口頭での会話がどのくらい非効率なのか定量的に計測する

自分でも何度目だよこのネタ、って思いつつ。

僕の基本スタンスは以下のとおり。

超大雑把にまとめたけど、口頭伝達のどの辺が悪だと思っているかは過去記事をドウゾ。あと Tech の中でも「ビジネスコミュニケーション」というページを作って色々まとめてるのでソチラもドウゾ。

最近はもう、こういうタイプの人間がいても何も言わないことにしている。いくら両者のメリデメを伝えて改善要望として「書いてくれ」って言ってきても、「それでも自分は話をしたいんです」と言ってのける輩が多く、他人が良くなることはないんだと諦めた。スゴいよね、聞き手の改善要望を無視しますって言える奴。w

だから今日は「お前らいい加減にしろこう直せ」って方向の話じゃなくて、もう少し具体的に、「口頭伝達」と「文書でのやり取り」がどのくらい効率的なのか、数値化できないかと思って、独自調べしてみた。

すなわち、僕自身の場合、「話す」「聞く」「書く」「読む」で、時間単位の情報発信・情報処理の量が多いのはどの方法だろうか?ということを検証してみたのだ。

目次

口頭伝達:話すスピード

まずは話すスピード。僕は1分間にどのくらいの早さで話ができるのか、計測してみた。

自分のブログ記事と、他人のブログ記事、そして特に僕の専門知識があるわけでもないニュース記事など、いくつかの題材を読み上げて、1分間に話せた文字数を検証した。題材にした文章は全て日本語で、英語の文章は含まれないものを使用した。

純粋な日本語の文字数でいうと、自分は1分間に500文字前後は、内容に関係なく話せた。ただし、途中噛んでしまった部分もあるし、句読点にあたる「休み」を取らずに流れるように喋っていたりして、聞き手が聞き取りやすいかはまた別の話。自分ができるだけ速く話そうとしたらココまで行けた、という数字だと思ってほしい。

話す(黙読)速度の平均 … 約360文字〜420文字/分 ニュースの話す速度 … 約300文字/分 競馬の実況の速度 … 約700〜800文字

「一般的な話すスピード」の数値情報がなかなか見つからなかったのだが、上のサイトの情報を参考にすると、ニュースキャスターが1分間に300文字、競馬実況が800文字程度、ということで、特別僕のペラ回しが速い方でもないことは分かると思う。

口頭伝達:聞くスピード

「聞くスピード」を検証する方法がなかなか見つけられず苦労したのだが、自分が読み上げた音声を早めるなどして、「(予備知識を無視して) 聞いて理解できるか」を判断してみた。

「聞けたかどうか」の判定は難しかった。母国語なので、早口言葉を爆速で話されても「聞き取れない」ということはない。

ただ、予備知識のない競輪実況や競馬実況の音声だと、「聞いた瞬間、何と言っていたかは分かっている」のだが、音声が終わった後に、「人名や順位、全体で何を話していたか」という確認テストが間違っていることが多かった。俗にいう「分かった気になっている」だけで、ほとんどが短期記憶からも抜け落ちていたのだ。「言語的に単語を聞き取れてはいるが、意味は理解できていない」状態って、「聞けた」と言っていいのか?と言われると微妙だ。

先程の文献で見た「話すスピード」の例からいっても、分速800文字程度のスピーチに、ついていくことは出来ている。だが、意味をちゃんと理解できたか、情報を受信できていたか、というのは、その話題に対する予備知識の量に大きく左右されることが分かった。

文書伝達:書くスピード

続いて「書くスピード」。今回は一般的な US キーボードで、ローマ字入力によるタイピング速度を測ってみた。

自分の e-typing のスコアは、最近だと WPM 490 前後、「LaserBeam」ぐらいである。以前は 500 超えしていたが、最近はどうにも到達しなくなった。

いくつかのブログ記事、ニュース記事の書き写しを試してみた結果は以下のとおり。

自分が「話せた文字数」(約500文字) と比較すると、だいたい半分のスピードといえる。ただし、「話すスピード」は、句読点にあたる「休み」を入れていなかったり、噛みながらも話し続けたりしていて、聞き手に配慮できていたかは怪しい。その一方で、タイピングの方は漢字変換も適切に行い、句読点や改行、カギカッコの入力なども含めて書き起こしたスピードなので、タイプした結果をそのままメール文書として展開できるような品質にはなっている。

