Back To The Future 1
Scripts And Trivia

ラジオ「10月の決算期を前にレインボー家庭電器では今在庫品一層の大バーゲンを行っています。ヒル・バレーの全チェーン店で、値段は格安。アフターサービス満点。家庭電気製品は今がお買い得。そして、このレインボーストアに早速お出かけになってみてください」
  - 細部 : 男がぶら下がった時計の置き物がある
  - 細部 : Brown Mansion Destroyed という見出しの新聞が飾られている
TV「今日上院の決議が行われるでしょう。次のニュースです。原子力研究所のプルトニウム紛失事件について、2週間前に貯蔵庫から盗まれていたという噂を研究所は強く否定してきました。既にリビアの過激派が反抗宣言を行っていますが、今もなお、研究所は書類上のミスだったという主張を曲げていません。FBI が現在調査中ということで、一切のコメントを避けています。次に天気予報です。今日の日中は比較的穏やかな天気になりそうですが、山間部ではにわか雨が降ることとなっています」
マーティ「ドック？ドック？ねぇ、いないの？アインシュタイン、どこだい？ (口笛) イヤーどーなってんだこれ。うわーなんだよ、ひっでー散らかりよう、スッゲー」
マーティ「あらー…まいったな。…はい」
ドク「マーティか」
マーティ「あぁ、ねぇドック、どこにいるの？」
ドク「捕まってよかった。今夜1時15分にアーケードに来てくれ。すごい実験をやるんで助手が要るんだ」
マーティ「待って、夜中の1時15分？」
ドク「そうだ」
マーティ「ねぇどうなってんのよ、1週間も雲隠れして」
ドク「仕事だ」
マーティ「アインシュタインも一緒なの？」
ドク「ああ、ココにいる」
マーティ「家の機械1週間つけっぱなしだよ」
ドク「機械？それで思い出した。アンプは使わない方がいいぞ、ちょっぴりオーバーロードするから」
マーティ「らしいね。覚えておくよ」
ドク「うん、じゃ今夜だ。忘れるな、午前1時15分にアーケードの前だぞ」
マーティ「OK」
ドク「私の時計か？」
マーティ「そう。今ちょうど、朝の8時」
ドク「いいぞ！私の計算どおりだ。キッカリ25分遅らせるのに成功した」
マーティ「何だって、待ってよドック、じゃあ本当は今、8時25分なの？」
ドク「そのとおり！」
マーティ「やばい、また遅刻だ」
※ 歌 : Power of Love
マーティ「やあジェニファー」
ジェニファー「マーティ、ダメよこっちは、ハゲタカに見つかる。今日捕まったら4日連続でしょ？…いいわ、セーフ、大丈夫みたい」
マーティ「今日は僕のせいじゃないんだ。ドックのところの時計が25分遅れててさ…」
校長「ドク？マクフライ、君はまだブラウン博士のところに出入りしとるのか。チッチッチ、遅刻の反則切符だ。君にも！今日で4日間連続だな。いい機会だ、君に忠告しておこう。あのブラウン博士は危険人物だから注意した方が良い。関わり合っているとロクなことにはならんぞ」
マーティ「へぇそうですか」
校長「態度が悪いぞマクフライ。実にたるんどる。君を見てると君の父親を思い出す。同じだった」
マーティ「父は父、僕は僕です」
校長「今日の放課後、ダンスパーティのバンドのオーディションを受けるそうだが、どうせ無駄じゃないのか？君は親父と同じで何をやらせてもダメだ。マクフライ家の人間は代々落ちこぼれと相場が決まっとるんじゃ」
マーティ「僕が変えて見せますよ」
審査員 (ヒュール・ルイス)「次のグループ」
マーティ「よし行こうか…僕らは…バンドの名は、ピンヘッドです」
メンバー「1、2、3…」
審査員 (ヒュール・ルイス)「もう結構だ。音が大きすぎる。おぉい止めろ止めろ。もういい。やたらに音が大きくて、騒々しすぎる。次のグループ。ステージを開けたまえ」
宣伝カー「こちら市長のゴールディ・ウィルソンです。次の市長選挙には、進歩と改革の…」
マーティ「ああ、絶望だ。これでミュージシャンへの夢は永久に消えた」
ジェニファー「選考に落ちたくらいでそう決め込むのは早いわ」
マーティ「ダメだよ、僕にはきっと才能がないんだ」
ジェニファー「あるわよマーティ、絶対ある！このオーディションテープ最高だもの。レコード会社に送ってみれば？博士がいつも言ってるでしょ？」
マーティ「分かってるよ、『何事も成せば成る』だろ？」
ジェニファー「んー？いい言葉じゃない？」
マーティ「そりゃそうだけど、もしこのテープを送ってはねられたらって、それを思うと怖いんだ。どう見ても見込みないなんて言われたら、それこそガックリ来て二度と立ち直れないよ。あぁ…なんか親父に似てきちゃったな…」
ジェニファー「あら、良いお父さんじゃない。明日車貸してくれるんでしょ？」
マーティ「見ろよ 4WD だ。イカしてる。手に入れるぞ。いつかきっと。スゴいだろうな、あんな車で湖へ行けたら。後ろに二人分スリーピングバッグを積んでさあ。きれいな星なんか眺めちゃって」
ジェニファー「ダメよ～。お母さん知ってるの？明日の夜のこと」
マーティ「知るワケないだろ？男ばっかりのキャンプだと思ってるよ。君と二人で行くなんて分かったらぶったまげるだろうな。そして得意のお説教が始まる。『お母さんの頃はそんなこと考えもしなかったわ』よっぽど、モテなかったんだね」
ジェニファー「あなたをまともな子に育てたいのよ」
マーティ「そいつは失敗だったらしいや」
ジェニファー「そうね」
募金の人「時計台を守る運動に、ぜひご協力ください。ウィルソン市長はあの時計台を取り壊して他へ移そうとしてるんです。30年前の1955年に雷が落ちて以来、あの時計は止まったままになっています。私たち歴史保存協会はあの時計台を保存すべきだと訴えています。歴史の貴重な遺産なんですから」
マーティ「カンパしますよオバサン」
募金の人「ありがとう！チラシをどうぞ。時計台を守りましょーう！」
マーティ「えーっと、なんだっけ」
ジェニファー「ここから…」
ジェニファー父「ジェニファー！」
ジェニファー「パパだわ。行かなきゃ」
マーティ「夜電話する」
ジェニファー「あぁ、おばあちゃんの家にいる。待って、番号教える。…じゃあね」
マーティ「『I love you』か…」
※ 歌 : Power of Love
レッカー車の無線「そのぶつけた車の運搬が終了次第、西6丁目58に行ってくれ。今日は衝突事故の大売り出しだ」
マーティ「ひでぇ。やってくれるよな」
ビフ「まったく呆れてモノも言えねぇ！一体どういうつもりなんだジョージ、あんな欠陥車を黙って貸すとは！俺を殺す気か！」
ジョージ「ぃゃぃゃぃゃ待ってくれビフ。もしあの車に欠陥があったとしたら、毎日乗ってる僕が気付くはずだろう。お帰り…」
ビフ「じゃ欠陥車じゃないってのか。だったらぶつかるワケないじゃないか！」
ジョージ「まぁ、とにかくあのとおり壊れてしまったんだ。修理代は君の保険で払ってもらえるかなぁ」
ビフ「俺の保険で？お前の車だろ？自分の保険で直せよ。このスーツだってあんだぞ。衝突したときにビールをモロに浴びたんだ。このクリーニング代誰が出す？」
ジョージ「いやだからそれは…」
ビフ「報告書はできてるか」
ジョージ「あぁあれね、実はまだ仕上げてないんだ。出すのはもう少し先だと思って…」
ビフ「もしもし、誰かいますか？お前、脳天空っぽか？考えてみろ。タイプして出さなきゃならないんだぞ。そのまま出したりしたら、お前の字だってことはすぐに分かる。代筆がバレて、たちまちクビだ。それとも俺がクビになりゃいいってワケか？どうなんだ！」
ジョージ「No！僕がそんなこと思うワケないじゃないか。あぁ分かったよ、今夜徹夜してでも必ず仕上げる。明日朝一番に届けるからそれでいいだろ？」
  - 製作ミス : ビフがキャンディをつまむシーン。直前のカットから瓶の中のキャンディの量が大きく減っている
