Back To The Future 2
Scripts And Trivia

マーティ「…やった…!」
ジェニファー「ドライブに行かない?」
マーティ「ジェニファー…あぁ夢じゃないんだねこれは…顔をよく見せて」
ジェニファー「やだぁ、1週間も経ってないのに」
マーティ「そうだった」
ジェニファー「どうかしちゃったの?大丈夫?マーティ」
マーティ「…ああ、何もかもゴキゲン」
ドク「マーティ、一緒に来てくれ」
マーティ「どこへ?」
ドク「未来へ戻る」
マーティ「ちょっと何やってんのドック?」
ドク「燃料が要る。さあ急げ。乗った乗った」
マーティ「やだよ帰ってきたばかりなのに、ジェニファーと新しいクルマでドライブに行くんだから」
ドク「なら一緒に来ればいい。彼女にも関係がある」
マーティ「待ってよドック、どういうことさ?僕ら、どうなっちゃうの将来?酒のクズにでもなってた?」
ドク「いやいやいや、君とジェニファーは問題はない、君らの子供だ、なんとかせにゃならんのは」
マーティ「もっとバックしないと140キロ出すには道が足りないよ?」
ドク「道か?このクルマに道なんか必要ない、見てろ」
ビフ「ぼっちゃん、マーティぼっちゃん。これちょっと見てくださいよ、家の部品屋のネーム入りマッチを…空飛ぶデロリアン?…一体どうなってんだ?」
マーティ「うわーっ!何だいあれは?」
ドク「タクシーだよ」
マーティ「ウソだろ、飛んでるみたいに見えたよ」
ドク「そのとおり」
マーティ「ねぇどうなってんのさ?ここどこだよ?時代はいつ?」
ドク「カリフォルニアのヒル・バレーに向かっている。午後4時21分、10月21日水曜、2015年だ」
マーティ「2015年!?じゃあ未来にいるのか?」
ジェニファー「何言ってるのマーティ、未来になんか行けるわけないでしょ?」
マーティ「あー、それがねぇ、あぁ、どう話したらいいんだろう…タイムマシンなんだよ」
ジェニファー「2015年まで飛んできちゃったの私達?」
ドク「2015年10月21日だ」
ジェニファー「嘘でも冗談でもなさそう!じゃあ自分の未来が見られるわけ?私達結婚するって言ったわね?それで?豪華な結婚式?私達の結婚式が見られるのね?自分のウエディングドレス見てみたい!どんな家に住むのかしら?大きな家で子供がいっぱいいて、子供は何人くらい…」
マーティ「ドック何するんだよ!」
ドク「心配するな。アルファリズムでちょいと眠らせただけだ。自分の未来のことをあれこれ知り過ぎるのは良くない。目が覚めたら全部夢だったと思うはずだ」
マーティ「じゃあ何で連れて来たのさ?」
ドク「仕方がなかったんだよ。タイムマシンを見られたからには、このまま放っておけんだろう。だがな、作戦には巻き込まん」
マーティ「それならならいいけど…」
ドク「おっと出口だ。…降りてまず服を着替えるんだ」
マーティ「だってこんな土砂降りの中で?」
ドク「うわっ!あと5秒でやむ…。いやー、きっかり時間どおりだ。いやぁさすが見上げたもんだ。気象庁のサービスはどこよりも正確だ…。実は君が分からんといかんから変装して来たんだ。実際は、若返りクリニックでオーバホールしてな、シワを取って髪を修復し、血も入れ替えて、3・40年は若返っとる。表情も明るいムードだ。どうかね?」
マーティ「…なかなかいいよ。…未来か…信じらんないな…ちょっと確かめてくるよ」
ドク「時間がないんだよ、急がなきゃならん」
マーティ「僕の未来のこと教えてよ。成功してるとは思うけど、ロックスターかなんかになってさ…」
ドク「自分の運命についてあんまり知りたがっちゃいかんのだよ」
マーティ「分かってるけどさぁ…でも金持ちなんだろ?」
ドク「そんなことはいいからシャツを脱いで。上着と靴が入ってる。では作戦開始!…よし、きっかり時間どおり」
マーティ「オートマチックか、こいつはいいや。…服がデカすぎるよ」
洋服「サイズ調整・完了」
ドク「ズボンのポケットを出して。そのまま垂らすのが若いもんの流行りなんだ。こいつを被って…完璧だ、君の息子と瓜二つだ」
マーティ「え?」
ドク「ジェニファーをこっちへ運ぼう」
マーティ「で、作戦は?」
ドク「足を持ってくれ」
マーティ「あぁ、よし、これから、どうすんの?」
ドク「きっかり、2分後に、'80s というコーヒーショップへ行くんだ」
マーティ「'80s ね」
ドク「80年代を再現した店だが、ロクなもんじゃない、コーラを注文しろ、さぁ50ドル。そこで、グリフって奴を待て」
マーティ「分かった、グリフね」
ドク「そいつが今夜のことを聞く、やるのかやらんかと。君はやらんと言え、何を言われても答えは No だぞ、取り合っちゃいかん」
マーティ「分かった」
ドク「すぐそこを出て、ここに戻って待ってろ。いいか、誰とも話すんじゃないよ、余計なことは一切するな、人と関わりあっちゃいかん、なるべく何にも見ないようにしろ」
マーティ「でも、分かんないなぁ、僕の子供に関係あるって言ったじゃない?」
ドク「息子がどうなるかこの新聞を見ろ!」
マーティ「僕の息子?うわぁホント、似てる~。『逮捕されて2時間後、マーティ・マクフライ・ジュニアは裁判で有罪となり、15年の実刑判決を宣告された』…たった2時間で?」
ドク「未来の国では弁護士が廃止されてスピード裁判なの」
マーティ「けど15年は厳しいな…」
ドク「それだけじゃない、次の週、娘が脱獄させようとして懲役20年だ」
マーティ「え、娘?僕には娘もいるの?」
ドク「いいか?このたったひとつの事件が元で君の家族全財がめちゃめちゃになってしまうんだ」
マーティ「あぁ…あ、ねぇ、この日付、これ明日の新聞じゃない」
ドク「そうとも、私はもっと先の未来へ行って結末を見た。そこから逆に辿ってこの事件を突き止めた、何としてもこいつを阻止しなきゃ…。いかん、時間だよ」
マーティ「あぁ待ってよ、そっちはどこ行くの?」
ドク「私はマーティ Jr を止めるから、君は代わりに '80s に行くんだ。グリフに No と言えばそれでいい」
マーティ「だけどジェニファーは?このまま置いておけないよ」
ドク「心配するな、4・5分程度で戻るんだから。ああマーティ、グリフには気を付けろ、頭に移植した回路が時々ショートするんだ」
マーティ「未来の町か」
機械「テキサコスタンドへようこそ。星のマークのテキサコが、あなたのクルマを守ります、オイル点検、着陸ギア点検…」
マーティ「うわぁ~!…トリックも進んだね」
  - 細部 : Jaws 19
ゴールディ・ウィルソン3世「みなさんこんにちは、ウィルソン自動車改造チェーンのゴールディ・ウィルソン3世です。かつて私の祖父がここヒル・バレーで市長だった頃、交通渋滞に頭を悩ませていました。でも今はもう、渋滞で悩む必要はありません。どんな旧式のクルマでも、たちまち空のハイウェイを行く飛行車に大変身!費用もたったの3万9,999ドル95セント。ゴールディ・ウイルソン3世に任せてちょうだい。改造工場は…」
※ スポーツ年鑑
市民「スミマセン、オーダー」
AI レーガン「やぁ、80's にようこそ。アメリカの朝はここに始まる。たとえ昼でも夜でも、ハッハッハハッハッハ…。今日のスペシャルメニューはテリヤキ…」
AI ホメイニ「諸君、いかなる場合も人質ランチ…」
AI レーガン「うるさい、ゴルバチョフの機嫌でも取ってろ」
マーティ「ねぇちょっと待ってよ、ストップストップストップ!僕コーラが欲しい」
店の機械「ありがとうございました、またどうぞ」
ビフ「おいマクフライ…あぁ、その顔には覚えがある。マーティ・マクフライのせがれだろ?」