文書伝達:読むスピード

僕は結構「読むスピード」が遅い方だと自覚している。

コチラの計測サイトで、小論文や小説を題材に黙読してみて確認テストした限りだと、以下のような結果になった。

あなたの読書速度は…
652文字/分
2/2問正解
総合ランキング
47840位 / 119982人中
少しゆっくりめの読書速度です。
速読トレーニングをして、まずは平均的な読書速度を目指されることをオススメします。

あなたの「社会人」でのランキングは・・・
16592 位 / 46141人中

平均以下だってさ。w

ただコレも、「聞くスピード」と同じで、他の題材で試すとまた違う結果が出た。自分のブログ記事や、知っている分野のニュース記事なんかだとこんな感じ。

中身を理解して、「○○が××だと記されていたのは、アメリカだっけ?イギリスだっけ?」といった確認を自分で行って、間違えなかった速度が、大体コレぐらいだった。上の計測テストの数字と比べると2倍くらい違う。

結果を整理

完全なる俺調べであり、題材の偏り・正確さには欠けると思ってほしい。そのうえでの、俺個人の能力値でしかないが、「1分間に発信 or 受信できる日本語の文字数」は、おおよそ以下のようになった。

項目 文字数 ひらがな化 品質
話す 440 500 ×
聞く 780 1070
書く 240 255
読む 1200 1350

「話す」と「書く」で比べると、「口で話す」方が「タイピングする」より2倍近い文量を話せた。ただし、話した方は「発声できた」だけであり、理解してもらえるように話せていたとはあまり思えない。それに対し、タイピングしたモノに関しては漢字変換などが全て出来上がっている状態での結果なので、品質を比較すると「書かれたモノ」の方に軍配が上がると思う。

「聞く」と「読む」は、いずれも内容によって理解度が大きく変わり、数値化しづらかった。初めて聞くような情報だと、「一回聞いただけ」「一回読んだだけ」では短期記憶にも正確に残っていないことが多かった。

ただ、「読む」方については、理解度を上げるために「読み返し」たり、速さを求めて「読み飛ばし」たりできる、というのが大きな特徴だ。今回「読み飛ばし」は検証しなかったのだが、一般的に、

といったやり方で、文章を一言一句全部読まずとも、おおよその内容を間違いなく掴むことは出来たりする。コレが「話を聞く」状況となると、聞き手は重要そうな部分が出てくるまで待たないといけない。話し手に対して「結局、要点はなんですか?一言で言ってください」と言える場面もそうないだろう…w。そう思うと、「読む」方は、「聞く」よりも、品質と速度を受信側で調整しやすいモノと考えられる。

速さは出せても、理解されなきゃ意味がない

俺調べの結果ではあったが、多くの人が「口頭で話した方が伝わると思う」と言っているのは、実際は「考えなしにワーッと発声できて、話し手にとって楽な感じがするだけ」であり、「そうやって話した内容を聞かされて、相手がホントに理解できるのか」は極めて怪しいことが分かるだろう。発信者のスピードだけ見ると、確かに「書くよりも一気に沢山話せる」のは数値でも分かったが、それを「理解して聞けたか」というと、「読む」よりも速度が落ち、理解度が下がる可能性すらある。

話を聞く側は、「話し方」を調整してもらうのが難しいものだ。目上の人には「要点は何なの?結果から話して?」とはそうそう言えないし、何度も何度も「もう一度話してください」と言って話の腰を折るのも避けたくなる気持ちは分かる。

しかし、「数分間話を聞いたけど、早すぎて全然分からなかった」と言われている会議もよく見かける。「話し手が流暢に説明できるスピード」って、聞き手にとっては「早口でまくし立てられているだけで理解が追いつかない」ことが多いんだよな。