ビフ「明日は土曜日だ、早いのは困るぞ。お前靴の紐が… (パシッ！) トロいヤツだよお前は。その割に良い家に住んでるが。ぶっ潰れた車をわざわざ届けてやったのにこんなモノしか飲まさないのか？ヘッヘッへ…。…何バカ面して見てるんだ。…おふくろさんによろしくな」
ジョージ「お前の言いたいことは分かってるよ。そのとおりだ。面目ない。だけどな、ビフは会社の上司で頭が上がらないし、正直言って父さん、ケンカが苦手なんだ」
マーティ「でも見てよあの車。あいつがやったんだろ？完全にオシャカだ。明日の晩どうしても車が要るんだ。僕にとっちゃ重大なことなんだよ父さん。どうしてくれんの」
ジョージ「そりゃ何とかしてやりたいけど…本当にスマン…。しかしなマーティ、オーディションに落ちてむしろ良かったんじゃないか？パーティで演奏するなんて、頭が痛くなるだけだ」
デイブ「そうだぞマーティ。お前それ以上頭が悪くなったら困るだろ？」
ジョージ「アッハッハッハ」
デイブ「アッハッハッハ」
ロレイン「ケーキ無駄だったわ。皆で食べて。ジョーイおじさんの保釈が却下されたの。皆たまにはおじさんに手紙書いてあげて？」
マーティ「刑務所に手紙出せってーの？」
デイブ「母さんの弟だろ？」
リンダ「やだよ。おじさんが刑務所に入ってるっていうだけでも恥なのにさ」
ロレイン「誰にだって間違いはあるわ」
デイブ「やばい、クソッ、また遅刻だ！」
ロレイン「デイビット、なんて言葉使うの！忘れてることがあるでしょ？出掛ける前のキスは？」
デイブ「あーもうバスに遅れちゃうよ。じゃあね。行ってくるよ。クッセー！オイル交換した方が良いんじゃない？」
ジョージ「アッハッハ、聞いたかい今の」
リンダ「ねぇマーティ、私電話番じゃないのよ。あんたが外で車眺めてふてくされてる間にジェニファーから2度も電話があったわよ」
ロレイン「感心しないわね。男の子の家に電話するような子はちょっと問題ですよ」
リンダ「良いじゃない別にぃー。ママ古いんだから」
ロレイン「だってはしたないじゃない。女が男を追い掛けるなんて。母さんが若い頃は一度だって男子を追い掛けたことなんかなかった。車を停めて2人っきりでいたりとか」
リンダ「じゃあどうやってきっかけ作るのよ？」
ロレイン「大丈夫。自然に訪れるわ。ママとパパの出会いのように」
リンダ「バッカみたい。おじいちゃんがパパを車ではねたんでしょ？」
ロレイン「それが運命の出会い。とにかくね、あの事故がなかったらお前たちは生まれてなかったのよ」
リンダ「それは言えてるわ。だけどそんな道の真ん中でパパ一体何してたの？」
ロレイン「何してたのあなた？バードウォッチング？」
ジョージ「何の話だい？」
ロレイン「とにかくおじいちゃんが車ではねて、家に運び込んだの。お父さんぐったりしてて、捨てられた子犬みたいで、胸が締め付けられるようだったわ」
リンダ「マーマ！その話はもう何百万回も聞いたわよ。それでパパに同情して『海のお魚パーティ』とかに一緒に行くことにしたんでしょ」
ロレイン「あら違うわ、『魅惑の深海パーティ』よ。それが初めてのデート。一生忘れないわ。あの晩はひどい雷だったわ。覚えてる？あなた。…その晩、踊りながらパパと初めてのキスをしたのよ。その時ママは思ったの。この人と一生を共にするんだなって」
ジョージ「アッハッハッハ、そんなバカな。ハッハッハ」
マーティ「はい？」
ドク「マーティ、寝てたんじゃないのか？」
マーティ「あぁドック…いやぁ、寝てなんかいないよ」
ドク「実はうっかりしてビデオカメラを忘れたんだ。来る時家へ寄って取って来てくれないか」
マーティ「分かった。これからすぐ行くよ」
マーティ「アインシュタイン、おい、アインシュタイン、博士はどこだい？…ドック？」
  - 細部 : 看板は Twin Pines Mall となっている
ドク「マーティ、来てたのか。おーい見てくれ、私の生涯をかけた世紀の大発明だ」
マーティ「これデロリアンだろ？どっか改造してあるの？」
ドク「今に分かる、黙って見てろ、ビデオを回して…」
マーティ「でもドック、その服…」
ドク「いやいいからいいからいいから、そりゃ後だ、そりゃいいから。よし行こう。こんばんは。私はドクター・エメット・ブラウン。アーケードの前にいます。1985年10月26日午前1時18分。これから第1回の実験を始めます。ほらおいでアインシュタイン、車に乗るんだ、さぁ乗って乗って。シートベルトをするぞ。よしよし」
マーティ「あぁ待って、こっちのアングルから…」
ドク「これを映して。アインシュタインの時計は私が持っているコントロールウォッチと一致している。撮ったか？」
マーティ「うん、ばっちり」
ドク「よし。じゃあ良い旅をな。閉めるぞ」
マーティ「そのリモコンで動くの？」
ドク「行くぞ」
マーティ「OK」
ドク「私じゃない、車を撮れ！…私の計算が正しければ、時速140キロに達した瞬間に、ぶったまげるようなことが起こる。…おい、逃げるな！」
マーティ「うっ！」
ドク「やったぞー！大成功だ！言ったとおり、時速140キロピッタリだぁー！次元超越の時刻は午前1時20分0！こいつはキリがいい！」
マーティ「あちっ！ひどいよドック！アインシュタインが車と一緒に消えちゃった…」
ドク「安心しろ、マーティ。消えたワケじゃない。アインシュタインも車もちゃんと別の次元に無事存在しとる」
マーティ「じゃあどこにいるのさ？」
ドク「それを聞くなら『どの時代』と言ってくれ。分かるか？アインシュタインは世界で初めてのタイムトラベラーってワケだ。私は愛犬を、未来に送った！未来といっても、ほんの1分先だがな。正確に言うと、1時21分0秒に、あいつはタイムマシンでココに戻ってくる」
マーティ「ねぇ待って、待ってよドック。それじゃあさ、デロリアンをタイムマシンに改造したの？じゃ信じられないよ」
ドク「どこが気に入らん。どうせ車を使ってタイムマシンを作るなら、格好良い方が良いだろ。それだけじゃない。デロリアンのボディは粒子の分散を…危ない！…ひゃあ！」
マーティ「熱いの？」
ドク「いや～冷たい。凍りついてる。ハーッハッハ、無事だったかアインシュタイン！見ろ、アインシュタインの時計はキッカリ1分遅れでちゃんと動いてるぞ」
マーティ「何ともなかったの？」
ドク「見たとおりだ。あいつは大変な旅をしたことも知らない。瞬間的な出来事で時間は経過してないんだ。だから時計が私のより1分遅れてる。あいつは1分を飛び越え、次の瞬間にはココに戻ってきた。来てみろ、仕掛けを教えるから」
マーティ「あぁ」
ドク「まずタイム回路のスイッチを入れる。上が行きたい時間、真ん中が行き先の現在時間、下が出発時間。年月日は自由にセットできる。合衆国独立宣言の調印の日であれば…。キリストの誕生日なら…。科学の歴史上記念すべき日なら、1955年11月5日だ。忘れもしない。あれは1955年11月5日だった」
  - 細部 : タイムサーキットの表示について : 6・9 は横棒がない表記
    - Destination Time : `OCT 26 1985 AM 01:21`
    - Present Time : `OCT 26 1985 AM 01:22`
    - Last Time Departed : `OCT 26 1985 AM 01:20`
  - 細部 : 合衆国独立宣言の調印の日 : Destination Time : `JUL 04 1776 AM 0` (見切れ)
  - 細部 : キリストの誕生日 : Destination Time : `DEC 25 0000 AM` (見切れ)
  - 細部 : タイムトラベルを思い付いた日 : Destination Time : `NOV 05 1955 AM` (見切れ・V は `|/` 表記)