マーティ「…ビフか?」
ビフ「マーティ Jr だな?不運な奴め、能天気野郎の名前をそっくり受け継いでいる」
マーティ「どういう意味だよそれ?」
ビフ「とんとん。もしもしお留守ですか?こん中空っぽだろうが?お前の親父はミスター負け犬だ」
マーティ「なんだって?」
ビフ「掛け値無し。負け犬の中の負け犬ってことさ」
マーティ「僕はよく知ってるよ、ジョージ・マクフライは負け犬なんかじゃ…」
ビフ「違う、ジョージじゃない、そのせがれのことを言っとるんだ。お前の父親の、ボンクラ・マーティ・マクフライさ。奴は自分の一生をドブに捨てるように、無駄に費やしたじゃないか」
マーティ「僕が?…いや、その、じゃなくて、僕の親父が…」
グリフ「おい爺ちゃん、俺の車のワックスがけ2度やれって言ったろうが!」
ビフ「あぁ分かってる、先週2度目をかけたばかりだ」
グリフ「かけた?目をつぶったか?」
マーティ「おたくら親戚?」
ビフ「何?とんとん。お留守ですか?グリフが今爺ちゃんって呼んだろうが?」
マーティ「あれがグリフ?」
グリフ「爺ちゃんよ!何のために金払ってんだよ?」
ビフ「ほんじゃま、お前んとこのばあさんによろしくな」
グリフ「グズグズしてんじゃねえ!」
ビフ「おいグリフ乱暴するな!」
グリフ「おいマクフライ、どこにも行くんじゃねえぞ!次はお前だ!」
子供1「これ昔のビデオゲームだぜ」
子供2「へえ~ちゃんと動くじゃん」
  - 細部 : イライジャ・ウッド
子供1「僕んちのパパが昔やったって言ってた」
マーティ「あぁ~ワイルド・ガンだ」
子供2「どうやるんだこれ?」
マーティ「やって見せようか。お兄ちゃんプロなんだから」
子供2「なぁんだ手使って撃つの?」
子供1「赤ん坊のおもちゃみたい」
マーティ「赤ん坊のおもちゃ?」
マーティ Jr「コーラちょうだい。コーラ」
マーティ「やばい!」
グリフ「おいマクフライ!そこで待ってろって言っといたな」
マーティ Jr「やぁグリフ、みんな一緒かぁ、どうかしたの」
グリフ「おいマクフライ」
マーティ Jr「え?」
グリフ「マクフライ…」
マーティ Jr「なぁに?」
グリフ「靴の紐が溶けてるぞ」
マーティ Jr「がはぁ、やられちゃったぁ」
グリフ「ところでお前、チャンスをやるって言った今夜のこと、もう決心ついたのか?」
マーティ Jr「あぁグリフ、それねぇ考えたんだけど、どうしようかと思って、危険そうだしさぁ」
グリフ「えぇ!?」
スパイク「あんたどうしたってぇの…?『タマ』ついてないのかよ!」
マーティ Jr「オー!!!!!」
マーティ「まるで腑抜けじゃないか」
グリフ「この野郎…ハッキリしろよハッキリ!やるのか、やらねぇのか!」
マーティ Jr「僕分からないよ、一人じゃ決められないもん、こういうことは父さんに相談しないと…」
一同「父さんだと?」
グリフ「寝ボケんじゃねーこのガキが!ふざけやがって!」
マーティ Jr「分かったよグリフ、やるよ、何でも言うとおりにするから…」
マーティ「シーッ、黙って、じっとしてろ!」
グリフ「テメーら何見てんだよ!」
マーティ Jr「うっ」
グリフ「…!さあ、ちゃんと返事を聞こうじゃねえか…おもしれぇ!いつからそんなタフガイになった?マクフライ」
マーティ「返事は No だ、グリフ」
グリフ「No だと?」
マーティ「ああ、バカじゃあるまいし、一度聞きゃあ分かるだろ?」
グリフ「やっぱりそうか、腰抜けか!」
マーティ「今俺のことなんて言った?」
グリフ「腰抜けって言ったんだ」
マーティ「誰にも、腰抜けなんて…言わせない」
グリフ「うりゃー!…てめぇやる気か!」
マーティ「あ、あれ見て!うっ!…うりゃっ」
一同「うっ、くそ!」
マーティ「よぉしあれだ、ねえねえ待ってよ君達、悪いけどさ、コレ借りるよ」
女の子「何するの?」
マーティ「ホバーボード?」
一味「どこ行きやがった!」
マーティ「じゃあ借りるよ」
一味「いたぞ!ホバーボードに乗ってやがる!追っかけろ!」
マーティ「うわっ」
一味「よぉしいくぞ、それっ!あっちだ!捕まえろ!」
ビフ「昔見たような光景だな…」
グリフ「この野郎!」
マーティ「わー!」
一味「バーカ間抜けのマクフライ!そいつは水の上じゃ走らねえんだい!モーターでも取り付けなきゃな!」
グリフ「よし…掴まれ!突撃だ!」
マーティ「わー!」
グリフ「この!うわっ!」
グリフ一同「うわー!」
マーティ「どうなってんだ?」
ビフ「アホどもが…」
洋服「乾燥モード ON…乾燥機作動中…。上着は完全に乾きました」
マーティ「あぁ、ごめんねおチビちゃん、ありがとう」
女の子1「あげる。私こんな良いの拾っちゃったから」
女の子2「行こう」
テリー「時計台を守ろう。あぁ君、100ドル寄付しないか?時計台を守るために」
マーティ「あぁ、僕止めとくよ」
テリー「あれはね、歴史的な建物なんだよ」
マーティ「悪いけどまたにして」
テリー「60年前、雷が落ちてから時計は止まったままだ」
マーティ「スポーツニュースか。カブスがワールドシリーズ優勝だって?マイアミを倒して?」
テリー「あぁこんな番狂わせがあるとはな、100分の1の確率だよ。もし開幕まで時間を戻せるモンなら、カブスにドーンと賭けたんだが」
マーティ「そう、戻せたらね…おじさん今何って言った?」
テリー「開幕まで時間が戻せたら良いなってこと。カブスに賭けて儲けられる」
店員「コレ、カバー付きの珍しい本なんですよ。昔はこういうカバーを付けてたの。ホコリの付かない紙が発明される前にはね。ホコリと言えばもっと面白いモノがあるわ、1980年代の家具で、掃除機っていうの」
マーティ「この年鑑があれば負け知らずだ」
ドク「マーティ、おい、ココだよ」
マーティ「あードク、どこにいたの?」
ドク「待ってろ、今そっちに降りる」
マーティ「いいタイミングだね」
ビフ「空飛ぶデロリアンか。あの時見て以来だ。30年前…」
マーティ Jr「すいません」
ビフ「ったく気をつけろ!」
マーティ Jr「わ、人が歩いてんのに何だよ!」
ビフ「どうなってんだ?双子か?」
ドク「眠らせて犬屋に預けたんだが、アインシュタインは何も覚えていないんだよ。何だいありゃ?空からクルマでも降ってきたか?」
マーティ「それがさぁ聞いてよ、息子と鉢合わせしちゃってさぁ、もう焦ったの何の」
ドク「やっぱり!あの催眠誘発器は危ないと思ったんだ。ジェニファーにも使ったんだが、1時間眠らせるにはパワーが足りなかった。くそー!」
マーティ「ねぇドック、新聞見て、変わっていく」
※ マーティ Jr 逮捕 → 暴走族逮捕
グリフ「チキショー、俺はハメられたぁ!」
ドク「よしよし、これでいい。このホバーボードによる暴走事件が起きて、グリフは留置場の中だ。君の息子が関わった今夜の窃盗事件はもう起こらん。つまり、歴史は、未来の歴史は塗り替えられた。これがその証拠だ。計画どおりではないが作戦成功。ジェニファーを連れて、引き上げよう」
マーティ「さあ帰るぞ」
ドク「何だこれは?スポーツ年鑑50年史?楽しみに読むようなモンじゃないぞコレ」
マーティ「別に良いじゃん未来の情報を少しくらい持って帰ったって、賭けをやったら、儲かるしさ」
ドク「マーティ!私は金儲けのためにタイムマシンを作ったんじゃない!人類の認識をより明確にするのが目的だ。どこから来て、どこへ行くのか、挫折と可能性、災いと希望、宇宙に関わる永遠の謎、それだ」
マーティ「僕だってその考えに大賛成だよ、ついでにちょこーっと儲けるだけさ」
ドク「こんなものは捨てた方が良い、ゴミ箱にブチ込んでやる…。いかん、パトカーだ」
