢が想定外で、僕はビックリした。

よくよく他の患者さんを観察していると、確かに「おはようございますー」なんて挨拶をしながら診察券を出したら最後、受付の人が「ご予約ですか?」と確認を始めて一悶着している。本当に何も言わないで、無言で診察券を出した人だけ、すんなりと受付が済んでいたのだ。

コレはこの受付のオバちゃん特有の仕草なのか?と思ったら、他の看護師が受付を担当している時も同じ仕組みで動いていた。少なくともこの病院内では、

というプロトコルが全従業員に浸透しているようであった。


もう一度書くけど、「病院の受付」でのやり取りの話だ。「おはようございます」だの「コレ、診察券です、宜しくお願いします」だの、そうした挨拶の一言くらい、人間なので自然と口に出してしまうモノだろう。会釈と同時に「スイマセン」の言葉がつい飛び出すのと同じで、こういう挨拶は反射的なモノだ。

だけどこの病院では、挨拶の一言も発しないことが来院者の予約有無を識別する方法として確立されているのだ。未だににわかには信じがたい仕組みなのだが、「お願いしますー」と軽く言っただけでも、やっぱり「え?ご予約ですか?」と訊ねられる。腑に落ちない。「何も言わない」が条件になるなんて、ファミコン時代のミステリーゲームの裏技か何かか?w 挨拶くらい、もはや「しちゃうモノ」だろ。

普通の人として、普通の「店員と客」の会話として、一言も言葉を交わさない方が良いとか、一言も発しないことで何かを区別するとかいう方法って、ちょっと考えたことがなかった。しかもそのルールを予めアナウンスしておくワケでもなく、多くの患者と「え?予約の方ですか?」という確認をやり取りしていて、なんとも非効率というか、無駄というか、意味分からないプロトコルが運用されてるな、という感じがする。

コレってなかなかトリッキーな通信方式だと感じるのだが、世間的にはよくあることなのかな?レストランに行って、何も言わずに突っ込んでいった方が、何か伝わったりすることってある?普通人数を言うとか空いてるか聞くとか予約してますとか何とか言わない?何も言わない客が来たら、ちょっと変だなって、店側は思わない?

会社では何かと「コミュニケーション能力の向上が大事だ」とか「もっと活発なコミュニケーションを」とか言われるが、「何も言わない」という行動から何かを読み取る仕組みになっているのって、会話のプロトコルとしてアリなのか?w

おおよそ効率的にも見えず、合理的とも思えないコミュニケーション手法を求められて、こういう世界もあるんやなー、世界は広いなーと思うなどした。