マーティ「知らないけど何の日？」
ドク「私がタイムトラベルを思い付いた日だ。今でもハッキリ覚えてる。私は時計を見ながらトイレに立っていた。床が濡れてて転んで便器で頭を打って、気が付いた瞬間にひらめいたんだ。ビジョンが、ふっと浮かんできた。コレの構想が。コレこそタイムトラベルを可能にするモノだ。次元転移装置」
マーティ「次元転移装置？」
ドク「あれから30年それを実現するのに家も財産もそっくりつぎ込んだ。思えば長い年月だった。この町もすっかり変わった。その頃この辺りは見渡す限り畑だった。ビーボディーの爺さんが土地を全部握ってて。これがまた変わり者で、松の栽培に入れ込んでた」
マーティ「イカしてる。最高にヘビーなデザインだね。ねぇこれガソリンはレギュラーでもイケるの？」
ドク「ガソリンじゃ無理だ。もっとパワーのあるヤツじゃないと。プルトニウムさ」
マーティ「へぇープルトニウムえっえっ待ってよ、じゃこれ核燃料使ってんの？」
ドク「ほらどんどん回して回して。いや、マシンの動力は電気だ。ただ1.21ジゴワットの電流を生むには核反応が必要なんだ」
  - 製作ミス : 「ジゴワット」
マーティ「でもプルトニウムなんてその辺の店で買えるモンじゃないだろ？…あー…。ひょっとして盗んだの？」
ドク「シーッ！盗んだのは過激派のバカな連中だ。連中はそのプルトニウムと引き換えに爆弾を作ってくれと頼みに来たから、インチキ爆弾を作ってやった。おいで、急いで燃料の入れ替えだ」
マーティ「大変…」
ドク「もういいぞ、これで準備完了。テープをなくさんようにな。貴重な記録だ。こいつはココにしまっておいて、と。おっとっと。こいつを忘れるところだった。未来へ行って木綿の下着がないと困る。化繊アレルギーなんだ」
マーティ「未来って？未来に行くの？」
ドク「そうとも、25年先へ行ってみる。一度で良いから未来をこの目で見たかった。人類がどこまで進歩するか」
マーティ「いいねえ！」
ドク「ついでに25年分のワールドシリーズの勝敗もね」
  - シリーズネタ : Part 2 のスポーツ年鑑に繋がっている
マーティ「…ねぇ、僕の未来も、見てきて」
ドク「いいとも。回せ。私、エメット・ブラウンは、これより、歴史的な旅に出発します。…何を考えているんだ、帰りの分のプルトニウムを積んでなかった。1回の旅に1本、そいつを忘れてるとはどうかしてるよまったく…」
アインシュタイン「ワンワン！」
ドク「どうしたんだ？…こりゃいかん。ヤツらだ。どうしてココが分かったのか…。逃げろ、マーティ！」
マーティ「何、どうしたの！？」
ドク「過激派が来た、仕返しに来た！」
過激派「いた、あそこだ！」
マーティ「銃を持ってる！」
ドク「逃げろ、マーティ！」
マーティ「ドック、危ない！」
ドク「うわぁー！」
マーティ「やめろー！人殺し！」
過激派「あいつもだ！…クソー大事な時に、このオンボロ！行けー！早く出せー！」
マーティ「もっと早く…行けーほら…！」
  - 細部 : スイッチが On になったカットの後、ギアチェンジ時に Off になった音がする？
過激派「よーし見てろ！」
マーティ「クッソー、追いつけるもんなら追いついてみろ！」
マーティ「わー！」
ビーボディー妻「ねぇアンタ、一体何なのアレ？」
ビーボディー「飛行機じゃなさそうだな、翼がない」
ビーボディー息子「飛行機じゃないよパパ、宇宙人だよ」
マーティ「う゛ー…う゛ー…」
全員「うわぁー！」
ビーボディー「みんな、早く逃げるんだ！」
マーティ「ねぇ待って！ああっ…！…こんにちはー…。あのー、すみません…。…納屋を壊して、ごめんなさい」
子供「あー！パパ！宇宙人が人間に変身したよ、撃って！」
ビーボディー「宇宙人の化け物め、これでも食らえ！」
子供「待てー！パパ、早く撃ってー！」
ビーボディー「あぁ！わしの大切な松を！宇宙人の化け物め、松を倒しおってぇ！」
  - 細部 : ココで松を1本なぎ倒してしまったため、アーケードの看板名称が後で変わる
マーティ「いいかマーティ、落ち着くんだ、別に慌てることはない、コイツは夢さ、ちょっとばかり、ヘビーな夢を見てるだけなんだ」
※ リヨン団地建設中
マーティ「止まって…！ちょっとお聞きしたいのですが…」
おばさん「だめよあなた、早く逃げてー！」
マーティ「どうなってんだ？…そんなバカな、ダメだ…！」
※ ヒル・バレーへようこそ
  - BGM : ミスター・サンドマン
※ ロナルド・レーガン主演「バッファロー平原」
  - シリーズネタ : 轢かれそうになるマーティ
※ 最新ヒット曲 : デビー・クロケット - 16トン
宣伝カー「ヒル・バレーの未来はあなたの一票にかかっています。町の発展を願うなら、レッド・トーマス市長の再選を実現させましょう。トーマスは進歩と改革の始祖。新しい町作りに取り組んで、より良い教育を…」
※ 新聞紙 : 1955年10月5日
マーティ「これは夢に決まってる。よし、電話してみよう」
ルウ「どうした坊や？船から飛び込んだのか？救命胴衣なんか着て」
マーティ「電話をかけたいんだけど」
ルウ「奥にあるよ」
マーティ「ブラウン、ブラウン…あった、ちゃんといるぞ。…出てよドック…。…リバーサイドの1640番地って…」
ルウ「何か注文しないのか？」
マーティ「ああそうか、タブもらうよ」
ルウ「請求書のことか？注文が先だ」
マーティ「あ、じゃあコーラのフリーはある？」
ルウ「フリー？ウチにはタダのものは置いてない」
マーティ「砂糖の入ってないやつのことだよ、何でも良いから」
ルウ「砂糖抜きだね？」
ビフ「おいマクフライ！そこで何してる！」
マーティ「ビフだ」
ビフ「お前に言ってるんだぞジョージ！聞こえねえのか」
ジョージ「やあビフ、こんちは、みんなも一緒だったの」
ビフ「お前宿題もうやったのか？」
ジョージ「あぁ…えぇ…でも提出日は月曜だからまだ時間が…」
ビフ「ハロー？もしもし誰かいますか？おいお前！脳天空っぽかよ？全部書き直さなきゃならないんだぞ。そのまま出してみろ、お前の字だってすぐバレちまう。たちまちオレは退学だ。それとも俺が退学になりゃいいってワケか？どうなんだ！」
ジョージ「僕がそんなこと思うわけないじゃないかビフ」
ビフ「そんなこたぁねえよな…何バカヅラして見てんだよ」
スキンヘッド「こいつ救命胴衣着てやんの。丘連れで溺れないようにか？」
ジョージ「そりゃいいやあはは」
ビフ「俺の宿題どうすんだよ？」
ジョージ「ああ、分かったよビフ、それじゃあ今夜徹夜してでも必ず仕上げる。明日の朝一番で届けるから」
ビフ「明日は日曜だ、早すぎんなよ？おい靴の紐が…ｗ まったくトロいなお前ってヤツは！こんなとこに来るんじゃないぜ」
ジョージ「またやられたぁハハ…分かったよ、それじゃあ明日ね…。…なんだい！」
マーティ「あんたジョージ・マクフライ？」
ジョージ「ああ、君は誰だ？」
ウイルソン「ちょっとあんだ！何であんなヤツらに言いたい放題言わせとくんだ？」
ジョージ「僕より強いからさ」
ウイルソン「しっかりしなよ！男のくせに根性ねぇなあんた！その歳で人の言いなりになってたら、一生踏みつけにされて暮らすことになるぜ？俺なんかよ、こんなちっちゃな店の皿洗いで一生終わりじゃないぞ！」
ルウ「おいゴールディ・ウイルソン！」
ウイルソン「はったりじゃないぞ！そのうち夜学に行って勉強してだな、いつかいっぱしの人間になってみせる」
マーティ「そうとも、あんた市長になるよ！」
ウイルソン「とにか…市長にか？そいつは良い考えだ！よぉし市長に立候補するぞ！」
ルウ「黒人の市長なんて聞いたこともないな」
ウイルソン「見ててくださいよマスター、なってみせるから！俺はヒル・バレーで一番偉い市長になってどこよりも綺麗な町にするんだ！」
ルウ「そうかい、まずココの床から綺麗にしろ」