警官1「名前はジェニファー・J・マクフライ。ヒルデール、オークファースト通り93。年齢47歳」
警官2「47歳にしちゃ随分可愛らしいわね」
マーティ「アイツら何やってるの?」
ドク「指紋で身元を確認したのさ、年を取っても指紋は変わらんから未来のジェニファーと思ってるんだよ」
マーティ「何とか止めなくちゃ」
ドク「過去から来たって言うのかい?こっちが捕まっちまうだけだ」
警官1「家に送り届けるしかないわね」
警官2「家へ?ヒルデールよ?帰ってくるのは夜になっちゃうわよ」
警官1「しょうがないでしょ、それが仕事なんだから」
ドク「よぉし、家に連れて行く気だ。君の未来の家へ。こっちはその直後に行って彼女を連れ出し、85年に戻る」
マーティ「じゃあ僕は未来の家に行って年取った自分に会うワケ?」
ドク「いやいやそれはマズい…ふぉぉ!えらいこっちゃ、ジェニファーはきっと未来の自分と顔を合わせるぞ。もしそうなったら、ドエラいことになる」
マーティ「それ、どういうこと?」
ドク「2つの場合が考えられる。30年後の自分に出会ってショックのあまりその場で気絶するか、さもなければ、その対面が時の矛盾を生じ、その連鎖反応によってつるいだ糸のように時空の連続が解けて、全宇宙が爆発されるかだ」
マーティ「え!?」
ドク「まぁそれは最悪のケースで、破壊は極一部、この銀河系だけで済むかもしれん」
マーティ「それ聞いてほっとしたよ…」
ドク「急ごう、ジェニファーが自分に会う前に捕まえるんだ。空の高速は渋滞か。時間がかかるぞぉ。年鑑はココに捨ててくぞ!タイムマシンは金儲けの道具じゃない、宇宙の永遠のテーマのために作ったんだ」
マーティ「ハイハイ分かったよ」
ビフ「聞いたぞ…。ドクはタイムマシンを発明したんだ」
警官2「ヒルデールか。この辺は薬が流行ってて悪質な犯罪が耐えないわね」
警官1「町ごと壊しちまえばいいのよ」
プログラム「お帰りなさいジェニファー」
警官2「大丈夫?薬のやり過ぎね。でも歩けるでしょ?」
警官1「奥さん、ドアを開けたら電気が付くようプログラムを直した方が良いですよ」
ジェニファー「んん~プログラム?」
警官2「ココに座って。しばらく静かにしていれば良くなるでしょうが、先が思いやられますね」
ジェニファー「先が?」
警官1「お大事に、マクフライ夫人」
スクリーン「24時間、いつもあなたのご家庭に美しい眺めを。こちらは景色のチャンネルです」
ジェニファー「未来に来たんだわ…。はぁ?これが私達の結婚式の写真!?」
マーリーン「ママー?ママなの?」
ジェニファー「逃げ出さなくちゃ…」
マーリーン「ママー?ママ、帰ってるの?」
ロレイン「あらマーリーン」
マーリーン「おばあちゃま、ハーァイ、おじいちゃんどうしたの?」
ロレイン「知らないわよすぐ腰痛めるんだから」
ジョージ「わしの可愛い孫は元気かな?」
マーリーン「どうしてこうなっちゃったの?」
ジョージ「それがゴルフのコースを回ってててな」
ロレイン「みんなまだなの?お土産にピザ持って来たのに」
マーリーン「そんなに誰が食べるの?」
ジョージ「わしが食べるさ」
ドク「混んでるなもう。未来のジェニファーがそろそろ帰宅する頃だ。間に合えばいいのだが…おや、いや、ありゃ」
マーティ「何?どうしたのドック?」
ドク「さっきからバックミラーに同じタクシーが付けてるようだ。くっそー…」
ロレイン「この窓いつ来ても調子が悪いのね」
マーリーン「修理屋さんがパパのこと腰抜けって言ったもんだから、パパが怒って叩き出しちゃって、もう誰も来てくれないのよ」
ロレイン「もうこんなに古くなって…。あんたのお父さんの一番の欠点は、誰かに腰抜けって言われると頭に血がのぼっちゃうとこねぇ。何度聞いたか分からないわ。僕は人に…」
ジョージ「腰抜けと思われたくない。そうそう、ばあさんの言うとおりさ」
ロレイン「30年ほど前になるけど腰抜けじゃないの証明しようとして自動車事故起こしちゃってねぇ」
マーリーン「ロールスロイスとでしょ」
ロレイン「そう」
ジェニファー「マーティが自動車事故?」
ドク「アインシュタイン、ジェニファーを探しに行こう」
マーティ「ヒルデールの住宅街に住んでるなんてスゲェなぁ、夢物語だよ」
ドク「マーティはココにいろ、いざって時は呼ぶから」
マーティ「僕だって自分の家を見たいのに」
ドク「未来の自分に会う危険は避けなきゃな、おいでアインシュタイン」
マーティ「ヒルデールか、すげぇな」
タクシーの機械「料金は、174.50です」
タクシーの運転手「174ドル50セント。気を付けなよ旦那、ココいら物騒だから」
ビフ「レシート早く」
オウム「お客さん、チップをくれー、アハハハ」
ロレイン「あの事故がきっかけでマーティはすっかり運に見放されちゃったのよ、あの事故さえなければお父さんの人生は変わってたでしょうねえ。ロールスロイスがぶつかって来なければマーティは腕を骨折しなかったし、音楽を捨てることもなく、一生ウジウジ悔やみ続けなくて済んだのに。お母さんがお父さんと結婚したのも同情からだと思うわ。見てられなかったのね、優しい人だから」
マーティ Jr「ママ、カッコいいじゃん」
ジェニファー「ママですって…?」
マーティ Jr「美術チャンネル OFF。チャンネル18・24・63・109・87、天気予報 ON」
プログラム「お帰りなさいマーティ」
未来のマーティ「ヘイヘイヘーイただいまー。帰りましたよー!」
プログラム「我が家の主。光る太陽」
未来のマーティ「ただいまー。あぁまたコレを切ってる」
機械「空気洗浄装置 ON」
未来のマーティ「これで良しと。しょうがないなぁ、おおどうだ、夜家にいるなんて珍しいな」
マーティ「…なんだあれは?」
マーティ Jr「ピザ早くー、腹減ったよぉ」
ジョージ「今やってるじゃないかぁ」
マーティ Jr「おばぁちゃーん、できたら僕の口の中に押し込んでよぉ」
未来のマーティ「ロクなこと考えんなぁ」
マーティ Jr「めんどくさいことやだもーん」
ロレイン「高速復元レベル4。…う~ん」
マーティ Jr「おばぁちゃんできた?」
ロレイン「召し上がれ」
未来のマーティ「いやぁ美味そうだな、母さんのチンしたピザは、あちち」
マーリーン「あなたそれで何て言ったの~?」
ロレイン「それよりもジェニファーが心配だわ、随分遅いじゃないの」
未来のマーティ「どこ行ったのか、検討もつかないよ。とっくに帰ってる時間だけど、近頃まるっきりアテにならないよ」
マーティ Jr「フルーツほしい。フルーツだよ!フルーツ出して!」
ロレイン「あなた達うまく行ってるの?」
未来のマーティ「あぁ、10代のカップルみたいにアツアツだよ、未だにね」
マーティ Jr「父さん、電話、ニードルスだよ」
マーリーン「父さんによ」
未来のマーティ「あぁそう…。書斎で取る」
マーティ Jr「フルーツ引っ込め~」
未来のマーティ「よし、回してくれ」
ニードルス「やぁやぁやぁマクフライ、近頃調子はどうだい近頃」
未来のマーティ「やぁニードルス」
ジェニファー「ニードルス?」
ニードルス「ところで、俺が持ちかけた例の話、考えてくれたか?」
未来のマーティ「気が進まんなぁ」
ニードルス「何ビクついてんだ。コイツがうまく行きゃ君の経済的ピンチも解消するんだぞ?」
未来のマーティ「だが、もしうまく行かなかったら?わしはクビだ。第一、違法なんだぞ?もし、ボスが聞いてたらどうする」
ニードルス「イトウのボンクラなんかにバレるわきゃねえって」
未来のマーティ「でもよぉ…」
