映画「エターナル・サンシャイン」を観た

2004年。ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット主演。マーク・ラファロ、イライジャ・ウッド、キルスティン・ダンスト、トム・ウィルキンソン出演。ミシェル・ゴンドリー監督。

あらすじ (ネタバレアリ)

平凡な男性ジム・キャリーは、ふとした拍子に青髪のケイト・ウィンスレットと出会い、すぐに恋仲になる。そんな冒頭のシーンから映画は始まる。

ある日、ケイトと喧嘩別れしたジムは、ケイトがジムとの記憶を消去する手術を受けたことを知ってしまう。絶望したジムは決心して、自分も同じくケイトとの記憶を消去する手術を受けることにする。

トム・ウィルキンソンが院長を務めるその病院では、受付係にキルスティン・ダンスト、施術者にマーク・ラファロとイライジャ・ウッドがいた。患者は大勢おり、いずれも大切な家族やペットを失った悲しみを乗り越えるために、記憶の一部消去を選んでいるようであった。院長はジムがケイトの一件を知ってしまったことを把握し、ジムに緊急で施術を行うことにした。

ジムが睡眠薬を飲んで自宅で眠ると、マーク・ラファロとイライジャ・ウッドはジムの家に上がり、頭に装置を被せて作業を開始する。ケイトとの記憶を辿りながら、それを一つずつ消去していく作業が始まった。

再生される記憶の中で、ジムは自分が夢の中に似た世界にいることを知る。そして、ケイトと過ごした幸せな日々を思い返し、「やっぱり忘れたくない!」と施術を拒否し始める。また同時に、現実世界でマーク・ラファロとイライジャ・ウッド、そして立ち寄ったキルスティン・ダンスト達が会話をすると、ジムの意識にもその声が届いており、夢から覚めようとジムは抵抗する。

思い出の場所に場面転換すると、ジムは記憶の中で病院へ戻ろうとするがうまくいかない。ケイトと関係のない、別の思い出に逃げ込めばどうかと考え、幼少期の恥ずかしくて思い出したくない過去に飛び込んだりする。

現実世界では、そうしたジムの意識の抵抗により、施術がうまく進まなくなる。困ったマーク・ラファロは、トム院長を呼び出して助けを乞う。

一方、イライジャ・ウッドは、先日施術を担当したケイト・ウィンスレットに一目惚れしており、ジムの記憶の品を利用して彼女の好みを探り、ケイトと付き合おうとしていた。しかしケイトは「何だか凄く寂しい」と、様子がおかしくなってしまう。

トム院長の処置でジムの記憶消去は再開されるが、ココでキルスティン・ダンストが院長へ愛の告白を始める。しかしトム院長は妻帯者。妻に現場を目撃され、「本当のことを彼女に話してあげなさい」と言われる。実は院長とキルスティン・ダンストは、過去に既に不倫していたのだった。キルスティン・ダンストは自分がその記憶を消去する手術を受けていたことを知り、ショックで家に帰る。

再びジムの意識下。ジムは初めてケイトと出会った砂浜を思い出していた。「この記憶もじきに忘れてしまうけど、どうする?」と話す彼女に、「楽しもう」と答えるジム。

そうして目が覚めたジムは、ケイトのことをすっかり忘れた朝を迎え、冒頭のシーンに戻る。

ケイトの家に、キルスティン・ダンストから手紙が届いていた。彼女は記憶の消去を後悔し、患者達に記憶消去の施術を受けた際のテープを送っていたのだった。「ジムのことが嫌い、忘れたい」というケイトの声が吹き込まれていたが、ケイト自身にもその記憶はなく、一緒に聞いていたジムにも何のことだか分からず、「どういう冗談のつもりだ」と怒って彼女を追い返してしまう。

しかしジムの家に再び立ち寄ったケイトは、今度はジムが自分の記憶を消した時のテープを聞いているところに出くわす。「彼女は自分勝手なんだ」「なんだあの髪の色は」などと悪態をつくジムの音声を聞きながら、「そんな風には思っていない」と釈明するジム。ようやく二人は、お互いが既に一度付き合って別れており、お互いの記憶を消去していたことに気付いた。

このまま付き合って行っても別れてしまうに決まっている、と話すケイトだが、「それでもいい」と答えるジム。そして二人は笑い合うのだった。

感想

なんつー名作ですか!!今まで観てなかったのを後悔するくらいの素晴らしい作品だった。

コレはパクリだなどと言いたいワケではなく、作品の特徴を説明するために色々と他作品のことを挙げるのだが、

などの要素も入っているような、幻想的で不思議な映像・構成で大変面白かった。作品の時代的には、ファイト・クラブ (1999)、ドニー・ダーコ (2001) なんかとも雰囲気が近い気がするし、シャッター・アイランド (2010) のような雰囲気もある。そういえばシャッター・アイランドにはマーク・ラファロが出ている。

ケイト・ウィンスレットの髪の色が時系列と感情を表しており、本来の時系列でいうと「緑 (最初の出会い)」→「赤 (全盛期)」→「黄 (倦怠期)」→「青 (別れた後、2度目の出会い)」という順番に髪色が変わるのだが、作品の時系列だと過去に遡っていくので、それが真逆になっている。このことに気が付くと、2回目の視聴も楽しめる作品になっていると思う。

監督のミシェル・ゴンドリーだが、

などの奇妙で中毒性のあるミュージック・ビデオを手掛けたことで知られている。本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、画面中央で鏡写しになっている通りのシーンだったり、効果的な逆再生、記憶が消えていく様子が物体の消失として表現されるなど、映像の気持ち悪さも楽しい作品だ。

ラストは「喧嘩別れする結末が分かっている二人は、果たしてそれでも付き合うのか」といったところがテーマになっていて、なんともいえない切なさと物悲しさ、それでいて美しさのあるラストになっている。アタシもこんな美しい恋愛してみたかったワネー、と乙女な気持ちになれること間違いなし。w

ジム・キャリーといえばアドリブも多彩なコメディ俳優の印象だが、「トゥルーマン・ショー」よりもさらにコメディ色が払拭されている。多分ジムのアドリブでふざけたシーンはほぼ入っていないのではないだろうかw。正統派な演技も完璧で、そこもまた「早くこの作品に出会っておけばよかった」と思わされる良いポイントだった。