ウイルソン「ふん。ゴールディ・ウイルソン市長。なかなかいい響きだな」
マーティ「父さん…あぁジョージ！その自転車待ってくれよ！…単なる覗き屋じゃないか」
ジョージ「うわっ！あぁっ！」
マーティ「父さん！うっ！」
サム「おいおい、友達か、君は？…ステラ！バカな子供がいきなりクルマの前に飛び出してきた！家へ運ぶから手を貸してくれ！」
マーティ「母さん？母さんだろ？」
ロレイン「あぁ大丈夫よ、安心して。9時間もずっと眠ってたのよ」
マーティ「そう、酷い夢見たよ。何十年も前の過去に旅をして、怖かった」
ロレイン「そう、でも安心して。あなたはちゃんと1955年に戻ったの」
マーティ「1955年！？うわっ！君は僕の、ぼぼぼぼくの…」
ロレイン「あたしロレインよ。ロレイン・ベインズ」
マーティ「あぁぁ、だけどあんた、あんた、君はその…ととと…とても…痩せてる！」
ロレイン「寝てなきゃダメだわ、あなたひどく頭を打ったのよ」
マーティ「あぁっ、僕のズボンは？」
ロレイン「あそこよ、たんすの上。紫の下着なんて初めてみたわ、カルビン」
マーティ「カルビン？どうして僕がカルビンなんだい？」
ロレイン「あなたの名前でしょ？カルビン・クレインって。下着にそう書いてあるわ」
マーティ「ぅぁぁぁ」
ロレイン「お友達はカルって呼ぶのかしら」
マーティ「いや僕の名前は…マーティだよ」
ロレイン「そう、はじめまして、よろしく。マーティ…よろしくね…あなた怯えてるの？」
マーティ「いや、何も、僕は別に…別に…大丈夫」
ロレイン「あら大きなコブができてるわ…」
マーティ「うわっ！」
ステラ「ロレイン？お部屋にいるの？」
ロレイン「大変、ママだわ。早くズボン履いて！」
マーティ「うわあ」
ステラ「船はいつ港に入ったの？」
マーティ「港？」
ステラ「船乗りでしょ？すぐ分かったわ、救命胴衣を着てるから」
マーティ「あぁ沿岸警備隊です」
ステラ「あなた、見てちょうだい、もうすっかり元気になったわ、大事にならなくて良かったわねえ」
サム「いきなり飛び出したら危ないぐらいのことは分かるだろ！」
ステラ「あぁ気にすることはないわよ、虫の居所が悪いのよ。あなたテレビはいいから食事にしましょう。えっと、ロレインはもう知ってるわね。ミルトンと、この子はサリー、それからトビー、向こうのサークルに入ってるおチビちゃんがジョーイ」
マーティ「ジョーイおじさんか。今から檻に入る練習かい？」
ステラ「ジョーイはサークルの中がお気に入りで、そこに入ってるとゴキゲンなのねぇ、出すと泣くもんだからいつもこうしてほっとくのよ。マーティあなたミートローフは好きかしら」
マーティ「えぇ、でもあの僕…でぁぁ」
ロレイン「ココに座って」
ステラ「あなたいつまでそれいじってるの？食に休んでからにしたら？」
サム「おーほほほー見ろ映ったぞー！ジャッキー・グリーソンだ、見ながら食べよう！」
ステラ「えぇ良いわねぇ」
テレビのジャッキー・グリーソン「あはは～私は宇宙人だぞ～」
ロレイン「ウチで初めてのテレビよ、今朝届いたばっかり。おたくテレビは？」
マーティ「ああ、テレビなら、2台ある」
ミルトン「すげー。お金持ちなんだね」
ステラ「バカね、ミルトン、からかってるのよ。テレビが2台もあるウチなんかないわ」
マーティ「ねぇ、僕これ見たよ前に、かなり古い番組だ。あの男は自分が宇宙人になった気でいるんだよ」
ミルトン「また嘘言ってる。新番組だよ？」
マーティ「いや、でも見たんだ。再放送で」
ミルトン「再放送って？」
マーティ「そのうち分かるよ」
ステラ「ねぇ、どっかで会ったような気がするの。お母さんとかしら？」
マーティ「えぇ…知り合いかもね」
ステラ「じゃあ電話して事情を説明するわ、きっと心配していらっしゃるでしょう」
マーティ「ダメです！いや、その、今、ウチ、誰もいないから…旅行中で」
ステラ「そう…」
マーティ「あぁ、そう、リバーサイド通り 1640 ってどの辺ですか？」
サム「町の反対側だよ、メープル通りの先、東の外れだ」
マーティ「メープル通りの先っていうと確かケネディ通りですよね」
サム「なんだいそのケネディって？」
ロレイン「あ、ママ。ねぇ、家の人がいないんだったらマーティのこと、今夜ウチに泊めてあげたらどうかしら？パパが車ではねてもうちょっとで死ぬところだったのよ」
ステラ「それもそうねぇ、今夜はウチに泊まってらっしゃい、ウチとしても責任があるし」
マーティ「でも…どうしようかな…」
ロレイン「私の部屋で寝てもらって」
マーティ「いえ、帰ります！帰ります、僕！色々、どうも、お世話になりました。じゃあ、また、いつか…未来でね」
ステラ「なんだか変わった子ねあの子」
サム「いかれとるんだ。あれじゃ両親もきっとロクなもんじゃないな。ロレイン、おめぇが将来あんな子生んだら勘当だぞ」
マーティ「ドック？」
ドク「何にも言うな。名前も素性も一切言うんじゃないぞ、黙れ」
マーティ「ねえ聞いて、僕はマーティっていうんだ、助けてほしいんだ」
ドク「君の頭の中を透視する。えーっと、君は、どこか遠いところからやって来た」
マーティ「そう、そのとおり」
ドク「喋るんじゃない！…あぁ、君は、新聞の予約購読の勧誘に来た」
マーティ「違うよ」
ドク「何にも言うな一言もだ。黙って…あぁー、寄付だ。寄付集めにやって来たんだ。沿岸警備隊の、青年支援団体」
マーティ「博士。僕は未来から、あんたが発明したタイムマシンに乗って来たんだ。元の世界に帰れるように手を貸してよ、1985年だ」
ドク「そんなバカな…。それがどういう意味か分かるか？…私が作ったこの透視装置は何の役にも立たんガラクタってことだ」
マーティ「ドック助けてよ、タイムマシンの仕掛けを知ってるのはあんただけなんだから」
ドク「タイムマシン？そんなもの発明した覚えはない」
マーティ「待って、ちゃんと証拠がある。これ、僕の免許証だ。1987年まで有効。生年月日見てよ、まだこの世に生まれてないんだよ。それから、この写真、兄さんと姉貴と僕。この T シャツの字を見て、1984年って、ほら」
ドク「ちゃちな写真トリックなんか使うから、見ろ、兄さんの頭がない」
マーティ「でも本当のことさ、ねぇ、信じてよ」
ドク「じゃあ聞くがな、未来少年君。ヘッ。1985年のアメリカ大統領は誰だ？」
マーティ「ドナルド・レーガン」
ドク「ドナルド・レーガン！？俳優の！？ヘッ、じゃあ副大統領は、ジェリー・ルイスか？ｗ 大統領夫人はさしずめ、ジェーン・ワイマンってとこだ、それで財務長官はジャック・ベニーだろ」
マーティ「ドック待って、お願いだから聞いてよ」
ドク「お前さんの冗談に付き合ってる暇はない。おやすみ未来少年君」
マーティ「ねぇ待ってドック、おでこのその傷、どうしてできたか知ってるよ。あんたが全部話してくれたもん。時計を見ながらトイレに入ってて、床が滑って転んで、便器で頭を打ったんだ。そのとき次元転移装置の構想を思いついた、つまり、それが、タイムトラベルを可能にする装置なのに…」
ドク「！！」
マーティ「スターターの調子がおかしいんだ。だから隠しといた、ココに」
ドク「トイレで転んだ後、これを書いた」
マーティ「次元転移装置だ」
ドク「凄いぞ！ワー！ついにやった、私はとうとう凄いものを発明したんだ！」
マーティ「見事に成功さ」
ドク「研究室に運んで整備しよう。君が家に帰れるように」
マーティ「ドック、これ見て」
テレビのドク「良いから良いから、黙って見てろ。私はドクター・エメット・ブラウン…」
ドク「おい、私だ！見てくれ！あんなに歳をとって。良かった、ちゃんと髪があるぞ。私の着てる服は？」
マーティ「あぁ、これは放射能避けスーツだよ」
ドク「放射能避け…そうか、原爆戦争があったら灰が降るから…。しかしこれは、凄い発明だ。携帯テレビスタジオとでもいうか。俳優が大統領になるわけだ、テレビ映りも良いし」