ニードルス「決心しろよ、スロットにカードさえ差し込めばあとはこっちでやるから」
未来のマーティ「いやしかし…」
ニードルス「同じ部署の仲間に笑われてもいいのか?コシヌケ」
未来のマーティ「…!!誰にも、コシヌケなんていわせないぞ!断じてな!」
ニードルス「だったらそれを、証明しろ」
未来のマーティ「…分かった。よく見てろニードルス。俺のカードだ。入れたぞ。これでいいんだろ?」
ニードルス「見直したよ。明日工場で会おう」
TV「AT&T をご利用いただきありがとうございました」
未来のマーティ「バカにしやがって…」
イトウ「マクフライ!」
未来のマーティ「やあイトウさん、ごきげんよう」
イトウ「全部聞いてたぞ。不正に ID カードを使って会社の情報を盗もうとした!言い逃れはできない!」
未来のマーティ「盗むなんてそんな、違います!私じゃありません、ニードルスですよ、陰で糸を引いているのは」
イトウ「君はそれに手を貸した。違法行為だってことは百も承知のはず」
未来のマーティ「いや違います、それはつまり、おとり作戦で、罠を仕掛けようと…」
伊藤「うるさい、私の FAX を読め!」
未来のマーティ「あ、社長!待ってください、クビだけはどうか、お願いです!社長!…ああ、最悪だ…。ジェニファーにどう言ったらいいんだ…」
ドク「ジェニファー、ココだ!」
ジェニファー「あ、ドク!一人で困ってたのよ」
ドク「玄関から外へ出るんだ、外で待ってるから」
ジェニファー「ドアが開けられないわ、ノブがないんだもの」
ドク「親指でプレートを押せばいい」
ジェニファー「プレートって?」
ロレイン「マーティ、この FAX は何なの?」
未来のマーティ「あぁ母さん、ただのジョークだよ。同僚のイタズラさ」
ロレイン「これがジョーク?でもさっき怒鳴り声がしてたわ、誰かがあんたに…」
未来のマーティ「落ち着いてよもう、怒鳴ってやしいさ、ニードルスと冗談言い合ってただけ」
ロレイン「失業したんじゃないの?」
未来のマーティ「失業?そんなバカな…」
機械「お帰りなさいジェニファー」
ジェニファー「…」
未来のジェニファー「…!?」
ジェニファー「ひ!!」
未来のジェニファー「若い!」
ジェニファー「年寄り!」
ドク「マーティ、来てくれ早く」
ビフ「う…う…うあっ…」
ドク「現在の自分を見てショックで気を失った。予想どおりだ、心配することはない。大急ぎで85年に戻ろう、帰ったらすぐに、タイムマシンを破壊するんだ」
マーティ「壊しちゃうの?人類の認識はどうなるのさ?どこから来てどこへ行くとか」
ドク「危険が大き過ぎることがハッキリした。責任ある処置を取らねば。もしこのタイムマシンが悪人の手に渡ったらどうなる?ただ残念なのは私の一番好きな時代へとうとう行き過ごしてしまった。西部開拓時代さ。タイムトラベルはあまりにも危険すぎる。今度は別のテーマに、私は取り組む。もう一つの宇宙の神秘…。女…。マーティ、瞬間時空転換に備えろ」
マーティ「…うまく行ったの?…ココどこ?…うわっ!」
ドク「…戻ってきた。…ジェニファーをあのベンチに乗せるんだ。君は一旦家に戻ってトラックで起こしに来い。目が覚めたら夕方で自分の家にいた、つまり、夢を見ていたと思い込ませればいい」
マーティ「でもマズいよ、このままベンチに置いていくなんて」
ドク「意外な状況の方が夢だと思い込みやすい。
マーティ「どのくらいで意識が戻るかなぁ?」
ドク「そいつは分からないがショックが大きかったらなぁ、まぁ長くて、2時間ってところだ。何か気付け薬を持って来るんだ」
マーティ「分かったよ」
ドク「行くぞ、アインシュタイン。…大丈夫だ、心配するな」
マーティ「窓に鉄格子なんかあったかなぁ?」
ドク「何かあったら研究所にいる。このマシンを解体してる」
マーティ「分かった。…なんで鍵なんか…?…うわっ」
女の子「きゃー!助けてー!ママー!パパー!」
マーティ「は?ちょっと何だよ君、僕の部屋で何してるんだ」
女の子の父親「なんだ、うわ、お前は誰だ!」
マーティ「いや、違う!」
子供「やっちゃえー」
女の子の父親「ウチの娘をどうしようってんだ!」
マーティ「家を間違えたんだー!」
女の子の親「家は間違えたりなんかしない!クソッ待てー!お前は不動産の回し者だろ!この家は絶対に売らないってボスに言っておけ!追い出そうったってそうはいかんぞ!」
マーティ「きっと時代が違うんだ…。1985年…?ウソだろ…?」
ストリックランド「新聞を下に置け。お前だな、家の新聞を盗んでいたのは」
マーティ「教頭先生!僕ですよほら、マーティですよ、マーティ・マクフライ!ハイスクールの生徒です!」
ストリックランド「お前なんか見たこともない、ろくでなしの怠け者が」
マーティ「えぇそうです、僕は怠け者で、先週も居残りの罰を受けました」
ストリックランド「先週?学校は6年前に焼けてしまった!死にたくなかったらココから3秒以内に消え失せろ」
マーティ「待って先生!僕には何が何だかワケが分からないんです!」
暴走族「ストリックランドのクソジジイめ、やっちまえー!」
マーティ「ひゃー!」
ストリックランド「クソッタレ、バカどもー!」
※ ヒル・バレー
フレッド「いてっ!どこ見て歩いてやがる!このアホンダラ野郎が!」
マーティ「フレッド…!」
入口の TV「皆さん、ビフ・タネンの博物館へようこそ。我がヒル・バレーの名誉市民であり、アメリカの最も偉大な英雄、ビフ・タネンの記念碑として建てられたのがこの博物館です。誰もが一度は耳にしているその伝説、だが、真実の姿は!?ビフ・タネンがいかにしてアメリカ一の大金持ちかつ権力者になったかが手に取るように分かります。そして、興味深いタネン一族の歴史。ビフの曽祖父は、マッド・ドッグの異名を取った、西部イチの早撃ちガンマンでした。ビフの貧しい青年時代、初めて競馬場に行ったのは21歳の誕生日。彼は一夜にして百万長者になったのです。勝ち運に乗ったビフは稼ぎに稼ぎ、地球一番のラッキー男と呼ばれました。それを元手に始めた事業が巨大帝国ビフコへと急成長。1979年には議会を動かしてギャンブル公認化に成功。ヒル・バレーの古い裁判所跡地に、現在の美しいカジノホテルを建設したのです。『金さえありゃ何でもできる。アメリカはいい国さ』真実の愛を求めての女性遍歴と彼を取り巻く美女達。そして1973年、ビフの人生最良の日、ハイスクール時代の恋人、ロレイン・マクフライとついにゴールインしたのです!『感想を』『三度目の正直さ』」
マーティ「うわー!ウソだー!」
ビフの手下「おい待ちな、一緒に上に来るんだ。お前、てこずるのと楽なの、どっちがいいんだよ?…楽な方か」
マーティ「…ママ?ママなの?」
ロレイン「やっと気が付いたのね?2時間も眠ったままで心配したわ」
マーティ「僕、ずっと恐ろしい夢を見てた」
ロレイン「そう…でももう大丈夫。この27階にいる限りは安全よ」
マーティ「27階だって?うわっ!…ママ?ママじゃないよあんた」
ロレイン「やぁねぇママですよ、大丈夫?」
マーティ「変なのはママだよ。だって、そ、そんなに…デカくて!」
ロレイン「きっとじきに良くなるわ。何か食べる?ルームサービスを呼ぶわね」
マーティ「ルームサービス?」
ビフ「ロレイン!」
ロレイン「まぁ大変!お父さんよ!」
マーティ「父さん?」
ビフ「お前はスイスにいるはずだろ!この穀潰しが!」
マーティ「お前が父さん?」
ビフ「また寄宿学校を放り出されたんだろう。ロレイン!このクソガキどもにどれだけ銭がかかってると思うんだ?えぇ?!3人もいやがって!」
