映画「Saving Private Ryan プライベート・ライアン」を見た

1998年、アメリカ。ナイランド兄弟という実話に基づく話。

あらすじ

1944年、第二次世界大戦。ドイツ軍の迎撃の中、なんとかノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍。そんなトム・ハンクス大尉の元に、「出兵している4人兄弟の末っ子、マット・デイモン一等兵を保護して帰還せよ」という命令が入る。

トム・ハンクス率いる部下たちはフランス内陸部に向かい、ついにマット・デイモンを見つけ出す。しかしマット・デイモンは「戦場の仲間を見捨てるワケにはいかない」として帰還命令を拒否する。

トム・ハンクスたちは混成部隊とともに、戦車で現れたドイツ軍と戦闘になる。最終的に援軍の戦闘機が現れドイツ軍は撤退したものの、トム・ハンクスは胸に銃弾を受けて倒れ込む。マット・デイモンに「無駄にするな、しっかり生きろ」と伝えて事切れる。

時は戻って戦後50年後の現代へ。トム・ハンクスの墓場の前に佇む老マット・デイモン (ハリソン・ヤング演) は「私は頑張って生きてこれただろうか」と問いかけ、敬礼を捧げる。

感想

恐らく「手ブレアクション映画」の先駆け。しかし後発の手ブレアクション映画と異なるのは、「わざと手ブレさせている」ワケではなく、なんならなるべく手ブレさせないようにしている方かなというところ。臨場感を狙っての撮影手法なのは大前提だが、恐らく当時のステディカムの性能面で、コレ以上ブレない映像を至近距離で撮るのが厳しかったからこそ生まれた撮影手法なのではないかと思う。比較的長回しのワンショットが多く、その中でも自軍と敵軍の位置関係や必要な被写体が綺麗に映り込むように計算し尽くされていて、あまり映像酔いしない出来になっている。

軍事関係のことはてんで知らないので、なぜライアン一等兵を保護することになったのか、その理由がイマイチ分からなかったので鑑賞後に調べた。

トム・ハンクス含め8人のメンバで構成された部隊は、「なんで俺達の命よりライアン一人の命の方が大切なんだ?」と愚痴をこぼしたりするシーンがある。トロッコ問題にも似た話で、戦争の不条理さだったり、命の重さを考えさせられる話だ。

そんな部下の愚痴に対してトム・ハンクスは「(正直俺もよく分かんないけど) 故郷に帰った時に妻に誇れる任務を全うしたい」と話す。この辺、「割と生きて帰る前提でいる」というところが「お国のために犠牲になる」的な日本の戦争映画と違って興味深い。

最後に、若きマット・デイモンから、老いたハリソン・ヤングに戻っていくシーンは、この時期よくあったモーフィングですな。アル・パチーノの「ディアボロス 悪魔の扉」(1997) にも似たようなシーンがあったw。