マーティ「あ、ココだよ、ココんとこよく聞いて」
テレビのドク「いや、マシンの動力は電気だ。ただ1.21ジゴワットの電流を生むのには核反応が必要だ、そのためにプルトニウムを…」
ドク「今なんていった！？」
テレビのドク「どんどん回して、動力は電気だ。ただ1.21ジゴワットの電流を生むのには核反応が必要だ…」
ドク「何！？1.21ジゴワットだって！？1.21ジゴワットの電流！？めちゃくちゃだ」
マーティ「ねえ、ジゴワットって一体何なの！？」
ドク「私は浅はかだった。1.21ジゴワットなんて、バカな、そんな強力な電気が作れるか！逆立ちしたってできっこない！」
マーティ「ドック、ねぇ、プルトニウムが少しあればいいんだよ」
ドク「はーっはー、1985年には、そこらの店で手軽に買えるかもしれんが、今は55年だぞ。手に入れるのは不可能だマーティ、気の毒だが君はここに足止めだ」
マーティ「そりゃないよドック！なんとしてでも未来へ帰らなきゃ。僕には僕の生活があるんだ。ガールフレンドもいるし」
ドク「美人か？」
マーティ「とっても生かしてる。僕に夢中なんだ。ほら見て、これ彼女が書いたんだよ『I love you』って。ねぇドック、あんただけが頼りだ」
ドク「すまんがダメだ。1.21ジゴワットの電流を出すものは、今の時代では稲妻くらいしかない」
マーティ「何だって？」
ドク「稲妻だよ。残念ながら雷はいつどこに落ちるか分からん」
マーティ「このチラシよく見て」
ドク「そうかこれだ…。こんなところに答えが…！55年、時計台に雷が落ちたと書いてある。時間は午後10時4分、来週11月12日の土曜日だ。その瞬間に何とか、稲妻を捕まえ、その電流を次元転移装置に送り込めばいい。大丈夫、任せてくれ、来週の土曜の夜、君を未来の世界へ戻してやるぞ！」
マーティ「土曜日か、やったね、丸1週間ある！55年の世界をたっぷり見物できるぜ～方々案内してよ」
ドク「いかーん！見物なんてとんでもない！一歩もココを出ちゃいかん、人に会って話したりすれば、未来の出来事に重大な影響が出るかもしれんぞ！分かるかおい」
マーティ「うう…そうか、分かったよ」
ドク「マーティ、ココへ来てから私以外の人間と接触してないか？」
マーティ「そういえば、僕の父さんと母さんになる人に出くわしたよ」
ドク「もしかすると…さっきの写真をもう一度見せてくれ」
マーティ「はい。これ」
ドク「こりゃいかん！思ったとおりだ、兄さんを見てごらん」
マーティ「顔がなくなってる。消しゴムで消したみたいに」
ドク「存在が消えかかっているんだ…」
マーティ「へぇ～、昔は学校きれいだったんだねぇ。建ったばっかり？」
ドク「なぁいいか、君は両親の最初の出会いを邪魔した。二人が会わなきゃ結婚はしないし子供もできない。それで写真の兄さんが消えかかってる。次は姉さん、そして最後には君も、消えてしまう」
マーティ「そいつはヘビーだな」
ドク「重さとは関係ない。…親父さんはいるか？」
マーティ「あれだよ」
ジョージ「やめろよ君、よせよ君たち、ふざけてるんだろ、痛ーいっ、しつこいなもう調子に乗って、蹴るのは止めろよぉ」
ドク「本当の親子なのか？」
ジョージ「このくらいで冗談は終わりにして…あぁっ、ちょっとしつこいなぁ、拾えよ君たち～」
校長「マクフライ！」
マーティ「ハゲタカだ。昔からツンツルテンだったのか」
校長「もっとしっかりしろ！からかわれてるんだぞ？！君は一生他人の笑いものになりたいのか？」
ジョージ「いいえ…」
ドク「おふくろさんはどこに惹かれたんだ？」
マーティ「僕にもわかんないけど、多分自分の父親がクルマではねたから同情したんじゃないの？でも、僕が飛び出して代わりに…」
ドク「ナイチンゲール症候群だな。病院の看護婦が患者に惚れる、あれだよ。とにかく、親父さんのとこに行ってきな」
ジョージ「まいるなぁほんとに」
マーティ「やあジョージ。どうだい、君のことずいぶん探したよ、覚えてるだろ、この前命を助けてやったじゃないか？」
ジョージ「ああ、あの時の」
マーティ「ねぇ、会わせたい子がいるんだ…。ロレイン」
ロレイン「ああ、カルピン！」
マーティ「紹介するよ、友達の、ジョージ・マクフライ」
ジョージ「やぁ、はじめまして、よろしくね」
ロレイン「コブは治った？」
マーティ「いや、もういいの、すっかり」
ロレイン「そう、あなた急に帰っちゃうんですもの、心配したわ、本当に大丈夫？」
友人「授業が始まるわよ！早く！」
ロレイン「私行かなくちゃ…！彼、最高に素敵！」
マーティ「ダメ、全然脈なしだよ」
ドク「やっかいなことになってきたぞぉ。おふくろさんは親父さんじゃなくて君にのぼせてるらしい」
マーティ「え、待ってよドック、母さんがこの僕に…恋しちゃったっていうの？」
ドク「そのとおりだ」
マーティ「あぁぁ…ヘビーだ」
ドク「また言ったなヘビーって。地球上の重力変化が起きて、未来ではそんなに物が重いのか！？」
マーティ「…え？」
ドク「いやいやそれより、何とかあの2人を結び付けなきゃ。それにはまず二人っきりになる状況が必要だ。何か、うまいきっかけで…」
マーティ「デートさせりゃいいワケ？」
ドク「そうだ」
マーティ「でも50年代のヤングがどんなデートをしてたのか知らないし…」
ドク「しかし、自分の親だ、検討がつくだろ。二人で一緒に楽しむような共通の趣味は？」
マーティ「…ないよ」
ドク「このポスターを見てみろ。なんか学校の催しがあるらしいぞ」
マーティ「これだよ、『魅惑の深海パーティ』！二人はこのパーティに行ってそこで初めてのキスをしたんだって」
ドク「よぉし決まった、君は親父さんに食らいついて何とかダンスに誘うように仕向けろ」
マーティ「おぉジョージ！ここにいたの！この間紹介した子、覚えてる？ロレインさ…。何書いてるの？」
ジョージ「これ？小説だよ。空想科学小説なんだ。その、別の惑星から偶然地球に舞い降りた宇宙人の話でね」
マーティ「へえ、やるじゃん意外と、そんな隠れた才能があるなんて知らなかったよ。あぁ見せて見せて」
ジョージ「あぁダメダメ！自分が書いたモノはまだ誰にも見せたことないから」
マーティ「どうして？」
ジョージ「そりゃあ、もし、全然面白くないって言われたらショックだからね。こんな気持ち、君には分からないだろうな」
マーティ「いいや、僕だって経験ある…。あ、話違うけどさ、あのロレインって子、君に気があるんだぜ。僕頼まれちゃった、深海パーティに彼女を誘うように君に言ってくれって」
ジョージ「本当かい？」
マーティ「もちろん、あそこにいるから、早く行って誘ってみな」
ジョージ「今ココで面と向かって言うのかい？もし断られたら、そう思うととても怖くてダメだよ。…第一、僕なんかよりもっといい相手がいるよ」
マーティ「へぇー誰？」
ジョージ「ビフだ」
ビフ「なあロレイン、こっち向けよ、本当は嬉しいくせに、いやいやもっとやってぇーって」
ロレイン「やめて、やめてよいやらしい！そんな女じゃないわ！」
ビフ「どんな女か俺が味見してやろうじゃないか」
ロレイン「手を離してよ汚らわしい！」
マーティ「聞こえたろ！てめぇのその汚らしい手を…は、はなせよ…よくないよ」
ビフ「おい文句あんのか！？やる気かてめぇ！…お前は新顔だから、今日は勘弁しといてやる。今日は、だ。俺の気が変わらないうちにとっとと失せろ」
マーティ「おい待ってくれジョージ！」
ジョージ「どうして僕のあとを付け回すんだ！？」
マーティ「待ってジョージ、分かってくれよ、君がロレインをダンスに誘わないと僕は一生後悔することになる」
ジョージ「でもパーティには行けないよ、土曜は大事なテレビがあるんだ、SF 劇場の方が大事だ」
マーティ「でもジョージ、ロレインは君とあんなに行きたがってるのに、可哀想じゃないか？」