ロレイン「それがどうだっていうのよ!どうせはした金じゃない!父親なら子供達のためにいくら出したって惜しくはないはずよ」
ビフ「おい待った、一つだけハッキリさせとこうじゃねえか。あいつはお前のガキで俺の子じゃない。あんなグウタラに金を出すのは、ドブに捨てるようなもんだ」
ロレイン「止めてよビフ!止めて!」
ビフ「あいつはな、お前の昔の亭主に似てボンクラだ」
ロレイン「チキショウ…ジョージのことをバカにするのだけは許せない。アンタと違って、本物の男だった!」
ビフ「このっ!」
ロレイン「キャッ!」
マーティ「何するんだこの野郎!」
ビフ「血の気だけは一人前だな…?俺を殴りたいか?」
マーティ「うわっ!」
ロレイン「悪党!もうたくさんよ!私出て行くわ!」
ビフ「おぉー行け行け!だがよく考えろ!その服を買ってやったのは誰だ?宝石に酒、高い金払ってその胸を整形させてやったのは誰なんだ?」
ロレイン「アンタが自分で欲しがっただけよ?こんなモノ!返して欲しけりゃ、もぎ取れば?」
ビフ「いいかロレイン!そのドアを出て行けば、縁を切るのはお前だけじゃない、ガキどもも一緒だぞ!」
ロレイン「そんな!」
ビフ「当然だろう。まず娘のリンダ。クレジットカードは全部キャンセルだ。借金は自分で何とかさせるんだな。それからバカ息子のデイブに出した保借金も引き上げる。あとはマーティだ。3人揃って刑務所行きってことになりそうだな、ジョーイおじさんのように。鉄格子の中で家族水入らずで暮らすさ」
ロレイン「はぁ…。分かったわビフ、私の負けね。ここにいるわ」
ビフ「いいかマーティ、1時間したら戻ってくる。それまでに消え失せろ!」
ロレイン「正しいのよ、お父さんの言うことが」
マーティ「ママ…どうして?何であんなヤツの言いなりになるんだ?」
ロレイン「自業自得ね、私の夫だし、養ってもらってるのよ。尊敬して当たり前でしょう?」
マーティ「尊敬だって?あいつが夫?あんな悪どいヤツのために、なんで父さんを捨てたんだよ…」
ロレイン「捨てた?ねぇマーティ、あんた大丈夫?」
マーティ「止めてよ!大丈夫なワケないじゃないか!何がどうなってるのか、僕にはサッパリ分からないよ。誰に聞いてもロクな返事は返ってこないし」
ロレイン「可哀想に、今日はよっぽど強く頭を殴られたのね…」
マーティ「ママ、一つだけ教えてよ。僕の父さん、ジョージ・マクフライはどこ?」
ロレイン「マーティ、何言ってるの?あんたの父さんは12年前からずっと同じところじゃないの…。オークパークのお墓の中…」
マーティ「あ…嘘だ…父さんが?そんなことあるワケない!1973年3月15日?嘘だよ!なんで死ななきゃならないんだ!神様お願い、これは全部悪い夢だっていってください!こんなことあるワケないもん…父さん…うわっ!」
ドク「マーティ、残念だがこれは全部現実に起きていることだ」
マーティ「ドック!」
ドク「お父さんのことを知って多分ココに来ると思ってな」
マーティ「じゃあドックは知ってるの?父さんに何があったか。73年の、3月15日に」
ドク「ああ知ってるよ…」
※ 作家ジョージ・マクフライ殺害される
ドク「この異常な事態を調べようと図書館に行ってきた。建物は閉鎖され板が打ち付けてあったが押し入ってコイツを借りてきた」
マーティ「でも分かんないなぁ、何でこんなことになっちゃったの?地獄に迷い込んだのかなぁ」
ドク「いいや、ココはヒル・バレーだ。地獄だってココよりはマシだろう。おおアインシュタイン、スマンスマン。そこら中引っ掻き回されてもうメチャクチャだ。さぁほら、入れ。コレはだな、時間の連続がどこかで断ち切られ、そこから新たに二次的な現実と連続が生まれたんだよ」
マーティ「分かるように言ってよ」
ドク「よし分かった、絵に描いて説明しよう。いいかね、時間の流れを、直線で表すと、ココが1985年、そして、未来と、過去。1985年の地点より前の、過去のどこかで時の流れがこう、大きく逸れて、もうひとつ別の1985年を生み出した。君と私と、アインシュタインには、二次的なモノだ。しかし、他の皆には唯一の現実だ。…コイツを覚えてるか?スポーツ年鑑が入ってた袋だ。見ろ、中にちゃんと領収書も入ってる。タイムマシンの中で見つけた。コレと一緒にな…」
マーティ「ビフのステッキの枝だ…。未来のビフが持ってたヤツだよ」
ドク「そのとおり。あの中にあったってことは、ビフがクルマに乗ってた。あのスポーツ年鑑を持って」
マーティ「なんてことだ」
ドク「つまり、我々が未来にいる間に、ビフがスポーツ年鑑を手に入れ、タイムマシンに積んで過去に飛び、自分自身に本を渡した、過去のどこかの時点で。ごらん、ちゃんとココにもそのことが書いてある。初めて競馬場に行って大穴を当てたって、1958年だ。ただツイてただけじゃない、彼はスポーツ年鑑を見てどの馬が勝つかを知ってたんだ。その手でボロ儲けしたんだ。ココ、拡大鏡でポケットを見てみろ」
マーティ「あの年鑑だ。あの野郎、僕のアイデアを盗んだんだ!きっと立ち聞きをして…。いや、僕のせいだ。ココで起きたこと全部、僕があの年鑑さえ買わなきゃ、こんなことにはならなかった」
ドク「もう過ぎたことだ」
マーティ「過ぎた未来…?」
ドク「いずれにしろ、コレでハッキリした。タイムマシンを悪用するとどうなるか。こんな危険なモノは破壊しなきゃならん。コレを元通りにしてからな」
マーティ「それには未来に行って、ビフがタイムマシンを盗むのを止めなくちゃ」
ドク「不可能だよ、今からまた我々が未来に戻っても、出発点はココ。だから未来はココにある現実と、繋がっているんだよ。ビフは今よりもっともっと権力があり、君の義理の父親だ。それだけじゃないぞ。コレが私の辿る道だ」
※ 発明家エメット・ブラウン拘禁
ドク「いいか、今のこの混乱を修復するには、過去に戻って新たに派生したこの時の流れを食い止めるしかない。宇宙を我々の記憶にある元の姿に戻して、正しい現実に戻るには、正確な日時を知る必要がある。若いビフが具体的にいつどこで、どのようにしてあのスポーツ年鑑を手に入れたか、それを突き止めなきゃならん」
マーティ「突き止める」
ビフ「…防弾チョッキか!コイツはいいや。西部劇の流れモンにしちゃ、頭の良い野郎だ。…何だ故障か?…てめぇ!こんなところに何しに来やがった!」
マーティ「パーティは終わりだよ。君達には悪いけど」
ビフ「下の警備網をどうやって通り抜けた!?」
マーティ「あんたと二人だけで話があるんだ」
ビフ「金の無心なら無駄だぞ」
マーティ「違う、金じゃない。本のことさ。例の、『スポーツ年鑑』」
ビフ「行くんだ二人とも。パーティは終わりだ。…よぉし聞こうか。あの本について何を知ってる?」
マーティ「先にこっちの質問に答えてよ。いつどこで、どうやって手に入れたか」
ビフ「いいだろう、まぁ座れ。そこに座れ!1955年11月12日だ」
マーティ「55年の11月12日?その日は僕が…!…確か、ヒル・バレーに大きな落雷があった日だね」
ビフ「歴史を知ってるな、良いことだ。あの土曜日のことは忘れん。クルマを取りに行くところだった。数日前にドラッグレースで使ったヤツをな」
マーティ「肥料を積んだトラックに突っ込んだだろ?」
ビフ「何でそれを知ってる?」
マーティ「父さんから話を聞いたんだ」
ビフ「父さん?」
マーティ「…死ぬ前にね」