過去記事でも何度も書いてきているとおり、「口頭伝達」は話し手の時間軸に支配されて、ただでさえ聞き手に与える負荷が高い。そのうえ、初耳の情報が飛び交うと理解が追いつかなくなるのは当然だろう。話し手も、一生懸命話したけど伝わらず、もう一度同じ説明をゆっくり言い直すことになって、結局「3時間も会議してないで、メールで質疑応答してた方が早かったんじゃね?」となることが多い。「相手に伝わるまでの、発信にかけた時間」を比べると、「話す」より「書く」が効率的なんじゃね?と思うワケである。

一方、受信側。

「読む」も、「聞く」と同様に、予備知識によって速度と理解度に大きな差が出た。しかし、「聞く」と違って、「読む」は読み手のペースで読み返したり、読み飛ばしたりが調節できるので、読み手にとっての負荷が少ない。「聞く」だと「あぁー今のところ聞き逃しちゃった~」ってこともあるが、「読む」なら文章は逃げないからいくらでも読み返せる。

支離滅裂な暗号文を書いてよこしてくるような書き手は、伝達手段以前に言語化をサボってる奴なので、書き言葉も話し言葉も区別せず、口頭でも同じ表現をしてくるものだ。だから、聞いても読んでも理解できないのは同じ。「書くと伝わらないけど、話したら伝わる」なんてこと、ありえないのは、いくらバカでも想像つく話だろう。もしかしたら、巧みな話術で「その場しのぎで言いくるめることはできたが、相手は理解できていないまま」といったテクニックはあるのかもしれないが、まぁ稀だと思うし、そうだとしても書かない方が良い理由にはならない。

むしろ、コレまでの話を総合すると、やっぱり「話しても伝わりにくいことは、書くと伝わりやすくなる」と言えるのではないだろうか?受信者にとってフレンドリーだからだ。

相手を煙に巻く手段として悪用する

最近自分が「話さず書け」と言わなくなったのは、話の通じないバカ相手に色々諦めたというのもあるけど、口頭伝達の非効率さを悪用することで相手をコントロールする術もあるな、と思ってきたから、というところもある。

終盤サラっと書いたけど、「その場しのぎで言いくるめる」ことで仕事を強引に進める技も、場合によってはアリなんだなーと思うことがあった。「書く」はどうしても形に残ってしまい、それが自分達を守る「証拠」として機能せず、トラブルの種になってしまう場合もある。大概は受信側がクズなだけなんだけど、めんどくせーバカ相手に正論は通じない。こういう奴らは「書かれた証拠」を悪用しつつ、自分達から発信した情報は文書化しないで誤魔化そうとするのだ。

そういう連中には、コチラも「口頭伝達」で対処する。コチラも口頭で早口でまくし立てて文書化しない。その会議が非効率なのは分かっていて、あえてそうする。そして、あえて「言いましたよ?」「いや聞いた覚えないです」「いや言いましたよ」の水掛け論に持ち込み、「証拠がない中で言い合ってもしょうがないですから、そちらから要望を再度文書化してください、そしたら交渉を開始しましょう」と持ちかけて相手に証拠書類を書かせたりする。相手がコチラに仕掛けてこようとしたことを、そっくり返すのだ。そうこうしている内に、時間がなくなって困り始めるのは相手の方なので、相手が諦めるか、負けを認めてコチラのやり方に任せますと言ってくるのを待って対処すれば、コチラが不利にはならない。

汚い相手には、汚い手法をまんま返してやるワケだ。コレまでは「いくら相手がバカのクズでも、自分だけは真摯に、正しいことをしていよう」と思ってきたが、もう止めた。猿を相手に紳士のゲームを続けることはない。既にその猿は噛み付いてきているのだから、ハンティングというゲームに替えるだけだ。早いとこ喧嘩して二度と付き合いをなくした方が自分のためだ。

遮断機が降りている踏切に入るのは悪いことで、本来やらないべき、ってことは分かっているが、相手を轢かれさせるためにあえて踏切に侵入する悪事を働く、的な感じ?本来はバカバカしい、間違っている、そんなことやりたくない、って思っているような手法でも、時と場合によっては「悪用」することで自分のメリットにもなるんだな、って思っているので、分別を持って使い分けるなら、非効率な「口頭伝達」を繰り出す場合はあってもいいんだろうな、って、最近は思うようになった次第。哀しいね。