ジョージ「悪いけど、僕は気が弱いんだ。ロレインを誘う度胸なんかないよ。君には悪いけど、誰の言うことも信じない。信じてるのは宇宙の声だけだ」
マーティ「宇宙の声か。よーし」
※ Van Halen
ジョージ「うわぁーーー！！！！…き、君は誰だ…うわーーーー！！」
マーティ「黙れ地球人。俺の名はダースベイダー。バルカン星からやってきた宇宙人だ！」
ジョージ「マーティ～～！マーティ、ココにいたのか、探したよ」
マーティ「やぁジョージ、学校サボったろ、どこで何やってたんだ？」
ジョージ「寝過ごしちゃって…。マーティ、助けて欲しいんだ、ロレインを誘いたいけど、どうしたらいいか分からない」
マーティ「大丈夫、元気出せよ、彼女は向かいのカフェにいる…あー硬いなぁこのフタ…。どうして急に気が変わったんだ？」
ジョージ「ゆうべ僕の部屋にバルカン星人が現れて、ロレインをダンスパーティに誘わないと脳を溶かしてしまうって言うんだ」
マーティ「へー、でも脳を溶かすとかそういう話は、他人にしない方がいいよ」
ジョージ「あぁ、そうだね」
マーティ「よし、こっちだ、彼女はあそこにいる。行って誘ってこいよ」
ジョージ「いや待ってくれよ、でも、どう言えばいいのか？」
マーティ「何でもいいさ、自然に頭に浮かんでくることをそのまま喋れば」
ジョージ「…ダメだ！何も浮かんでこない！」
マーティ「よくそれで僕が生まれたね」
ジョージ「え？何？」
マーティ「いいや、なんでもない、こっちのこと。…いいかい、『君とはいつか結ばれる運命だ』とか、それから『君ほど美しい人に会ったことはない』とか何とかそんなの言えばいいよ…女はイチコロだよ…。ねぇ何書いてるの？」
ジョージ「メモしないと忘れそうだから」
マーティ「よしさぁ頑張れ～、髪ちゃんとしろよ」
ジョージ「オヤジぃ…一杯くれ…。ミルクチョコレート。…ロレイン…君とはいつか、結ばれる『運動』だ」
ロレイン「へ？」
ジョージ「あぁ、僕が言いたいのは、つまり、」
ロレイン「ちょっと待って、あなた何かおかしくない？」
ジョージ「いやぁ、本気だよ、僕と君とは…君とはいつか…結ばれる『運転』…じゃない、『運命』なんだよ」
ロレイン「まぁ…」
ビフ「おいジョージ！ココには来るなと言っといたはずだぞ。こいつは罰金モンだな。金あんのか出せよ」
ジョージ「あぁいくら要るんだい」
ビフ「うっ…！野郎もう許さねえ…どうす……」
マーティ「あぁあれ見ろよ。なんだアレ？」
ビフ「うう！」
ロレイン「カルピン・マーティよ。私の憧れの人なの！」
マーティ「ねぇ待ってよ坊や、それ借りるよ」
子供「何するんだよー」
マーティ「あとで返すから」
ビフ「待てー！」
子供「わあーすげーサーカスみたい」
ビフ「あっちだ、待てー！野郎！おいあっちだ！」
見物人1「あれ何に乗ってるの？」
見物人2「ローラーの付いた板だ！」
ロレイン「彼ってサイコーに素敵！」
ビフ「車で行くぞー！」
マーティ「わー！」
ビフ「潰してやる。…うわー！」
ウイルソン「わーぉ、クッセー！」
マーティ「ありがとう坊や」
ビフ「あの野郎今に見てろ」
友達1「あの子どこの子？」
友達2「どこに住んでるの？」
ロレイン「私も知らないの。でもきっと突き止めるわ」
TV のドク「いかん。ヤツらだ。どうしてココが分かったのか…。逃げろ、マーティ！…こりゃいかん。ヤツらだ。どうしてココが分かったのか…。逃げろ、マーティ！」
マーティ「ドック…」
ドク「ああ、マーティか。気が付かなかった。いやいや、大した発明だな。ビデオってヤツは」
マーティ「ねぇ聞いてドック、まだ話してなかったけど、それを録画した夜、ある事件が…起きて…」
ドク「おい止めてくれ、未来のことなんて聞きたかない」
マーティ「分かってないんだよ…」
ドク「分かってるさ、自分の将来を知りすぎるとロクなことにならん。君がその良い例だろう？」
マーティ「…あぁ、そうだね」
ドク「なぁ、見てくれ、君を未来へ帰す方法を考えた。この模型はちょっと雑だが、作るのに精一杯で色を塗る暇がなかったんだ」
マーティ「いや、凄いよ」
ドク「うぅむそうか。…さてと、まず、工業用のケーブルを使って時計台のてっぺんから電線を引き、ずーっと伸ばして、このように2本の電柱の間に張る。一方クルマの方には、ご覧のとおり先の曲がった長いポールを立て、次元転移装置に電気が流れるように接続する。予め時間を計算し、君はココからクルマを走らせ、時速140キロに加速して電柱の間を通過する。チラシによると落雷は、土曜日の午後10時4分だ。その瞬間に電流が電線を伝わって走る。そこへこのポールが接触して、1.21ジゴワットの電流が次元転移装置に流れ込み、君は、1985年に戻れるってワケだ。よぉしそれじゃあ実験をしてみよう。ネジを巻いて、ミニカーを走らせろ。私は稲妻を出す。…行くぞ。用意…スタート！…ぬわー！」
マーティ「ねぇドックー、なんだか心配になってきたよ」
ドク「大丈夫、君は親父さんとおふくろさんのことだけ考えていればいい。それで、親父さんはパーティに誘ったのか？」
マーティ「多分ね」
ドク「で、返事は？…おい、おふくろさんだ！タイムマシンを隠せ！早くするんだ！」
ロレイン「あらカル…いえ、マーティ」
マーティ「かあさ…ロレイン。驚いたな。どうしてココにいるって分かったの？」
ロレイン「あとを付けたの」
マーティ「ああ、この人は、ドック。僕のおじさんだよ。ドクター・ブラウン…」
ロレイン「こんにちは」
ドク「やあ」
ロレイン「ねえマーティ、こんなこというと、あつかましい女だと思うかしら。もしできたらでいいんだけど、私を誘ってくれない？今度の土曜日の、深海パーティに…」
マーティ「でも君、誰かに誘われてるだろ？」
ロレイン「いいえ、まだ誰にも？」
マーティ「でも、ジョージは？」
ロレイン「ジョージ・マクフライ？そりゃあ、あの人、とっても優しそうよ。でも、それだけじゃ…。だって、男はやっぱり強くなくちゃ。愛する人を守るために、立ち上がって戦うような…」
マーティ「ぅ…」
ロレイン「そうじゃない？」
マーティ「…まあね」
ジョージ「でも、どうも君の言うことがよく分からないな。どうして僕がパーティに行かなきゃならないんだい？ロレインは君と行くって言ったんだろ？」
マーティ「いいかいジョージ、彼女は君と一緒に行きたいんだ。ただそれに気付いてないだけさ。ガッツのあるとこ見せてやれよ、ジョージ・マクフライは男だってところをね。か弱い女性を守るために戦ってこそ男だろ？」
ジョージ「でも僕はケンカなんか一度もしたことないから…」
マーティ「これはケンカとは違うよ父さ…と、と、と、東辺北。人を助けるためじゃないか、そうだろ？よし、もう一度復習だ。8時55分、君はどこにいる？」
ジョージ「パーティの会場」
マーティ「そう、で、僕は？」
ジョージ「クルマの中。彼女と二人」
マーティ「うん、そして9時頃、彼女は僕に対して怒り出す」
ジョージ「どうして君に対して怒るんだ？」
マーティ「だからそりゃぁ、まともな女の子なら怒るんだよ…いやらしいことをされたら…」
ジョージ「おい待てよ、じゃあ君はあの人の体に…」
マーティ「いや、違うよジョージ、いいかい、コレは芝居なんだ。分かるだろ？よし、それじゃあ君は9時になったら駐車場に出てきて、クルマの中で、そのー、揉み合っている僕らを見付ける。そして歩み寄り、クルマのドアを開けて言うんだ。…ほら、君のセリフ！」
ジョージ「ああ、そうか。『おい貴様、その薄汚い手をどけろ！』…ちょっと言葉が乱暴過ぎないか？」
マーティ「いいんだよ、そのくらい言わなきゃ迫力ないだろ？そう言ったら君は、突進してきて、腹に一発食わせる、僕はそれであっさりノックアウト。そして君とロレインは幸せになるって筋書きだ」
ジョージ「待てー君はそう簡単そうに言うけどねぇ、僕は考えただけで怖くて怖くて…」