ビフ「あぁそうか…。とにかくクルマを取りに行こうとしてたら、杖を持った妙なジイさんが現れてな。遠い親戚とかいってたが、丸っきり似てなかったな。俺に金持ちになりたいかと聞くんだ。勿論と答えた。するとジイさんはこの本を寄越して、50年先までのあらゆるスポーツの勝者が書いてあると言った。そいつに賭ければ大儲け間違いないってな。見返りは何だ?そう聞くと『何も要らん、秘密だけは守れ』ってな。ジイさんはそれっきり居なくなって、二度と現れなかった。そういやもうひとつ言ってたな。『いつか目のギラギラした変人の科学者と子供が本のことを聞きに来るかもしれん、もしそいつらが現れたら…』しかしなぁ、まさかお前とは思わなかった」
マーティ「大事なことを一つ忘れてるよ、わぁー何だありゃ!?」
ビフ「お前は死ぬんだマーティ!」
ビフの手下「お、いたぞ!待てー!下だ!逃がすな!すばしっこいヤツめ!急げー!どこいった!いなくなった!くそー、どこに消えたんだ!おい、こっちだ!よく探してみろ!」
ビフ「さぁ飛ぶんだマーティ!早く飛べ!自殺なら申し分ない!」
マーティ「嫌だと言ったら?」
ビフ「コイツをブチ込んでやる」
マーティ「警察に何て言い訳する!?調べりゃ、その銃で撃ったことは分かるんだぞ」
ビフ「黙れ!警察は俺の言いなりだ!知ってるか、お前の親父が撃たれた弾だって、分からなかったんだ」
マーティ「じゃあお前が…!」
ビフ「コレが俺にとって都合の良い正義だ。親父とせがれが、同じ銃で死ぬ…!…ハッハ、バカめ…。何だてめぇ!うわっ!」
マーティ「良いぞーナイスショット!聞いたら驚くよドック、行き先はまた1955年!」
ドク「それは本当か!」
マーティ「僕だって年と日付聞いてビックリしちゃったよ」
ドク「年老いたビフがその日を選んだのも不思議だ。ひょっとするとその日時には何か、宇宙的な意味があるのかもしれん。全ての空間と時間の繋がりの接合点のように思える。まぁ単なる偶然かもしれんがね。…くそっ、一度修理しなきゃならん。よし、タイムサーキット ON」
マーティ「タイムサーキットって何…?待ってよ、まさかこのまま行く気じゃ…」
ドク「そうだ」
マーティ「ジェニファーはどうなるの?アインシュタインだって、こんなところに置いてったら…」
ドク「心配するな、この作戦が成功すれば二次的な85年も本来の85年に戻る。ジェニファーとアインシュタインも瞬間的に移行するさ。ジェニファーの身には危険はないし、この忌まわしい場所の記憶も一切残らんだろう」
マーティ「でも、もし成功しなかったら…?」
ドク「させなきゃいかん」
※ 1955年・リヨン不動産団地建設予定地
マーティ「何か妙な気分だね。つい昨日ココに来たような気がするよ」
ドク「前に来たのは昨日だったな、面白いだろう。よぉし、あと22分で日が昇る。君は街に行ってビフを探し出して後を付けるんだ。今日のいつか、未来のビフが現れて年鑑を渡す。決してそれは邪魔しちゃいかんよ。ビフにはうまくいったと思わせるんだ。タイムマシンで、未来に帰ってもらわなきゃ困る」
マーティ「分かったよ」
ドク「ヤツが飛び去ったら何としてでも年鑑を奪い取る。頼むぞ、我々の未来がかかってるんだ」
マーティ「言われなくても分かってるさ」
ドク「コレは双眼鏡と、携帯用の無線機だ。常に連絡を取り合える。私は残ってタイムサーキットの修理をしてる。見張ってないとまた盗まれたら事無し。ウロウロして別の自分にバッタリなんてな、ゴメンだ」
マーティ「別の自分?」
ドク「そう。ココには私は二人いる。そういや君も二人いる。もう一人は1955年を生きたドクター・エメット・ブラウン。若い頃の私で、もう一人の君が1985年に帰るのを手伝っていた。時計台の落雷を覚えているか?あれが起きたのは今夜だ。君も別の自分に会わないように気を付けろ。金を渡しておこう。…どの時代に迷い込んでも良いようになってる。50年代の服を買え」
マーティ「了解!」
ドク「なるだけ目立たないヤツにしろよ!」
マーティ「ドック、こちらマーティ、どうぞ」
ドク「あぁ、マーティか、私だ、どうした」
※ ガートルード・タネン 私有地 立入り禁止
マーティ「あぁドック、タネンの家の前にいる。でも確かに表札はタネンだけど、おばあさんが住んでるらしくて、ビフの家じゃないみたい」
ビフの祖母「ビフ」
ビフ「何だよ」
ビフの祖母「お前、どこに行くのよ」
ビフ「クルマ取りに行くって言ったろおばあちゃん」
ビフの祖母「いつ帰るの?脚が痛いんだからもっと揉んでくれよ」
ビフ「うるせぇなぁクソババア…」
子供達「お兄ちゃんボール取って~!」
ビフ「どのボール?」
子供達「そのボールだよ、返して~!」
ビフ「コレお前らのか、お前ら返して欲しいのか。ほれっ!取って来い!ハッハッハッハ」
マーティ「ドック、ビフの家だったよ。尾行する。以上」
ビフ「ようテリー、キレイになったじゃねえか」
テリー「あぁバッチリ、新品同様だがエンジンが掛からないんだ、自分で防犯スイッチでも付けてるのかい?」
ビフ「コイツはコツが要るんだよ。俺以外の誰も、掛けられないのさ」
テリー「修理代はしめて302ドルと57セントだ」
ビフ「300ドルだ?2箇所ヘコんでいただけだぞテリー、冗談じゃねえぞ」
テリー「馬糞だらけだったろクルマの中!ジョーンズに頼んで取り除くのに80ドル掛かってんだ」
ビフ「それをまた他に売ってるんだろうが、ちっとはこっちに寄越せよ」
テリー「金が欲しいなら店に来いや、自分でジョーンズに掛け合ったらいい、労賃払い戻せって」
ビフ「300ドルも吹っ掛けられてたまるか」
テリー「ココまでの運び賃はどうなる」
ビフ「こんな目に遭わせたヤツとっ捕まえて首をへし折ってやる」
テリー「そりゃあそっちの問題だろ?俺は儲けてないし」
老ビフ「肥料トラックか…。そんなことがあったな…」
テリー「オイル4缶なら良いとこじゃないかビフ」
ビフ「たったの4缶だ、300ドルもふんだくられてよぉ」
テリー「あの店じゃ昼飯も食えない」
ビフ「ワンケース寄越せってんだ、ケチケチしやがって。がめつ過ぎるんだよお前は。あぁ分かった分かったもう行けよお前は」
ロレインの友達「ほら開けてみて!」
ロレイン「あぁ~素敵~!ねぇ似合う?」
ロレインの友達「えぇ、絶対注目の的よ」
ロレイン「あぁ早く着たいわぁ」
ビフ「よっ!何やってんだココで!イカすドレスだなぁ、何も着ねえ方がもっと良いけどよ」
ロレイン「止めてよ、悪いけど私達急いでるからまたね」
ビフ「なぁロレイン、今夜学校のダンスパーティだ。クルマも直ったし、俺付き合ってやってもいいぜ、一番イカした野郎と行きてぇだろ?」
ロレイン「私忙しいのよ」
ビフ「へぇ何で?」
ロレイン「髪を洗うの」
ビフ「そういうの『とってあけた』言い訳っていうんだぞ?」
マーティ「『とってつけた』だろ、バカモノ」
ロレイン「止めてよビフ、離してよ、パーティはもう約束しちゃったわ」
ビフ「誰とだ?間抜けのジョージか?」
ロレイン「いいえ、マーティって子、おあいにくさま」
ビフ「マーティとだ?冗談じゃねえ。お前はこの俺と行くんだよ、いいな?」
ロレイン「あんたの指図は受けないわ」
ビフ「その鈍い頭にしっかり叩き込んでおけ、お前は俺の女だ」
ロレイン「お断りよ、あんたの女になんか、100万ドル積まれたってなるもんですか!」
ビフ「ぬわっ!待てロレイン!俺とお前は…おい気を付けろ!…俺は本気だぞ!いつか必ずお前と結婚してやる!お前は俺の女房になるんだ!」
老ビフ「女にはいつもその調子だった…」
ビフ「おい何だよ勝手に他人のクルマに乗って!」
老ビフ「あの子と結婚したいならその夢を叶えてやろう」
ビフ「へぇ~お前さん老いぼれキューピットか?」
老ビフ「いいからクルマに乗れ、このバカ」
ビフ「バカとは何だこのバカ…。…おい今どうやった?俺じゃなきゃ掛からないのによ…」