マーティ「何も怖がることなんかないさ、もっと自信持てよ。あ、そうだ、いい言葉を教えよう。『何事も成せば成る』」
ラジオ「ヒル・バレー地方の今夜の天気は、一部に雲が出ていますが、概ね晴れるでしょう。気温は…」
ドク「本当に嵐が来るのか？」
マーティ「天気予報なんて当たるワケないんだから。30年経ってもね」
ドク「もう行ってしまうのか、寂しくなるな。君に会えたおかげで生きる目標ができた。少なくとも、私は1985年まで生きて、タイムマシンの発明に成功し、コイツで自由にタイムトラベルができる。この1週間のことを君と話し合えるのは30年後か。待ち遠しいな。本当に寂しくなるよ」
マーティ「僕だって同じさ。…ドック、30年後だけど…」
ドク「よせ！何にも言うな！未来のことを知らされるのはむしろ危険だとあれほど言ったじゃないか！親切からしたことでも、かえって仇になりかねない。どんな重大なことにしろ、その時が来れば自然に分かる」
マーティ「ブラウン博士…。僕が未来に帰った夜、あなたはテロリストに撃ち殺される。そうならないように、なんとか身を守る方法を考えてください。あなたの友、マーティより。1985年まで、開けないでください」
警官「やぁこんばんは、博士。何です、その電線？」
ドク「なぁに、ただの気象実験さ」
警官「ほう。こっちは何ですか？」
ドク「触っちゃいかん！新しい気象観測装置なんだ」
警官「使用許可を取ってありますか？」
ドク「あぁ、あるとも…。あんた少しカタいこと言い過ぎなんだ」
※ 魅惑の深海パーティ
マーティ「よかったら、このまま、ここで少し、話そうか」
ロレイン「いいわ、私もそうしたかったの」
マーティ「え？」
ロレイン「いやだわマーティ、私も18歳よ、少しは経験だってあるわ」
マーティ「ふぇぇ本当？」
ロレイン「なんだか落ち着かないみたいだけどどうしたの？」
マーティ「別に、そ、そんなことないよ…。な、ちょっと何飲んでるの？」
ロレイン「お酒。ウチからこっそり持ってきちゃったの」
マーティ「でもさぁ、こんなことダメだよ」
ロレイン「どうして？」
マーティ「だって未成年だろ？」
ロレイン「あなたって随分おカタいのね。パーティの時は誰だってお酒くらい飲むわ」
マーティ「タバコも吸うのかい？」
ロレイン「マーティ、あなたって家のママそっくり」
マーヴィン「この辺で、ちょっと休憩を。でもすぐに戻ってきますから、皆どこにも逃げないで」
ジョージ「あ、時間だ」
ロレイン「マーティ…」
マーティ「うわっ」
ロレイン「何そわそわしてるの？」
マーティ「ロレイン…。ねえ、こんなことない？あることをしなきゃならないときに、急に怖気づいちゃったりして…」
ロレイン「例えば初めてのデートの時とかに？」
マーティ「まぁ、ね」
ロレイン「その気持ちとってもよく分かるわ…。どうしたらいいか教えてあげる。こうするのよ…！」
マーティ「んむ、むむ～…！」
ロレイン「…なんだか変だわ？自分でもよく分からないけど、あなたとキスしたけど、弟にしてるみたいに、何も感じないの。私っておかしいんじゃないかしら」
マーティ「いや、おかしくない。それでいいんだよ」
ロレイン「誰か来るわ」
ビフ「この前はやってくれたな。てめえのせいで300ドルのクルマがお釈迦だぜ。たっぷり礼をしてやる」
ロレイン「止めてビフ、乱暴するの」
ビフ「へぇー？珍しいところで会うな…。おい待ちなよ、仲良くしようぜ」
マーティ「おい止めろよブタ野郎！」
ビフ「痛めつけろ！…バカぁ、覗いてんじゃねえ」
ビフ一味「あのクルマのトランクに入れちまえ！」
バンドメンバ「人のクルマに何するんだ」
ビフ一味「うるせえよこのド間抜け！黙ってすっこんでろ！」
マーヴィン「ド間抜けとは誰のことだ、このトンチキ」
ビフ一味「なあ、ちょっと待ちなよ、マリファナ吸ってたなんて言わねえからさぁ…。ビフー助けてー！」
マーヴィン「このガキども、とっとと失せろ！」
マーティ「おいー開けてくれー！誰かーココから出してくれ！」
マーヴィン「おい、鍵貸せ」
マーティ「鍵はトランクの中だよ」
マーヴィン「何だって？」
マーティ「鍵はこの中にあるって言ったんだ」
ジョージ「おい貴様、その汚い手をどけろ！」
ビフ「ぁん？」
ジョージ「ビフ…」
ビフ「おいクルマを間違えたか、ジョージ？」
ロレイン「ジョージ、助けて、お願いよ」
ビフ「おい、回れ右して、とっとと消えな。…おい聞こえないのかジョージ、ドアを閉めて消えるんだ！」
ジョージ「…おい止めろビフ！ロレインに手を出すな！」
ビフ「よぉし分かった、俺に逆らうのか、吠え面かくなよ…」
ジョージ「うっ！」
ロレイン「ビフやめて！ねぇ腕が折れちゃうわ！離してあげて！」
マーヴィン「手伝えよ…あぁっ痛てっ！チクショー、手を切った」
マーティ「ありがとう、これキー。どうもありがとう」
ロレイン「本当に手が折れちゃうわ！ビフ！止めてったら！」
ビフ「うるせえんだよ！」
ロレイン「キャッ！」
ビフ「ふっはっはっはっは…」
ジョージ「…！！」
ビフ「うっ！」
ジョージ「は、ははは…。…大丈夫かい、ロレイン…」
人々「うわービフがのびてるよ」
カップルの女「ねぇあの人誰？」
カップルの男「ジョージ・マクフライだよ…」
カップルの女「いつもからかわれてるあのジョージ？」
マーティ「ぁぁ、ちょっと失礼」
ドク「…嵐が来た…」
マーティ「ねぇみんな、戻ってパーティを続けてよ」
バンドメンバ「見なよ、この傷じゃあ演奏なんかできっこない、コイツがいなきゃダメだ」
マーティ「ねぇ頼むよ、演奏を続けて。二人はダンスをしながら初めてのキスをするんだ。音楽がなきゃ踊れないだろ？踊れないとキスもできないし、僕はこの世に生まれて来れないんだよ」
マーヴィン「悪いがパーティは終わりだ。誰か他にギターの弾けるヤツがいれば別だがな」
※ 歌 : Earth Angel
マーヴィン「会場のお熱いカップル達に送ります」
ロレイン「ジョージ、キスしてくれないの？」
ジョージ「でも、いいのかい？」
変な男「おい、代わってくれよ、踊ろうぜ」
ロレイン「ジョージ！」
マーティ「うっ、うっ…」
バンドメンバ「どうした？」
マーティ「指が動かない…！」
ロレイン「ジョージ！」
マーティ「う…ジョージ…」
ジョージ「そこをどいてくれ！」
変な男「うわっ！」
マーヴィン「…いやぁ良いねぇ、素晴らしいサウンドだ。もう一曲頼むよ」
マーティ「いやぁ僕もう行かなきゃ…」
マーヴィン「そんなこと言わないで、もっとホットなヤツをもう一曲！」
マーティ「そうか、ホットなヤツ…。いいね…！じゃあ、なるべく古臭そうなの…といっても、これは、僕が前にいたところの話で…。それじゃあリズムはブルースで、B から入って途中で変調するけど適当に合わせて、付いてきて」
※ 歌 : Johnny B. Goode
カップルの男「おいジョージ、ビフをやっつけたらしいね、見直したよ」
カップルの女「ねぇ今度生徒会長に立候補したら？」
マーヴィン「もしもしチャック？いとこのマーヴィン・ベリーだ。お前さん、新しいサウンドを探してるって言ったろ？ちょっとコレを聞いてみな！」
マーティ「…。みんなにはちょっと早過ぎたかな…。次の世代に流行るよ。…あ、ロレイン」
ロレイン「さっきの随分変わった音楽ね」
マーティ「あぁ、まあね」
ロレイン「ねぇ、あなたには悪いんだけど、帰りはジョージが送ってくれるっていうの」
マーティ「そう！よかった！よかったねぇロレイン！君たちきっとうまくいくよ」
ロレイン「私もそう思うの」
マーティ「僕もう行っちゃうけど、一言言いたかったんだ。君たちのおかげで、凄く勉強になったよ」
ロレイン「マーティ、いつかまた会える？」
マーティ「請け合うよ」
ジョージ「じゃあマーティ、色々とタメになる忠告をありがとう。一生忘れないよ」
マーティ「じゃあ元気で…。二人とも、お幸せに…。あぁそうだ、もうひとつ、君たちに子供が生まれてさ、その一人が8歳になって、ちょっとした誤ちから居間のじゅうたんを燃やしちゃうようなことがあっても、あんまりしからないで」
ジョージ「分かったよ」
ロレイン「…マーティか。とっても良い名前ね」
ドク「何してるんだ一体！遅い！遅い遅い！…何してた！もうあんまり時間がないぞ」
マーティ「怒らないでよ、着替えてたんだ。あんなダサい服で未来には帰れないもん。ねぇ、親父の変わりよう見せたかったよ、ビフのヤツを一発でノックアウトさ！別人みたいだったよ！」
ドク「別人…？」
マーティ「それがどうかしたの？」
ドク「…いやいいんだ。それより目標時間を確かめよう。コレが君の出発した時間だ。コレとピッタリ同じ時間に君を送り返す。そうすれば全て元通りだ。いいか、この先に白い線が引いてある、ずっと向こうにだ。そこからスタートしろ。電流接続までの距離は、加速のスピードを計算に入れて割り出した。雷が落ちるまでの風の抵抗も勿論計算に入っている。落雷まで、正確には、あと7分22秒だ。このアラームを合図にクルマをスタートさせろ」
マーティ「分かった！」
ドク「よし、言っとくのはそれだけだ」
マーティ「…ありがとう」
ドク「コチラこそ…。30年後にまた会おう」
マーティ「待ってるよ」
ドク「心配は要らん。落雷の瞬間に、140キロであの電線の下を突破すれば、時計台と完全に繋がるんだ。大丈夫、うまく行くよ」
マーティ「あぁ、そうだね！」
ドク「この手紙は何だ？」
マーティ「30年後に開ければ分かるよ」
ドク「未来のことが書いてあるんだな！知ってはいけない未来の出来事が！何回言ったら分かるんだ！歴史が変わってしまうような恐ろしい展開になるかもしれない！」
マーティ「その危険を冒すだけの価値はあるさ！ドック、あんたの命に関わることなんだよ！」
ドク「止めろー！私はそんな大それた責任は負いたくない！」
マーティ「だったら今、ココでハッキリ言ってやるからね！」
ドク「ケーブルが外れた！君はケーブルを頼む！私が上に登ってロープを投げるから」
マーティ「分かったよ！」
ドク「わあ！」
マーティ「投げて！」
ドク「引くぞー早くしろー！」
マーティ「引き上げて！早く！ねえドック！」
ドク「何ー？」
マーティ「未来で起こることをどうしても言っておきたいんだ！」
ドク「えぇー？」
マーティ「何が起こるか知ってれば、どうにかできるだろ？僕が戻った夜、あんたはテロリストに…」
ドク「うわぁー！」
マーティ「ドック！」
ドク「行くんだ！」
マーティ「いやだよ…」
ドク「時間がない！あと4分しかないんだ！行くんだ早く！元気でなー！」
マーティ「チクショウ、ドックったら、せっかく書いた手紙を破っちゃって…。もう少し時間があれば…。待てよ、タイムマシンで10分早く戻れば良いんだ。そうすればドックに知らせられる…！よし、10分早くしよう。目標時間セット、次元転移装置、作動よし。エンジン順調、行くぞ…！…よせよ、こんな時に、エンジンがかからない！かかってくれ早く…！」
マーティ「頼む、かかってくれ…間に合わなくなる…！…かかった！」
ドク「くっそー…えいっ…あー！…ひー！」
マーティ「ドック…！うぅっ…！」
ドク「うわぁっ！……やったぞー！大成功だー！」
フレッド「…暴走族のバーカ」
マーティ「わぉ！やった！ああフレッドだ。懐かしな、何も変わってない。時間は？1時24分、まだ間に合うぞ。ドックに知らせなきゃ…。何だよ、またエンジンが…頼むぜおい、おい…！ねえちょっと！ヤツらだ…」
ドク「逃げろー！ … うわぁー！」
もう1人のマーティ「やめろー！人殺し！」
過激派「行けー！出せー！あいつもだ！…わぁー！」
マーティ「ドック！ドック…！いやだ、死んじゃやだぁ…。…ドック？生きてるの？防弾チョッキ…どうして知ってたの？知らせる暇もなかったのに…。手紙読んだの？ずるいよこんなの、歴史に悪い影響を及ぼすとか、散々文句言っといて…」
ドク「まぁこの際だ。カタいこと言うな」
マーティ「未来のどの辺りに行くの？」
ドク「30年後。キリがいいだろう」
マーティ「僕にも会って。そのときは47歳になってる」
ドク「分かった」
マーティ「じゃあ元気で」
ドク「君も」
マーティ「アインシュタインもね…。あ、再突入の時、『衝撃』が要る」
ドク「了解」
※ 歌 : Back In Time
マーティ「うわっ…ひどい夢だったな」
リンダ「ポールから電話があったら、今日は遅くまでブティックにいるって言っといて」
デイブ「僕はお前の電話番じゃないぞ。さっきもクレッグとか、グレイブとかいうヤツから電話があったし」
リンダ「どっちだった？クレッグ？グレイブ？」
デイブ「知らないよ、いちいち覚えてられないからね」
マーティ「ねえ…どうなってんの？」
リンダ「朝食じゃない」
デイブ「お前また服のまま寝たのか？」
マーティ「ああ…そうなんだ。兄貴、何でそんなの着てるの？」
デイブ「どうして？会社に行く時にはいっつもスーツだよ。大丈夫か？」
ロレイン「今夜雪辱戦をやりましょうね」
ジョージ「それで、イカサマでもやろうっていうのかい」
ロレイン「まさか、ただいま」
マーティ「父さん、母さん」
ジョージとロレイン「マーティ？」
マーティ「二人とも、スゴく元気そうだね。母さん、スマートになったよ」
ロレイン「そう？ありがと。キャッ…もうあなたったら。お寝坊さんね。おはようデイブ、おはようみんな」
リンダ「ああマーティ、そういえばジェニファーから電話があったわよ」
ロレイン「あの子とっても良いお嬢さんね、明るくて気立てが良くって。そういえば今夜ねぇ、大事なデート」
マーティ「え？何のこと？」
ロレイン「二人で湖に行くんじゃなかったの？2週間も前から計画して…」
マーティ「でも、そのつもりだったけど、諦めるしかないよ、車がぺしゃんこだから」
一同「ぺしゃんこ？何だって？」
ジョージ「まあまて、車はあるよ。ほら、ビフがワックスをかけてる。ビフー、ワックスは必ず二度がけしてくれよ」
ビフ「これニ度目ですよ」
ジョージ「おいおい、嘘つくなよぉ」
ビフ「すいません旦那様、これからニ度目です」
ジョージ「黙ってるとすぐ手を抜くんだから困ったもんだ。あいつは高校の時からそうだった。それでも、ビフがいなかったら…」
ロレイン「私たちは恋に落ちなかったわ」
ビフ「旦那様、今コレが届きましたよ、やぁマーティぼっちゃん。新しい本だと思いますよ」
ロレイン「ああー、来たの？あなたが最初に出した本だものね」
ジョージ「なあマーティ、父さんがいつも言ってるだろ？『何事も成せば成る』だよ」
ビフ「ぼっちゃん、キーです。今日のために磨き上げておきました」
マーティ「キー？…やった…！」
ジェニファー「ねぇ乗せてくれない？」
マーティ「ジェニファー…君の目はなんて素敵なんだ…夢じゃないんだねこれは…顔を見せて」
ジェニファー「1週間も会わなかったような言い方ね」
マーティ「そうだよ」
ジェニファー「変なの。大丈夫？マーティ」
マーティ「…ああ、何もかも最高だよ」
ドク「マーティ、私と一緒に来てくれ」
マーティ「どこへ？」
ドク「未来に帰るんだ」
マーティ「ねぇドック、そのゴミどうするの？」
ドク「燃料だよ。さあ、早く乗った乗った」
マーティ「だって僕、僕は戻ってきたばっかりで、今日はジェニファーとゴキゲンなクルマを転がすんだ」
ドク「一緒に来ればいい。その子にも関係がある」
マーティ「待ってよドック？僕らの将来に何かマズいことでも起きたの？僕達、イカれたヒッピー中年にでもなってた？」
ドク「いやいや、君らじゃない、君とジェニファーはうまくやってる。君らの子供だ、何とかしないと手遅れになる」
マーティ「ドック、140キロに加速するにはもっとバックしないと道が足りないよ？」
ドク「道だ？未来にそんなモノなど、必要ない」
※ パート2へ続く