老ビフ「黙って乗れ、ビフ。ツキが回ってきた」
ビフ「おい止めろ!どこ走ってんだジイさんよぉ!ぶつけたら殺すぞ!あぁ…300ドルも掛かってんだぞ!」
老ビフ「クルマのことなんかどうでもいい」
ビフ「あんた誰だよ、何で俺の家知ってんだよ」
老ビフ「遠い親戚ってとこだ。お前さんにプレゼントを持ってきてやった。金のなる木をな。金持ちになりたいか?」
ビフ「あぁなりてぇさ、なれるもんならな。金のなる木だって?」
老ビフ「コレがそうだ。未来を教えてくれる本。今世紀のスポーツのあらゆるビッグイベントの結果が載っている。フットボールに、野球は勿論、各地の競馬、ボクシング…。この情報には100万ドルの値打ちがある。コイツをお前さんにやろう」
ビフ「どうもご親切にありがとさんで。気が済んだらさっさとケツまくって、消えなよジイさん」
老ビフ「『ケツ上げて』だろうがこのバカ!『ケツまくる』ってのは居直る時に使うんだ。だから他人にバカにされるんだろ」
ビフ「うるせえんだよイチイチ!その本持ってとっとと失せろ!」
老ビフ「まだ分からんのか?」
ビフ「うるせぇ…」
老ビフ「コレがあれば一財産できるんだぞ。いいか、よく聞け…」
ラジオ「…残りまだ20ヤードです。17対16と、1点差に追い上げた UCLA ですが、残り時間は20秒を切っています。反撃もココまで、もう逆転はないでしょう…」
老ビフ「19対17で UCLA の勝ちに100万ドル賭けよう」
ビフ「聞いてねえのかよ、もう決まりだっていってんだろ、寝ボケんな!」
老ビフ「どうかな…?」
ラジオ「…デッカー蹴った!コレは良い!ぐーんと伸びて、入った!フィールドゴール成功!UCLA の逆転勝ち!19対17、デッカーやりました!この歓声をお聞きください!」
ビフ「ジイさん、何のギャグだ、何でスコアまで分かったんだ…?」
老ビフ「だから言っただろう、全て書いてある。コレに従って金を賭ければお前は負け知らずだ」
ビフ「分かった…じっくり見とくよ…」
老ビフ「この大馬鹿者が!いいか、二度とこの本を置きっぱなしにするな!金庫はあるか?あるワケないな…。金庫を買え!そこに入れて鍵をかけろ!それまでは肌身離さず、こうして持ってろ!」
ビフ「何するんだよ」
老ビフ「このことは誰にも言うんじゃないぞ。それからもうひとつ、そのうち、いつか、目のギラギラした変人の科学者と子供がやってきて、その本のことを聞くかもしれない。連中はその本の値打ちを知っている。もしココを嗅ぎつけてきたらその時は、必ず殺してしまえ」
マーティ「クソッ、閉じ込められた。ドック、ドック、僕だよ」
ドク「マーティ、どうした?」
マーティ「ビフは行っちゃったよ。本を受け取ってジイさんと一緒に。僕はガレージの中。すぐデロリアンで助けに来てよ。住所はメイソン・1809」
ドク「真っ昼間にこのクルマじゃマズい。でも何とかして行くから待ってろ!」
マーティ「ねぇドックちょっと待って、聞いてよ、ドック!慌てん坊!」
ビフの祖母「ビフ、お待ち、また出掛けるのかい?」
ビフ「言ったろばぁちゃん、ダンスパーティに行くって」
マーティ「パーティか」
ビフの祖母「何時に帰ってくるの?」
ビフ「帰ってくる時に帰ってくるよ」
ビフの祖母「ガレージの電気を付けっぱなしにすんじゃないよ!」
ドク「マーティ、おい、マーティ…!おいマーティ…!クソッ、あいつどこ行ったんだい」
マーティ「ドック、ドック、応答せよ」
ドク「あいあい、どうぞ!」
マーティ「ドック…!」
ドク「マーティ、どうしたんだい…。…待てよ、あれは…。コイツは驚いた!」
マーティ「ドック、僕だよ」
ドク「マーティ、どうしたっていうんだ、ビフの家にいないじゃないか!」
マーティ「きっと入れ違いになったんだよ。今、ビフのクルマの中。学校のダンスパーティに行くとこ」
ドク「マーティ、この作戦は中止した方が良い、危険が大き過ぎる」
マーティ「大丈夫、本はダッシュボードの上だ。学校に着いたら取る」
ドク「マーティ、学校はマズい、別の自分に鉢合わせするぞ」
マーティ「別の僕?」
ドク「そうだ、忘れたのか?この前来た時、君がおふくろさんと踊っていたあのパーティだろ!」
マーティ「あ、そうそう!複雑になってきたなぁ」
ドク「大丈夫かマーティ、君が顔を出せば何が起こるか分からん。恐ろしい結果を招くことになる」
若いドク「ちょっとすいません」
ドク「ふふはひは…」
若いドク「そう、あんただよ」
ドク「誰ー、私?」
若いドク「そこの工具箱から 5/8 レンチを取ってくれないか?」
ドク「5/8…?あぁ、3/4 レンチじゃないのかね?」
若いドク「えーっと、そうだな」
ドク「ああ、あんた、ココで何かの気象実験を、始めるところかな?」
若いドク「そのとおりだ、どうして分かった?」
ドク「なぁに、私もよくこの辺で実験をやったもんさ」
若いドク「どうだろう、今夜雷が鳴るといいんだが、天気予報じゃ雨は降らないといっている」
ドク「いやー土砂降りになるさ、風に雷、きっと大嵐が来るんじゃないのかね」
若いドク「そうか、気休めでもありがたい。またいつかどっかでバッタリ会えると良いね」
ドク「いつかどっかで、ね…」
マーティ「ドック、聞こえる?」
ビフ「おい、マーティとかいう野郎はどうしたんだ?」
ビフの手下「知らねえよビフ、俺ヤツの秘書じゃねえもん」
ビフ「いいから探してこい!ヤツにはクルマの修理代300ドルと、パンチ一発の貸しがあるんだ、早く行け!」
ビフの手下「飲んじゃえよ。来ないのか?」
ビフ「本読んでんだ」
ストリックランド「ほほうタネンじゃないか。ダンスパーティに来たんだろ?」
ビフ「はい、教頭先生。ちょっと、風に当たりたくて…」
ストリックランド「ふんふん、コレはウイスキーの臭いか?」
ビフ「えぇ?さぁ、分かりません。まだウィスキーが飲める歳じゃ、ないですから…」
ストリックランド「そうだな…。何だね、コレは?スポーツ年鑑?見ごたえのある中身だ、宿題かね?」
ビフ「いえ、宿題ってのは、僕はやったことないから…ハッハッハ…」
ストリックランド「その態度は何だ!この際君に言っといてやる!いつか必ず居残り処分にするからな!怠け者が!」
もう一人のマーティ「君、お酒も飲むのかい?」
ロレイン「いやだわマーティったら、まるで私のママみたい」
もう一人のマーティ「そうだね…」
ロレイン「将来子供ができたら、私、好きにさせてあげるわ。したいこと何でも」
もう一人のマーティ「署名を取っておきたいな」
マーティ「あぁ僕もさ」
ロレイン「マーティ、何だか落ち着かないみたいだけどどうしたの」
もう一人のマーティ「いや、別に…?」
マーティ「やった…ぁ…?何だコレ?『Oh La La』?中身が違う…!?そんなバカな…。ドック、ドック!」
ドク「マーティか」
マーティ「マズいよヘマやっちゃった!」
ジョージ「君!その汚い手を離せ!」
ドク「本はどうした?」
マーティ「まだビフが持ってると思う!取り返したのはカバーだけさ」
ドク「ビフはどこだ?」
マーティ「分かんないよ」
ドク「検討は付かんのか?」
マーティ「付かないよ、どこを探したら良いのか…」
ドク「未来の全てがかかってるんだ、ビフを見付けて本を取り戻さなきゃ!」
マーティ「分かってるけどそんなこと言ったって…!」
ロレイン「止めて!ビフ!腕が折れちゃうわ!」
マーティ「ハッ…!そうだよ!いるよドック!最後のチャンスだ、父さんが今にビフを、のしちゃうから!」
ジョージ「このっ!」
ビフ「ぬわっ!」
マーティ「よし!」
見物人「誰あれー?のしちゃったー」
マーティ「最高に良い場面だな…」
ジョージ「大丈夫かい、ロレイン?」
見物人「ビフもかたなしだな、完全にのびてる」
マーティ「さぁみんな、下がってくれないか。もっと場所を広く取って、新鮮な空気を吸わせてやらなくっちゃダメだよ。大丈夫、僕に任せといて、人工呼吸もできるから」
見物人「人工呼吸って何だい?」
ビフ「てめぇ…!」
マーティ「大丈夫!」
見物人「おい君、財布を盗んだろ?!あいつ財布を盗んだぞ!」
マーティ「ドック、取り戻した!成功だよ!」
ドク「あぁ遂にやったか!偉いぞマーティ!燃料を補給したらすぐに迎えに行く。落ち合う場所は、体育館の屋根だ」
マーティ「屋根だね、了解!」
ビフの手下「ヤツだ!変装なんかしやがって!」
マーティ「見ろ!何だあれ!」
ビフの手下「ぬわっ!チクショー逃がすな!」
ドク「クソッ!」
※ 歌 : Earth Angel
ビフの手下「どこ行きやがった!ココに逃げ込んだはずだが…」
マーヴィン「それではココで、テンションの上がる一曲を!パンチの利いたヤツを!」
もう一人のマーティ「パンチの利いたヤツね…」
ビフの手下「いたぞ!何でヤツがステージに!?降りてきたら捕まえてやる!どうやってこんなに早く着替えたんだ…?」
もう一人のマーティ「えぇとじゃあ、僕のいたところで流行った曲を…。最初はソロで入るから、途中で変調するけど適当に合わせて、付いてきて」
ビフの手下「あそこだ!」
※ 歌 : Johnny B. Goode
マーティ「ドック、ねぇ聞こえる?」
ドク「何だ?」
マーティ「どうしよう、ビフの仲間が追ってきて狙ってるんだよぉ…。…僕を!」
ドク「さっさと逃げ出せ!」
マーティ「違うんだ、僕じゃなくて、別の僕!ステージで今ジョニー・B・グッドを演奏してるよ」
ドク「それはマズい。落雷までに時計台に行かないと未来へ帰れなくなってパラドックスが起きる!」
マーティ「パラドックスって何?宇宙が破壊されるとか言ってたアレ?」
ドク「あぁそうだ、連中を阻止しろ、だが別の君に見られんようにな、君の両親にもだ」
マーティ「了解」
ビフ「…な、何だよ。ヤツはどこだ?マーティって野郎!黒い帽子の野郎だ!」
見物人「あぁあっちに行ったよ。君の財布を抜き取ったぞ!…財布だったよな?」
ビフの手下「ぬわっ!」
マーティ「よぉし、おっと…」
もう一人のマーティ「君達にはまだちょっと早過ぎたかな、子供の代になんないと…」
マーティ「ドックやったよ、全部片付いたよ!」
ドク「よぉし、1分後に学校の屋根に着陸する」
マーティ「待ってるよ」
もう一人のマーティ「ロレイン…」
ロレイン「マーティ、とても興味深い演奏だったわ…。あ、ジョージに送ってもらっても良いかしら」
もう一人のマーティ「あぁ、勿論そうしたら?君達、似合いのカップルだよ」
ロレイン「あらそう思う?」
ビフ「おいてめぇ!そんな変装で俺の目は誤魔化せねえぞ!ケリ付けようじゃねえか、俺とお前と、今ココで!」
マーティ「お断りだ」
ビフ「おいどうした、どこ行くんだ!この腰抜け!コソコソ逃げ出すのか、腰抜けのヒヨッコが!」
マーティ「誰にも、腰抜けなんて、言わせブフッ」
ビフ「おいてめぇ、他人のモン盗みやがって!コイツはクルマのお返しだ!」
マーティ「ドック、ダメだよ、ビフに捕まって本を取られた、アイツクルマで…。僕が悪いんだ、グズグズしてたから…」
ドク「そんなことは良い、ヤツはどっちへ行った?」
マーティ「東だよ、トンネルの方!」
ドク「よし、乗れ!」
マーティ「いた!あれだよドック!あの上に降りてクルマを潰したら?」
ドク「46年型だ、こっちがアルミ箔みたいに引き裂けちまう」
マーティ「じゃあどうすんの?」
ドク「考えがある」
ラジオ「今夜激しい雷雨が、ヒル・バレーに近付いています…。続いてスポーツ、今日の大学フットボールの結果をお伝えします…」
ビフ「すげぇなコイツは…。この野郎!手を離せ!」
マーティ「うわーっ!」
ビフ「振り落としてやる!」
マーティ「ぬわーっ!」
ビフ「けっ…思い知らせてやる…!」
マーティ「わぁーっ!ハッ!」
マーティ「止めろー!」
ビフ「ふはははは」
マーティ「わぁっ!上がれー!」
ドク「しっかり掴まってろ!」
ビフ「わぁークソー!」
マーティ「やり~!」
ビフ「ぶふっ、チクショウ、何でいつも肥料なんだ!クソぉ!」
マーティ「ドック、そっちは大丈夫?どうぞ!」
ドク「あぁマーティ、だが飛ぶには最悪だ、この向きは風が強いから、旋回して南から降りる、待ってろ。本はどうした?」
マーティ「ココにあるよ!バッチリ取り返したさ!」
ドク「焼け!」
マーティ「了解!」
※ ビフの娯楽天国 → ビフの自動車部品
※ 作家ジョージ・マクフライ殺害される → 作家ジョージ・マクフライ受賞
マーティ「ドック!新聞の記事が変わってる!父さんはちゃんと生きてるんだ!全部元通りになったってことでしょ?」
※ 発明家エメット・ブラウン拘禁 → 発明家エメット・ブラウン市民賞受賞
ドク「あぁ、コレで任務完了!」
マーティ「ジェニファーもアインシュタインも、コレで無事だよね?」
ドク「そうともマーティ、波状効果ってヤツだ!未来が戻ってきた、さぁ帰ろう!」
マーティ「オッケー、堂々と胸張って未来へ…!わっ!ドック!ねぇ大丈夫?」
ドク「今のは近かったな、目がくらみそうだった」
マーティ「気を付けて!雷をモロに食らったら黒焦げだよ…!…ハッ、ドック…?ドック?ドック返事して!ドック聞こえる!?聞こえますか、ドック、どうぞ、ドック…!嫌だよそんなの…。死んじゃった…?僕だけ残して…」
西部ユニオン職員「マクフライ君?」
マーティ「え?」
西部ユニオン職員「君の名前はマーティ・マクフライかね?」
マーティ「そうだけど」
西部ユニオン職員「君に渡すモノがある。手紙だ」
マーティ「僕に手紙?そんなことありえないよ。あんた誰なの?」
西部ユニオン職員「西部ユニオンの者だ。事務所の連中は皆君がこの問題にケリを付けてくれるのを期待してるよ。我々はこの封書を預かって70年間保管してきたんだ。明確な指令書付きで引き継がれてきた。ちょうど君のような人相体格の青年に手渡すようにとね。名前はマーティ・マクフライ。1955年の、11月12日、この場所でキッカリこの時間にだ。マーティが現れるかどうか皆で賭けをしたんだが、負けてしまった。ハッハッハ」
マーティ「70年間保管してたって?」
西部ユニオン職員「そう、70年2ヶ月と、10日間だ。サインもらえるかね、コレに」
マーティ「ドックからの手紙だ!『マーティ、私の計算どおりなら、君はデロリアンが落雷を受けた直後にコレを受け取るはずだ。心配していると思うが、私は元気だ。1885年の8ヶ月、ココで楽しく過ごしている。落雷のために…』1885年?1885年の9月!?わぁあ!」
西部ユニオン職員「おい君ちょっと待ってくれ、どういうことなんだ?」
マーティ「生きてるんだよ!ドックは生きてるんだ!大昔の西部にいるけど生きてる!」
西部ユニオン職員「おい君大丈夫か?!力になろう!」
マーティ「頼れるのは一人しかいないよ!」
若いドク「やったぞー大成功だー!」
マーティ「ドック、ドック!ねぇドック!
若いドク「うん?うひゃー!」
マーティ「落ち着いてよドック、僕だよマーティだよ」
若いドク「そんなバカな、今未来に送ったとこだ」
マーティ「そう、いや、送り出してもらったけどまた来たんだよ。未来から戻ってきたの」
若いドク「どうして、こんなことに、あぁ…」
マーティ「ドック!ねぇ、しっかりしてよ!まいったなぁもう!」
※ パート3へ続く